ラスベガスに近いモハーヴェ砂漠に建造され、最近稼働を始めた世界最大の太陽熱発電所で、愛鳥家にとってショックな事故が頻発しているそうです。
太陽熱発電とは、太陽光を反射鏡で集めて発生させた熱で蒸気タービンを回して電気を得る発電方法です。『ソーラー・システム』と言ったほうが通りのいい人もいるかもしれません。550℃あたりまで加熱・蓄熱が可能な溶融塩を熱媒にすることで夜間もタービンを回し続けることができるため、太陽光発電よりもずっと高効率で安定的な再生可能エネルギーとして期待されています。
モハーヴェ砂漠の『イヴァンパー太陽熱発電所』は、総出力40万kW・14万世帯の電力を賄うことができる世界最大規模のタワー型太陽熱発電施設として建設されました。同心円状に設置された30万枚以上の反射鏡をコンピュータ制御して中央のタワー上部にある集熱器を加熱しています。
本来ならば、環境を汚さずに大量の電気を生み出し、2100人もの雇用を創出してくれるありがたい施設になるはずだったのですが、ある問題が発生してしまいました。
太陽によって熱せられた反射鏡に近寄ってきた鳥たちが丸焦げになって死んでいるというのです。焼き殺された鳥の中には、ハヤブサ、カイツブリ、タカやスズメなど様々な種類がいたそうです。ある生物学者は、反射鏡が湖のように見えるために鳥が降りてきてしまうのかもしれないと分析しています。
電力会社は建設中の段階で、数十羽もの焼け死んだ鳥が施設周辺で見つかったことを報告しており、環境当局もその問題を把握していましたが、巨大プロジェクトの前には小さな問題として無視されてしまったようです。環境当局は今後2年間の調査をした上で解決策を検討したいとしています。
国家的巨大プロジェクトは、いったんゴーサインが出てしまうとあちこちの利権が絡んでいるせいで止めることが難しいのは、日本もアメリカも同じですね。
画像:ウォール・ストリート・ジャーナルおよびBright Source Energyより引用
ソース:ウォール・ストリート・ジャーナル