体によいといわれる、DHAやEPAなどの「オメガ3(ω-3)系脂肪酸」。今回、「オメガ3(ω-3)系脂肪酸」の割合が多い食事を取ることで、恐怖や苦痛を伴う記憶を緩和させる傾向があることを動物実験でつきとめた。話題を呼んでいる。
DHAやEPAなどオメガ3系脂肪酸は、イワシやサバなどの青魚に多く含まれる。これらを食べることで、不安障害などの発症予防に役立つ可能性があるという。
発表したのは、国立精神・神経医療研究センター(東京都)の関口正幸室長らの研究チーム。6月20日から京都市内で開かれる脳神経分野の合同学会で報告する。その実験方法がユニークだ。
オメガ3系は、DHA(ドコサヘキサエン酸)やαリノレン酸などの不飽和脂肪酸。実験では、オメガ3(ω-3)系と、植物油に多いオメガ6(ω-6)系(リノール酸など)の含有割合を変えた餌を食べさせた複数のマウスに、怖がって動かなくなる程度の電気ショックを与えた後、再び動きだすまでの時間を比較。
3系、6系はいずれも必須脂肪酸だが、食事の欧米化が進み、日常生活での3系の摂取量は、6系に比べて減っている。3系と6系の割合を1対7~8にした餌を与えた32匹は、動き出すまでに平均80秒かかったのに対し、この割合を1対1にした32匹では平均42秒に縮まった。関口室長は「魚をたくさん食べて3系の割合を増やすことで、不安障害の発症を抑えられるかもしれない」としている。(2013年6月20日 読売新聞)