『プラモ狂四郎』という漫画をご存知だろうか?1982年~1986年にコミックボンボン(現在は休刊)で連載され、その当時一大ブームとなったガンプラ(ガンダムのプラモデル以下ガンプラ)をプラモシュミレーションというコンピューターの仮想空間内で対決させるという漫画である。筆者もこの漫画は小学生の時に初めて買った漫画単行本であり、以前は全巻所有していたファンの一人だ。
最近、この『プラモ狂四郎』を思い出すことが多い。先日、発表された『機動戦士ガンダム』シリーズの新作『機動戦士ガンダムAGE(エイジ)』もそのひとつだ。メディアミックスと言われるアニメとガンプラが連動して販売される手法は以前とかわらないのだが、今後発売予定の『機動戦士ガンダムAGE(エイジ)』のガンプラには新しい特徴がある。
ガンプラ各部にICチップが組み込まれており、“ゲイジング”というガンプラをスキャナーで読み込む方法でICチップの情報をバトルゲームに反映させ、ガンプラでゲームができるということだ。もちろんこの情報を聞いて、真っ先に思い出したのは『プラモ狂四郎』である。とうとうここまで来たか!という思いだ!もちろん『プラモ狂四郎』のようにガンプラを改造をして、改造の方法によってガンプラが強くなったりするわけではないが、自分の作ったガンプラでバトルゲームができるという、筆者が子供の頃に思い描いていたものが実現しようとしているのだ。
『プラモ狂四郎』を連想させるアニメが他にもある。現在、放送中のテレビアニメ『ダンボール戦機』だ。こちらはアニメの設定がまさに『プラモ狂四郎』のような内容で、ホビー用小型ロボットである『LBX』を強化ダンボール内で戦わせるという内容だ。この『ダンボール戦機』は、コンピュータゲームメーカーのレベルファイブの企画なのだが、アニメとゲームそして、プラモデルまで連動販売して、年齢層が上がっていたプラモデル購入者層に若年層を取り込むことに成功した、新たなメディアミックスを確立させている。
そして今回の『ガンダムAGE』はこのレベルファイブが企画協力をしているのだ。すでに『ダンボール戦機』で実績が出ているメディアミックスと、歴史あるガンダムブランドを融合させた新しいマーケティング戦略と言える。『ダンボール戦機』で獲得したプラモデルを作る若年層の顧客を『ガンダムAGE』に引き継がせて、さらに昔ガンプラを作ったことのある、子供の親世代にも購買意欲を誘発させようというのが狙いだろうか。確かにマーケティングとしては、とても納得するものがある。
しかし、この『機動戦士ガンダムAGE』、発表直後からガンダムファンからの評判は、良いとは言えないようだ。実際、現在ヤフーで行われている意識調査では50%以上の約15,000票が“まったく期待していない”に投票されている。(6/15現在)確かに『機動戦士ガンダムAGE』のキャラクターデザインは過去レベルファイブが製作した『ダンボール戦機』や『イナズマイレブン』に似ており、連動するゲームも子供向けであるのは間違いない。
Yahoo!ニュース意識調査 「機動戦士ガンダム」シリーズ新作への期待度は?
放送が始まるのは2011年10月からなので詳しいストーリー展開などは、まだわからないことが多いが、初代『機動戦士ガンダム』に登場した『シャア・アズナブル』のセリフで「坊やだからさ」という名言があるが、『機動戦士ガンダムAGE』では“坊やだからこそ見る”アニメになるのか、気になるところである。
※画像は『機動戦士ガンダムAGEゲイジング公式サイト』より引用。