(東京都千代田区最高裁判所)
2015年2月2日(月)
東京都千代田区にある最高裁判所
で
「秋葉原無差別殺傷事件」(2008年6月8日)で
一、二審と死刑を言い渡されていた加藤智弘(かとうともひろ)被告の
判決が行われた。
筆者も秋葉原とこの事件について思うところがいくつもあったので
ひとつの節目であるこの判決を見届けようと思った。
15時の開廷を待ち、
傍聴を希望する一般の列ができてパソコンによる抽選になった。
抽選に当たりハンカチで涙を拭う女性、
興味本位で来ている若者、
肩を怒らせて真剣な眼差しで立つ男性、
小さな子供、
人の命を奪うということが無数の想いを絶ち、そして関わる人すべてに
重くのしかかることを体感し、
抽選に受かった自分が誰かの席を埋めてしまうことへの意味を考えさえる。
荷物はロッカーに預けて金属がないかチェックするゲートをくぐり
荘厳な最高裁判所の奥、待合室に通される。
日本建築学会賞も取った建物である最高裁判所。花崗岩の石材で造られた外観は直線的で内部まで格式の高い荘厳な空気を演出している。
権威を象徴する装置であるためにはこうであらねばならないかのように。
「第1小法廷」に入り抽選券の数字に従い着席。
前方右に弁護人、左に検察官の背中が見える。
弁護人の長机の前には六法全書が二冊立てて置かれている。
最奥の扉が開き裁判官が入廷し着席。
「扉が開き裁判官が入廷するときは傍聴席のみなさんはご起立していただくのが慣習となっておりますので、よろしくお願いいたします」
と事前に説明があり、全員起立し、裁判官が着席し終えると再び座る。
最高裁判所には被告人席と証言台がなく、メディア用の
カメラの撮影時間が終わり、カメラマンたちが退廷すると
桜井龍子(さくらい りゅうこ)裁判長から判決が読みあげられる。
「周到な準備、強固な殺意、残虐な態様で敢行された無差別事件で、責任は極めて重大」である、とし
「上告を棄却します」
つまり一審、二審、の死刑判決が確定した、ということ。
ドラマや映画などのイメージは撥ね付けられるように厳かに速やかに終わり、裁判官が退廷し、終了した。
「孤独感を深めた」という文言が読みあげられたが、事件の大きさと戻らないものとの乖離を感じる。
主要メディアは被害にあわれた方々の声を聴く。
「悲惨な事件は秋葉原で終わらせたい」と
事件の被害者で当時タクシー運転手だった湯浅洋さん。
事件に巻き込まれた人たちにとって節目とはなっても
終わることはない。
女性殺害事件で名古屋大女子大生が興味本位で秋葉原殺傷事件を語ったという記事もあるが
社会は若者が息苦しさに惹かれないように、そしてどこかで
一歩を踏みとどまる心を育てるために、一時的なものだとしても答えを出していかなくてはいけないのではないだろうか。
参照:
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最高裁判所見学
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20902008.pdf
名古屋大女子学生 秋葉原通り魔に「ゾクゾクする」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150204-00000015-sasahi-soci