週刊文春“安藤美姫出産アンケート”における真の問題点とは?

  by 花村ユキト  Tags :  

『週刊文春』が「安藤美姫選手の出産を支持しますか?」と、緊急アンケートを行ったことで、ネットでは物議が起こっています。

そのアンケートは、まず「出産を祝福する声が上がると同時に、まだ結婚しておらず、父親が誰かも明かさないことへの疑問や、子育ても競技も中途半端になるのではないかなどの批判もあります」と前置きしてから、「1)あなたは安藤美姫選手の出産を支持しますか?」「2)子育てをしながら五輪を目指すことに賛成ですか?」と出産の是非についてYES/NOで答えるというもの。

これに対してネットユーザーからは批判が殺到。現在、TwitterなどのSNSを中心に炎上状態となっています。事態を重く見た週刊文春は、緊急アンケートではなく、編集長名義での緊急謝罪を行いました。内容は以下のようなものです。

 

女性の出産という大変デリケートな問題にもかかわらず、設問を「出産を支持しますか?」「子育てしながら五輪を目指すことに賛成ですか?」としてしまったために、出産そのものを否定したり、働きながら子育てをすることを批判しているような印象をあたえてしまいました。その点については、編集長の私の責任です。このアンケートに関して不快な思いを抱かれたすべての方にお詫び申し上げます。

 

形式上は謝罪しているのですが、これをアンケートとして考えた場合、謝罪するべき点はそこではありません。では一体、何が問題なのでしょうか。

 

■誘導質問の禁止

アンケートとは、もともと社会を調査するための方法です。これを専門とする社会学では調査の際に絶対に行ってはいけないテクニックのひとつに“誘導質問”を挙げています。

(1)あなたは死刑制度についてどう思っていますか?

(2)死刑は非人道的な刑罰です。あなたは死刑制度に賛成ですか?

上記の質問は同じ死刑制度について取り上げていますが、単純に答えを求めている(1)に対して、(2)は死刑に対して悪いイメージを与えてから質問をしています。

このように賛成と答えづらいように細工をしたり、直前に余計な情報を与えることは、調査結果にノイズが入るとして学術的に禁止されている行為なのです。

 

■週刊文春の場合

学術的に週刊文春のアンケートを見た場合、問題となる個所は「まだ結婚しておらず、父親が誰かも明かさないことへの疑問や、子育ても競技も中途半端になるのではないかなどの批判もあります」という箇所です。直前にイメージを下げておくことで、マイナス発言を引き出そうとしているのでしょう。

週刊文春の謝罪コメントを見てみると分かるように、この誘導に対しての謝罪は一切ありません。何を目的としていたのかは想像に難くないですが、何ともセコい小細工です。

 

■“誘導質問”はどこのメディアでもやっている

実はこのような誘導質問は週刊文春に限らず、大手新聞社やテレビ局などでも平然と行われています。無知でやっているのならばともかく、故意で行っているところも少なくありません。

これからアンケートに答えるときは、質問文に隠された“意図”を読み取るように注意してみてください。コツさえ押さえてしまえば見抜くのは容易です。あの手この手で誘導しようとする質問は非常に滑稽で、見ていて面白いですよ。

千葉在住の駆け出しウェブライター。愛らしいものと甘いものに目がない27歳の腐男子です。SEO会社で働きつつライティングの勉強をしています。ゲーム、アニメ、映画、小説などエンタメ系が大好き。お仕事募集中!

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