アメリカのニュースキャスター 嘘の代償

  by あおぞら  Tags :  

このところアメリカのニュースを賑わせているニュースキャスターがいる。NBCはアメリカの3大ネットワークのひとつで、本部はニューヨークの観光名所、ロックフェラーセンターにある。このNBCの夕方6時半から始まる30分のニュース番組を担当しているブライアン・ウィリアムズは花形キャスターである。この時間帯はライバルネットワークのABCもCBSも同じような形態のニュース番組を同時間帯に放送し、三つ巴の戦いでNBCのブライアン・ウィリアムズの圧勝であった。

そのNBCの人気キャスターのブライアン・ウィリアムズの顔が連日ニュースに映し出されるのでただことではないと思った。ジムにテレビが何台も取り付けられていて、番組はCNNに統一されているのだが、運動をしながら画面を見ることができ、ただ音声はないため、また字幕も小さすぎるので、画面にうつる無声のニュースで判断するしかないが、こればかりは『何で人気ニュースキャスターのことを他局がここまでとりあげるのか?』と不思議でならなかった。

真相は花形ニュースキャスターとあろう人が虚偽の発言をしていたのだ。時は一回り前の2003年にさかのぼる。ブライアン・ウィリアムズはイラクをヘリコプターで取材中に地上から大砲を受け被ばくしたと語っていたのだ、しかも何度も。権威あるNBCのニュースキャスターの影響力は大きい。発言そのものに信用と正確さを求められる。NBCのニュース番組を仕切るニュースの重鎮の言葉を視聴者はそのまま受け入れてしまうだろう、私なども疑いの余地なく聞いてしまうと思う。

先月、長きに渡って語っていたその被ばく体験が真実ではないことを元兵士から告発され、今月になりあっさりそれを認めたのだ。マスコミは今後の人気キャスターの去就に注目していた、番組を降りるのか?このような虚偽の事実判明で番組を降りるとすればキャスターとして致命傷である。さぁ、どうする?と世間が注目している中でNBCに下された結論は半年間の停職かつ無給となることであった。

更に不運は続くもので、2005年に起きたハリケーン・カトリーナの取材の際に『遺体が流れるのを見た』と言ったこともどうやらウソの発言として調査される予定だと言うから泣きっ面に蜂である。

ハリケーン・カトリーナが起きたルイジアナ州ニューオリンズのローカルニュースサイトのThe Times-Picayuneでは『ブライアン・ウィリアムズはハリケーン・カトリーナの記憶は思い違いだったかもしれないーBrian Williams’ mixed Hurricane Katrina memories may be tricks of the mind』と書かれてはいるが、かなり嫌味な見出しに思える。

報道する立場のウソの代償は大きい、そこまでして自分が特別と思わせたいのか?ウソはばれないうちはなんてことないが、それが暴かれると人として情けない、無様である。内定取り消しになり、それを覆した女子アナ予定者も世間を騒がせたが、あちらの場合は女性週刊誌的な興味だったが、アメリカの重鎮ニュースキャスターのウソは誠にカッコ悪いものである。

画像: from flickr YAHOO!
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