2ちゃんねる実況板の書き込みペース(勢い)は全テレビ局で瞬間的に一位に
(関ヶ原で陣頭指揮を取る影武者・家康?! 狩野探幽画)
西田敏行が徳川家康の影武者を演じた、正月時代劇「影武者徳川家康」(テレビ東京系、1月2日放送)がネット上で大評判だ。
2ちゃんねる実況板ではこの手のドラマでは異例の17000件を超えるコメントが付き、実況板の書き込みペース(勢い)は全テレビ局で瞬間的に一位となった。
「NHK大河より面白かったよ」「久々に大当たりの正月時代劇だ」等の絶賛の声が多く書き込まれた。ツイッターでもハッシュタグ「#影武者徳川家康」が一時ホットワードになった。
NHK大河ドラマのベテラン監督・時代考証家が制作。
この時代劇は、時代小説家の隆慶一郎氏の同名小説を、大河ドラマ歴代一位の高視聴率を誇る名作・「武田信玄」や、ネット上で評価が高い「葵 徳川三代」の演出などで知られる重光亨彦監督が演出したもの。時代考証には大河ドラマ「新撰組!」などを担当した大石学氏が当たった。ネット上では、ベテラン製作陣の演出も高く評価されており、「スイーツ(笑)な今の大河よりこっちのほうがいいよな」という声も上がった。
原作小説は、明治時代に称えられた「徳川家康の影武者説」をアレンジし、「関ヶ原の戦いの合戦中に徳川家康は暗殺され、元々野武士あがりの家康の影武者・世良田二郎三郎(せらた・じろうさぶろう)が家康と入れ替わった。」というもの。
戦後の歴史学をリードした網野善彦・神奈川大教授の中世史の研究成果を取り入れた波瀾万丈の伝奇ロマンで、「漂泊の旅を続けていた野武士が、ひょんなことから天下を動かす存在になってしまい、庶民時代の仲間、親友・本多正信(ほんだまさのぶ)らと協力して、従来の武家社会にこだわり、実権を取り返そうとする冷酷残忍な家康の跡継ぎ・徳川秀忠と激闘を繰り広げ、庶民の為のユートピアを作り上げようとする」筋書きである。
西田敏行が等身大の家康像を熱演。視聴者から共感の声。
ドラマでは、原作では天才的に描かれていた世良田二郎三郎が、演じた西田敏行の解釈により、「影武者として生きることを受け入れるまでをきちんと描き、視聴者がきちんと理解できる人物」(日本経済新聞、二〇一四年1月一日の西田氏インタビューより)とされ、「元々野良犬、ただの庶民にすぎない人物が、最善を尽くして生き残りを図る」というように変えられた。
つまり、昨今の大河ドラマなどの時代劇で連呼される、いかにもありがちなイケメンヒーローが声高に叫ぶ「平和主義」ではなく、主人公の動機は妻のお梶(観月ありさ)、徳川頼宣・頼房等の家族たちを守るために二郎三郎が腐心して作り上げたものとされたのである。
西田敏行の二郎三郎は、流石に家康などの徳川将軍を長年演じた人だけあって、実に堂に入ったもので、時にカッコ悪い等身大の人物像が視聴者の共感を呼んでいる。
「最近の大河ドラマは何かというと、聖人君子のスーパーマンが『戦争はいけない』とか平和主義をゴリ押ししてくるが、それがなかったのでよかった」「大河ドラマから失われて久しいものを見られた気がする 時代ものらしい空気とか緩急とか」等、江戸初期らしい空気感を再現した映像が評価されたようだ。
庶民目線に徹したテレ東時代劇が大河を超える?!テレ東版黒田官兵衛「二人の軍師」も1月17日からスカパーで放映開始!
実は、「影武者徳川家康」に限らず、このところのテレビ東京の時代劇は、徹底して庶民目線に徹しており、大河ドラマに代表されるきれい事の多いNHK時代劇とは一線を画している。
例えば、今風に言えばフリーターの浪人が市中で「仲裁屋」を開業する「よろずや平四郎活人剣」、下級くのいちが元の上司と争う「逃亡者おりん」、今年の大河ドラマと同じ題材ながら、高橋克典演じるもと薬屋でお調子者の地侍の黒田官兵衛という、一風変わった描き方がされる「二人の軍師」等、地方局やスカパーでよく再放送される佳作が多いのだ。
「二人の軍師」は2014年1月17日(金)から、スカパーの時代劇専門チャンネルで放映される予定だ。
西田敏行・山本耕史ら、「影武者徳川家康」の主要キャストはこちらにも出演しており、西田は羽柴秀吉、山本は官兵衛の親友、竹中半兵衛を演じる。影武者ファンはこちらも要チェック?!
(画像:関が原合戦で陣頭指揮を取る徳川家康。江戸時代の絵師・狩野探幽の『東照宮縁起絵巻』より。ドラマの仮説によれば、実はこの時、本物の家康は討ち死にしており、関ヶ原で陣頭指揮を取ったのは影武者・世良田二郎三郎だったというのだが…)
※トップ画像は「新春ワイド時代劇「影武者 徳川家康」:テレビ東京 公式ページより」