意外な味で即完売となった岡山銘菓のビールが再登場! 岡山のソース系美食によく合うぜ

  by 中山秀明  Tags :  

クラフトビール業界では“アップサイクル”と呼ばれるSDGsなプロダクトがひとつのトレンドとなっていますが、今回紹介したいのは、岡山県を代表する銘菓『大手まんぢゅう』のアップサイクルビール。テイスティングやペアリングレポートでお届けします!

岡山の『大手まんぢゅう』といっても、知らない人は知らないですよね。でもこのまんじゅう、東京の『志ほせ饅頭』、福島の『柏屋薄皮饅頭』と並び、日本三大まんじゅうに数えられる銘菓なんです。

特徴は、透けるほど薄い皮と、甘酒のコクが餡の甘さとほどよく調和した、まろやかな味わい。一般的なまんじゅうとはルックスもかなり異なる個性派なので、岡山土産の定番としてぜひ覚えていただきたいところなのですが、今回の主役はビールでございます!

岡山のレジェンド銘柄が『独歩ビール』

同じく岡山のクラフトビールシーンを、黎明期からけん引してきたブルワリーが宮下酒造。個人的には岡山・備前市のkoti brewery(コチ ブルワリー)も推しなのですが、レジェンド銘柄といえば宮下酒造の『独歩ビール』です。

ということで今回取り上げるのが、その『独歩ビール』が『大手まんぢゅう』とコラボした『独歩大手まんぢゅう黒生』(660円)。『大手まんぢゅう』は、その日に売れる分だけを作るように調整していますが、どうしても売り切れず。店頭に出すことなく残ってしまった商品を、副原料としてアップサイクルした意欲作です。

構想から発売までは約2年を要し、ファーストバッチはクラウドファンディングで2024年に支援者へのリターンとして初提供されました。そこでの好評を経て、2025年4月に一般販売開始。すると即完売となり、同年11月には増産体制で再登場し今に至るというわけです。

甘くなくてむしろドライな爽やか黒ビール

いざ、飲んでみましょう。ビアスタイルは、ドイツ語で『黒』を意味する伝統的な黒ビール『シュバルツ』。黒ビールにもさまざまなビアスタイルがあり、『シュバルツ』はイギリス生まれの『ポーター』や『スタウト』に比べ、基本的にすっきりしているのが特徴です。

これは、後者がコク深くアロマティックになりやすい上面発酵(エール)で造る製法に対し、『シュバルツ』はキリッと爽快になりやすい下面発酵(ラガー)だから(例外もあり)。なお、日本のメジャーな金色ビールのスタイル『ピルスナー』も下面発酵です。

そのうえで『独歩大手まんぢゅう黒生』は、どこか和のニュアンスを感じる点も見事。ちなみに、甘さはありません。黒ビールにはラクトース(乳糖)を使うなどして、あえてチョコレートやナッツ的な風味付けをした甘い銘柄もありますが、本商品はむしろドライ。

ロースト麦芽の香ばしさと、テリ感が醸す絶妙なコクによって飲みごたえはありつつ、余韻はシャープでキレもしっかり。料理にも幅広く合う、ドリンカブル(おかわりしたくなる)なおいしさです。

『大手まんぢゅう』とペアリングも試しましたが、これもイイ! ホクッとした食感に、豊かなうまみとやさしい甘みの『大手まんぢゅう』が、コクキレ系のビールとよく合います。岡山のご当地グルメだと、ソース系がベストマッチでしょう。カキオコ、えびめし、ひるぜん焼そば、津山ホルモンうどん、などですな。

ちなみに、首都圏の人は新橋のアンテナショップ『とっとり・おかやま新橋館』でも買えますので、こちらも要チェック。普通に飲んでもおいしいですが、ぜひペアリングもお試しを!

(執筆者: 中山秀明)

中山秀明

ライター、編集者、フードアナリスト。食関連の専門家として、メディアで解説することもたまにあります。グルメからのつながりで、酒、旅、調理家電、タバコなどを取材、執筆することも。