つけっぱなしのCNNはビートルズのドキュメンタリーを流していた。番組が終わり夜10時のニュースに切り替わると『アカデミー賞受賞のフィリップ・シーモア・ホフマンが亡くなった、46歳であった』とアナウンサーが伝えていた。
死因はヘロインの過剰摂取とのことだ。アメリカの俳優が薬物過剰摂取により死亡することは残念ながら珍しくはない。最近では昨年の7月、アメリカで人気のテレビドラマ『グリー』のコリー・モンティスが薬物摂取で死亡した、31歳だった。
フィリップ・シーモア・ホフマンはニューヨークのグリニッジビレッジのアパートでひっそり生活しており、俳優の派手さはまるでなく良き住民であったそうだ。小学校に通う子供が3人いることは知らなかったが、46歳の割には老けて見えた。俳優の俳優と言われており、その存在は職人のような堅実さがあった。与えられた役柄をこなし、所謂一本調子の演技とは違い、顔かたちが成功の大きな要素を占めるアメリカの映画界の中で、地味でありながら演技による存在感を示し、アカデミー賞主演男優賞を取りながらも、脇役を固めてさまになる俳優だった。
CNNでは薬物依存を18年間も続け、それを断ち切った経験のある女性がコメントを述べていたが、薬物依存を断ち切るのは至難の業であると。
しかし、アメリカは病んでいる。芸能界では今もこうして薬物を多量に摂取して死亡する芸能人が毎年出てきてしまう。なぜに人はこのような違法な薬物にとりつかれてしまうのだろう。2008年にアカデミー賞助演俳優賞を受賞したキース・レジャーは薬物摂取により死亡したが、キース・レジャーもフィリップ・シーモア・ホフマン同様ニューヨークの自宅で死亡した。共にニューヨークのダウンタウン。どちらかと言うと自由人の多い、マリファナなどは比較的手に入りやすい環境にあるかもしれない。そういう場所ゆえヘロインや薬物摂取がしやすい土地柄と言うと語弊があるが、住人は自由業が多い地域である。
薬物の誘惑にまけてしまうような弱い人間で、特に人気俳優のように財力があるのなら、ニューヨークやハリウッドは避けて薬物が簡単に手に入らないような田舎に住んでしまうのも手であったと思う。
アルコール中毒者が繁華街の飲み屋が多い場所に住むのに適していないように、薬物摂取に頼る弱い人間はそれらから避ける場所を住むことができれば悪の元を断ち切ることができたのに。
なんとも気の毒なことだ。しかし、この薬物多量摂取により死亡する芸能人がなくなることはないだろう。天災と同じく忘れた頃に残念なニュースがやってくる。
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