ベイビーレイズが熱い。
デビューからわずか一年だが、8月26日には『SMAP×SMAP』、9月6日には『ミュージックステーション』と、メジャーな番組に次々と出演し話題となっている。
彼女たちの快進撃には理由がある。大人気の朝ドラ『あまちゃん』の劇中歌『暦の上ではディセンバー』を歌っているのだ。
あまちゃんの魅力はたくさんあると思うが、そのひとつは物語と現実とのリンクにある。
アイドル歌手を目指していた頃の春子が、演じている小泉今日子のデビューまでの軌跡とダブったり、主演映画で歌手としてもデビューした鈴鹿ひろ美が、同じく薬師丸ひろ子のデビュー当時と重なったりする。ドラマの中で天野春子が歌った『潮騒のメモリー』が実際にCD化されヒットしたのは、その象徴的な出来事だろう。今回発売される『暦の上ではディセンバー』はそれに続く第二弾とも言えるものだ。
この曲をベイビーレイズが歌うことになったのにも、いくつかの巡り合わせがある。
もともと彼女たちは、ドラマの中で活躍する『アメ横女学園』のシャドー(実際には表に出ず声だけ出演すること)の一員としてこの歌に歌唱参加していた。
参加の理由は色々あるだろう。主人公を演じる能年玲奈と事務所が一緒であったこと、デビューして間もないアメ横女学園の歌声に、ベイビーレイズの勢いのある歌声が合っていたことなどだ。
しかし、デビュー当時からの彼女たちの頑張りを考えると、今回のことは彼女たち自身が引き寄せた巡り合わせであるように思えてならない。
昨年7月、まだデビュー前の彼女たちを見たとき、わずか一年でここまで成長するとは思いもしなかった。原石としての魅力はあったものの、歌もダンスもまだまだで、かなりの時間をかけて育てていかなければならないだろうと感じたからだ。
しかし、そんな彼女たちに課せられたのは、“むちゃぶり”とも思えるようなたくさんの課題だった。「毎週のようにファンの前でパフォーマンスを行い場数を踏むこと」「他のアイドルのイベントに乗り込みファンをつかんでくること」そして一番大きな課題は「デビューから二年以内に武道館公演を成功させなければ解散」。
無理だと思った。これだけ多くのユニットが乱立する今のアイドル界において、たかだか二年で知名度を上げるのは至難の業だ。しかし、彼女たちはその難題に果敢にも挑んでいった。彼女たちのイベントに通ううち、歌もダンスもぐんぐんとクオリティがアップしていくのを感じた。何より、彼女たちの中に、与えられた課題を成し遂げるという“覚悟”のようなものを感じるようになってきたのだ。
そんな時、めぐり合ったのがこの『暦の上ではディセンバー』だ。この曲が話題となり、大きな舞台に立つ彼女たちを見ていると、ドラマの中で描かれたたくさんのアイドルたちの姿ともダブって見える。彼女たちがブレイクすることによって、またひとつあまちゃんの中の物語が現実になるのだ。
これからのリアルな世界でのベイビーレイズがどんな活躍を見せてくれるのか。そして来年までに武道館公演を成し遂げることはできるのか、彼女たちのこれからに期待したい。
※画像はベイビーレイズ公式サイトより http://www.babyraids.net/