後藤健二さんがイスラム国に殺害されたニュースは衝撃が走った。後藤さんが英雄視される状況の中で、高村副総裁の後藤さんに対しての『蛮勇』発言が波紋を広げている。
『蛮勇』と言う言葉は初めて耳にした。字体から意味はわかるが、どうも印象の良くない意味合いを感じるので、コトバンクで意味を調べるとこうあった。
事の理非や是非を考えずに発揮する勇気。
人の考え方、感じ方、とらえ方は千差万別だし、高村副総裁の発言に賛同する人もいれば、反論する人もいる。私自身、個人的に思うのは高村副総裁の発言は、蛮勇と言う言葉を引用するのは、後藤さんに対して多少失礼に当たるとは思うが、この位の発言をしないと危険地帯に向かう日本国民が出てしまうことの歯止めにはならないと思う。副総裁の立場として、熟考に熟考を重ねて選び出した言葉だと思う。
日本政府は3度も渡航禁止を要請したのである。後藤さんが自称イスラム国行きを政府が察知して3度も要請をし、3度目の正直の最後の要請は実際面会をして渡航しないように直々に要請したのである。それを振り切った後藤さんの行為はキツイ言い方の蛮勇と言われても仕方ないかもしれない。
世の中は計算通りにはいかない。ましてや常識がまかり通らない異常な鬼集団に自ら飛び込んでいくのだから、いくら何が起きても『自己責任です』と責任感ある発言を残したとしても、自己責任で済まない出来事だって起こるのだ。
例えば日本海沿いを歩いていて、不意に北朝鮮に拉致された場合は、どうしようもない、自己責任とは到底言えない。しかし、後藤さんのケースは日本政府の要請を振り切って、それこそ人食いワニのウヨウヨしているワニ園に自ら侵入していったようなものなのだ。ワニ園入り口には『立ち入り禁止!人食いワニ園』と書かれている柵を越えた時点で、もうそれは人間としての判断力の欠如だろう。
『自己責任』と自ら言うことは大人の対応のように思える。しかし、自己責任とは結果的に甘えであって、人と言う字が支え合うように一人では結局人間何も出来ないのが真実で、後藤さんや湯川さんが悲しくも無残にかの地で命を落としたが、では残されたご遺体は自己責任で日本のご遺族の元に戻れるか?と言うと、勿論出来る筈はないのである。
これだけ日本も振り回されて、ここまでやりきれない結果をあのような鬼畜集団の自称イスラム国に見せつけられて、それでもまだシリア渡航をしようとしたカメラマンがいるということに呆れる。外務省がそのカメラマンに旅券返納命令の強制阻止に出たからいいものを、当のフリーカメラマンは「報道の自由を奪うな!」と仰ったそうだが、こういうことに自由と言う言葉を使うところに自由をはき違えている。そんなフリーカメラマンの撮影するシリアの写真など見たくもない。