sochi123プロジェクト主催のアンケートが、下記URLにて行われています。
http://azplanning.cocolog-nifty.com/neko/sochi123.html
フィギュアスケートの採点に関するもので、設問は5つ。
12月26日に始まったこのアンケートは、既に投票数が4000を越えています。
最初の設問は、『フィギュアスケートの採点を信用していますか?』というストレートなもの。
投票数4325件の時点で、98.5%にあたる4258人が信用出来ないと回答しています。
なぜ、フィギュアスケートの採点が信用されなくなったのでしょうか?
そこには、現在の採点が誕生した経緯が関係しています。フィギュアスケートは現在の採点制度になる以前から疑問を抱かせるような結果になることがありました。
有名なのは2002年のソルトレイクオリンピックでの出来事です。
ソルトレイクでの出来事と現在の採点システムとの関わりを時系列に記述します。
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2/11 ペアのフリーが行われ、疑惑の判定がくだされる。
僅かなミスがあったロシアペアが優勝
ノーミスのカナダペアが2位
北米メディアが、ノーミスのカナダペアが優勝できないのはおかしいと、報道を始める。
2/12 ISU(国際スケート連盟)の技術委員会でフランス人ジャッジのルグーニュが不正を認める発言をするが、結局ルグーニュは後に署名入りの文書において「圧力は存在せず、自分はロシア組の優勝を確信している」と表明。
しかしアメリカ・カナダ両国民や両国マスメディアはこの結論に納得せず、騒ぎ続けた。
2/15 これを受けてISUのオッタビオ・チンクワンタ会長は独自の行動を表明。
「フランスの審判員に不適切な行為があった」という理由を示してフランスの審判員の判定を削除し、1位をつけたジャッジの数を4対4の同数に変更してカナダ組にも金メダルを授与した。
2/16 「数日以内に新しい採点システムを提案する」と表明。
2/18 この日、発表された素案について、チンクワンタ会長は「判定における国と国の間の裏取引を防ぐためのシステムである」と説明。
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チンクワンタ会長は、なぜルグーニュが署名入りの文書において「圧力は存在せず自分はロシア組の優勝を確信している」と表明したにも関わらず、あっさりと不正を認めたのでしょうか。
現在の採点は、この一件を契機に誕生したと多くの人達は誤認しているようですが、実はチンクワンタ氏の指示を受けたデビッド・ドレ氏(現在ISUの副会長)が何人かの協力者と共に水面下でシステム構築の作業を進めていたのです。
だからこそ北米メディアが順位について異論を唱えてから僅か1週間後に、『裏取引を防止する画期的な採点システム』として現在の採点システムの素案が発表できたのです。
つまり、ソルトレイクスキャンダルは単なるきっかけにすぎません。
水面下でというのは、当時のフィギュアスケート部門の責任者であり、副会長だった日本の久永勝一朗氏には一切知らされずに新採点の原案が作成されていたからです。
当初、このシステムはプロジェクトとして推進すると総会では説明されましたが、いつの間にかルールの改変を伴う新しいジャッジシステムとして運用されるようになりました。
チンクワンタ氏の根回しによって、匿名採点に懸念を示していた日本やアメリカは理事会から締め出され、デビッド・ドレ氏が副会長の座に就くことになりました。
これに対し、日本とアメリカは激しく抗議をしています。
当時、日本はISUに対して抗議文を送っていますが、それを要約した文章は現在も日本スケート連盟のサイトで閲覧出来ます。
日本スケート連盟からISUへの抗議文和訳1 2003.3.25
http://www.skatingjapan.or.jp/whatsnew/detail.php?id=251
日本スケート連盟からISUへの抗議文和訳2 2003.3.25
http://www.skatingjapan.or.jp/whatsnew/detail.php?id=252
ISUと日本及びアメリカの対立は抜き差しならないものとなり、遂には、ISUを脱退して新団体を設立する動きに発展しました。
しかし、アメリカのスケート連盟は内部で新団体設立派とISU恭順派に分裂して、一枚岩とはならなくなってしまい、日本のスケート連盟では不正経理問題で久永勝一郎氏が失脚する事態となって、新団体設立は頓挫し騒ぎは終息しました。
チンクワンタ氏はなぜ分裂騒動にまで発展するような根強い反対があった匿名採点に拘ったのでしょうか?
