山﨑翠佳インタビュー 「わたし自身の人生観も180度変わりました」 初主演映画『カフネ』が公開

  by ときたたかし  Tags :  

岡田准一設立の芸能事務所に所属したことでも話題になった若手俳優の山﨑翠佳が、映画『カフネ』で初主演を飾った。

若干21歳の新鋭・杵村春希長編初監督作品である本作は、小さな漁村を舞台に、妊娠した高校三年生の少女・澪の新たなる決断と希望の物語を、世界遺産の町である三重県熊野でのオールロケで紡いだ。

脚本を読み「彼女のセリフを言いたいと強く惹かれました。わたし自身も180度変わるほど運命を感じました」という山﨑に話を聞いた。

映画『カフネ』は、山﨑演じる澪がさまざまな困難に直面する物語で、山﨑自身が出演を即決した一番の理由は、初めて澪が自分の気持ちを伝えようとするシーンにあったという。

シーン詳細はここでは記述しないが、「わたし自身が過去を振り返り、自分の棚卸しをした時期に重なったんです。そんな時に澪と出会い、これからの道標を貰い、助けられました」と、当時のことを述懐する。山﨑は、「自分の人生は無駄じゃなかった、というような言葉を言ったことはなかったので、強い言葉に惹かれたのだと思います」とも説明する。

完成した作品は、今を生きる同年代の共感を呼びそうなメッセージ性を帯び、すでに鑑賞した観客の声が山﨑の元にも届いていた。

「『当時わたしも誰にも言えなかった。当時観ていたら誰かに相談できたかもしれない』と、実際に妊娠された方の感想メッセージをいただきました。妊娠すると女子のほうが責任を問われてしまう風潮があります。澪自身も『教えてもらっていないから分からんかった』と言っていましたが、そういう気持ちを重ね合わせて観ることができる作品であり、『若い人に観てほしい映画だ』と思いました」と、芸術が持つ力はすごいと反響を振り返る。「わたし自身、澪にも作品にもたくさんのことを教えてもらいました。多くの方に観ていただきたい作品になりました」。

俳優デビューして約4年。今年は社会的に高い注目を集めた朝ドラ『虎に翼』など出演作品にも恵まれた。今回の『カフネ』では映画初主演。「もっと俳優業を」と決意を新たにする契機にもなった。

「撮影が始まり、澪として言いたいセリフを実際に話したのですが、完成した映画を観ると、悔しいことに自分自身の弱いところが滲んでいると思いました。もっとこうしたらと思うこともありました」。

24歳の若手俳優の内には、演技への熱い想いがたぎり始めた。「役としてそこに生きて、役が紡ぐ言葉を真に話したいという目標をくれた作品になりました」。

映画『カフネ』は、10月12日(土)~東京・ポレポレ東中野、11月2日(土)〜大阪・シアターセブンにて上映。

■ストーリー

高校三年生、澪。彼氏である渚の子を妊娠してしまうが、彼氏や家族に打ち明けられずにいた。澪は、孤立しながらも、さまざまな困難に直面し、今まで言葉にしてこなかった気持ちを伝えるために、渚の元へ向かう…。

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo