患部に貼ることでがん細胞を死滅させる効果がある不織布を、物質・材料研究機構の荏原充宏主任研究員らが開発した。不織布の超微細な繊維(ナノファイバー)には、交流磁場をかけることで発熱する微粒子(磁性ナノ粒子)、および抗がん剤が含まれ、発熱したナノファイバーが縮むことで抗がん剤を放出する。がん細胞が熱に弱いことを利用した温熱療法と抗がん剤を使った化学療法を同時に行う“ダブル療法”として注目される。
研究者らは、皮膚がんの一種である悪性黒色腫の細胞を入れた皿に不織布を乗せ、培養3日目に磁場を5分間かけたところ、翌日にはがん細胞が7割近く死滅した。さらに5分間磁場をかけると、翌日(培養5日目)には8割近くのがん細胞が死滅した。磁性ナノ粒子だけを入れた不織布や抗がん剤だけを投与した場合に比べ、より多くのがん細胞が死滅した。これらの処理をしない場合は、がん細胞が6割近く増加した。また、がん細胞を染色することで、磁性ナノ粒子と抗がん剤を含む不織布を乗せて磁場をかけた時に、効果的にがん細胞を死滅させることも確認された。
今後は、手術後の再発防止への使用や、抗がん剤や磁性ナノ粒子以外の薬物との併用、さらには体内に残せるような生分解性の性質を加えるなど、より機能的な不織布の開発が考えられるという。
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参考HP マイナビニュース:がんの温熱治療と化学療法を同時に行えるナノメッシュ