このシステムの目玉であるジャッジの匿名性は個人的な裏取引を防止するには効果的ですが、それは監視役のISUが完璧な防御壁として機能した場合に限られます。
つまり、もしISUがどこかと裏取引を行えば、ジャッジ達を手ごまとして採点操作を行うことが簡単に出来てしまうシステムであるということです。
セミナーで高い採点を与える選手を暗示し、事前のジャッジミーティングで調整を行い、ジャッジ査定委員会によって裏切るジャッジを監視する。
不正を防止する手段は、監視元が不正を行えば、不正を推進する手段になってしまうわけです。
現実にそんなことが起こり得るのでしょうか?
にわかに信じられないという感想を抱く方がほとんどだと思います。
しかし、採点に何らかの思惑があるのではないか?と感じさせるようなことがありました。
2010年のバンクーバーオリンピックで起こった、『4回転論争』と呼ばれる騒ぎです。
男子フィギュアスケート競技が終了後、銀メダルに終わったプルシェンコが、今回の結果について、異議申し立てとも受け取れるような発言をしたことが、会場で話題となりました。
「採点方法を変えるべきではないかと思います。4回転ジャンプは4回転ジャンプです。オリンピックの優勝者が4回転をやらないなんて、ちょっと分からないです」
プルシェンコのこの発言は、報道記者やフィギュアスケートの関係者に波紋を広げ、採点の是非がクローズアップされました。
この話には伏線があります。
オリンピック直前にアメリカ人ジャッジ、ジョゼフ・インマン氏は、4回転ジャンプを得意とする、プルシェンコとフランスのブライアン・ジュベールの演技構成点の格付けを考え直すよう呼びかけるEメールを60人もの同僚ジャッジに送信したことが発覚し、欧州と北米で大騒動になっていたのです。
しかし、ISUはジョゼフ・インマン氏に対して警告すら行っていませんし、インマン氏のメールを受け取ったジャッジの中には、オリンピックの男子を採点した人間もいるのです。
男子だけではありません。
女子の採点を担当した韓国のイ・ジヒ氏は韓国の東亜日報の取材に対して、「多くの審判が新しい採点方式以前のやり方で減点したため、高い点数が出なかった。しかし、金妍兒の卓越な演技を見た後、加算点を十分に活用しようという雰囲気が作られた。それも金妍兒に限ってのことだ。」と答え、「220点台も夢ではない」と発言しています。
そしてキム・ヨナは228・56という圧倒的な得点で金メダルに輝くのです。
このイ・ジヒ氏の発言もISUからは問題視されませんでした。
キム・ヨナについては、復帰した2013年の世界選手権の採点結果も多くのファンから高すぎるのではないかと疑問視されています。
フィギュアスケートの採点は技術点(TES)と演技構成点(PCS)から成り立っています。
トリプルループジャンプが跳べないキム・ヨナは技術点のベースがそれ程高くはないのに、GOE(-3から+3の7段階で評価された各要素のできばえ点)が16.51という驚異的な評価を受け、技術点は74.73。
演技構成点は、係数(男子×2、女子×1.6)を掛ける前の数字が男子の優勝者であるパトリック・チャンを凌ぐ73.61となり、ショートプログラムの69.97を加えた、合計218.31で圧勝しました。
ここ何年もの間キム・ヨナの採点が高すぎると言う批判が出ています。
また、韓国のスケート連盟とISUの奇妙な関係も指摘されています。
2010年11月5日の韓国、中央日報の記事より引用します。
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平昌招致委員会関係者が4日に明らかにしたところによると、国際オリンピック委員会(IOC)倫理委員会が平昌招致委員会に対しIOC規定を順守するよう警告を送った。大韓航空が国際スケート連盟(ISU)と交わした後援契約がIOC規定に反するというのが理由だ。一部欧州メディアの主張を受け入れたものだ。
平昌冬季五輪招致委員会の趙亮鎬(チョ・ヤンホ)委員長は大韓航空の親会社の韓進(ハンジン)グループの会長で、ISUのチンクワンタ会長が五輪開催地選定の際に投票権があるIOC委員ということを問題視した。
欧州の牽制さえなければISU会長とFISA会長が行使する2票は平昌に入る可能性が大きかった。
http://japanese.joins.com/article/615/134615.html
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『欧州の牽制さえなければISU会長とFISA会長が行使する2票は平昌に入る可能性が大きかった』という文章が全てを物語っています。
有罪判決を受けたイ・ゴンヒ氏に特赦を与え、冬季オリンピックの招致活動に邁進していた韓国は、スポーツ界に八百長が蔓延していた状況と併せ、不正大国と言っても過言ではありません。
そういう国と親密な関係にあるISUが主催するフィギュアスケート競技。
採点が信用を失っているのは当然の結果です。
ソチオリンピックでは全ての選手に公平な採点が為されるのでしょうか?