羽毛恐竜とは羽毛の痕跡が化石記録で確認されている恐竜を指す言葉である。とくに1990年代以降、中国の遼寧省から多数の羽毛恐竜の化石が発見され、鳥類の起原や羽毛の発生に関する議論の中で大きな役割を果たした。
古くは1861年に発見された始祖鳥の化石にはっきりとした羽毛の印象が残されていた。しかし、始祖鳥はあくまでも“鳥”であり、系統的に近い獣脚類が羽毛を生やしていた証拠は長年見つかっていなかった。
1960年代の恐竜ルネッサンス以降、恐竜と鳥の系統関係が再びクローズアップされるようになった。その流れの中で、ロバート・バッカーやグレゴリー・ポールなどの恐竜恒温説を唱える一派は羽毛を生やした恐竜復元図をさかんに描くようになった。
1990年代に入ると、中国の遼寧省に分布する熱河層群の義県層から、羽毛の痕跡が見つかっている恐竜が多数発見された。そのほとんどが「獣脚類」であった。現在では、すくなくとも一部の恐竜が羽毛を生やしていたこと(あるいは羽毛の原型となる体毛をもっていたこと)は化石記録から確実視されている。
恐竜は「鳥盤類」と「竜盤類」とに分かれる。「竜盤類」はさらに、「獣脚類」と「竜脚形類」に分かれる。今回、「羽毛恐竜は獣脚類だけに生えているのではなく、すべてのなかまに生えていた」という新しい説がベルギー王立自然科学研究所などのチームにより、米科学誌サイエンスに発表された。