
12月1日未明、フィレンツェの北西20キロのプラト郊外で工場で火災が発生した。消防士の必死の作業にも関わらず、7人の犠牲者が出た。 他の火事の報道と違って、この事件では最初から報道に疑問のトーンがあった。疑問というより呆れるトーンと言ったほうが適切かもしれない。
火災が起こったのは服を箱詰めする中国人経営の工場だ。
消火に当たった消防署員の報告では、工場は工員の宿泊所も兼ねており、中に何人いるのかわからないので被害者の正確な数を把握しかねていることがその理由だ。
工場の中はベニアで仕切られ、工員に寝床を提供していた。警察が事情把握のために避難した工員に事情徴収したところほとんどが滞在許可証無しの不法滞在で、毎度のことながら、条件が劣悪な中で労働をしていた。

この火災のニュースは、火事の原因や被害者などの情報の他に、イタリアにおける中国移民と中国資本の話に広がっていった。
劣悪な労働条件のおかげで、中国人経営の工場で生産されるものは価格が安い。不況の今、安いものをさがしてしまう消費者を責められない。
これまでは、イタリアの企業が人件費の安い中国に工場を移すケースが多かった。
そのために閉鎖された工場の工員が失業者となり、安い中国からの輸入品を買うことでイタリア製をますます排除する結果になっていた。
今、中国人がイタリア内に工場を設置し、イタリア国内で生産することによって「Made in Italy」の表示を手に入れて、価格を抑えて商品を世に出す。原材料は中国製だ。
プラト市長はテレビのインタビューでこのことに言及し、おそらく初めて政治家として公の場で中国移民とそのためにイタリアの経済が脅かされていることを問題にする発言をした。
少なくもプラトでは不法移民に対するコントロールが厳しくなりそうだ。