みなさま、コバンザメの小判(吸盤)の知られざる活用法をご存じでしょうか? なんでも万能な漢方薬になるそうなのです。
その見た目から食欲は全くわかないものの、好奇心は大いにわくので、さっそく調べて煎じて飲んでみたいと思います(`・ω・´)!
(すごく美味しいコバンザメの身のほうの食レポはこちらです)
コバンザメの歴史
その登場は古く、古代ローマ時代にプリニウスが記した「植物誌」には
「船に貼りつくその吸着力の強さから、巷では呪力を持っていると考えられており、コバンザメは『惚れ薬になる』や『裁判に持ち込むことを妨げる一種の呪文として作用する』などの迷信がささやかれ、はては『塩漬けにしたコバンザメの吸盤を身に着けた妊婦は流産せず、陣痛も和らぐ』といわれ、安産のお守りとして活用されている」
というような記述があります。
日本では江戸時代に栗本丹洲が編纂した魚類の図譜「栗氏魚譜」に
「コバンザメは他の生物などに大量にくっついていることから、『大漁の吉兆』として祀られ、告神甚五郎(つげのかみのじんごろう)と呼ばれ、縁起魚として信仰の対象になった。また、肥前唐津地方(現在の佐賀県唐津市)では『陰干しにして煎じて服用すれば、いかなる瘧(おこり。主にマラリアの一種)もたちどころに癒える』といって珍重される」
というような記載があります。
また宇井縫蔵(ういぬうぞう)著の「紀州魚譜」にも
「コバンザメを干して赤痢や喘息の薬とする地方がある」
と書かれています。
さらに調べてみると他にも、「肝臓に効く」だとか「黄疸が消えた」、「万能薬」などどいった噂が出てきました。
※いずれも民間療法であり、効能の科学的根拠は見つけられませんでした。
とても気になるので干して生薬(しょうやく)にしたいと思います!
コバンザメを干して生薬にする
詳しい作り方は分からないので、とりあえず一般的な干物の作り方でやってみようと思います。
干す前の下準備として、濃度3%の塩水に半日漬け、その後ラップをかけずに冷蔵庫で半日寝かせて軽く乾燥させます。
そして干します。
「栗氏魚譜」には「陰干しする」と書いてありますが、あまりにも皮が長期間洗わずにドブ化した水槽に漬けたゴムタイヤ臭がするので、日光で殺菌したく日向で干しました。
夜や雨の日は冷蔵庫にしまいます。
どれぐらい干せば良いのか分からず、あんまり食が進まない(見た目的に)のも手伝って、結局10日ぐらい干してました。
完干しの干物でも干す期間は3~5日間ほどなので、ちょっと長すぎた感は否めません(・∀・;)
コバンザメを煎じる
カッチカチになったコバンザメの小判。
スメルチェックをするとドブタイヤの匂いは消え、ちょっと生臭い煮干しの香りがするようになりました。
さて「煎じる」とはよく言うものの、具体的に何をするのかが分かりません。
そこで漢方の飲み方を調べてみると
「煎じるとは生薬を煮詰めて薬効や滋養を取り出すこと。鍋に600ml程度の水と生薬を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にし、水量が200~250mlになったら火を止めて濾す(生薬を漬けたままにすると有効成分が再吸収されてしまうので、すぐに濾して生薬を取り出す)」
とありましたので、500mlの水が250mlになるまで煮詰めてみました。
完成した煮汁を牛乳瓶に詰めてみると、ほんのり黄色がかった出汁の色をしているのが分かります。
匂いもちょっと生臭いけど普通の煮干し出汁の香りです。
できたてアツアツのうちにちょっと味見をしてみようかな(。・н・。)ペロッ
オエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェ
ドブ川でとった水で煮詰めた煮干し出汁のような味がします……生臭いし、そしてなぜか謎の石鹸臭もする……。
これを飲み続けるのはかなりキツイなぁ……
煎じたコバンザメを飲む
蓋をせずに1時間ほど置いて冷ました汁を飲んでみると、今度はそんなに臭くありませんでした!
どうも悪臭は揮発性なようで、水蒸気とともに飛んだみたいです!
生臭ささは多少残るものの、これなら許容範囲! ちょっと生臭くてマズい普通のだし汁!
でも唇と舌がピリピリします……こんなにピリピリ痺れるものって摂取しちゃダメなんじゃないかな……飲み続けて良いものか不安ですが、とりあえず朝・昼・晩の1日3回空腹時に20mlほど飲んで様子をみたいと思います(`・ω・´)
残った小判を煮つけて食べる
出がらしの小判をそのまま捨てるのは忍びなかったので、生姜、ネギ、醤油、みりん、酒、煎じたコバンザメ汁で煮て、煮つけにしてみました。
皮はゼラチン質でプルプルです。香りは魚油で作った石鹸みたいな匂いがして食が進みません……
そして予想通り骨ばかりで可食部はほとんどなく、骨周りの身をこそぎながら食べてみます。
!?!?!?!?!? すごい鮮烈な生姜みたいな香りと刺激がする!?!?!?!?
生姜の香りや味、刺激成分が移ったのかと思い、生姜ををかじってみるも生姜とはどうも少し違います。
身は生姜よりももっと鮮烈で、薬品で生姜の味や香り、刺激を凝縮再現したような強烈さがあります。
そして皮やネギには生姜っぽさはないので、これは生姜成分が移ったものではないようです。
骨を吸ってみると身よりもさらに強い生姜のような香りと刺激がしたので、どうやらこれはコバンザメの骨エキス由来のもののようです。
これが唇と舌のピリピリ感のもとなのかしら? そしてやっぱり小判には何らかの作用を及ぼす成分が豊富に含まれているということなのかしら?
煎じたコバンザメを飲み続けた結果
とりあえず2日ほど飲み続けてみましたが、体調は悪くはなってないけど良くもならず、といったところです。
漢方は即効性がないものが多いと聞きますので、もっと飲み続けないと効果は分からないとは思うのですが……
しかし2日目から「飲みたくない」と体が拒絶してしまい、過去薬剤アレルギーを起こして死にかけた時と似た体の反応だったので飲むのを中断し、残りは泣く泣く破棄しました。
ただの思い込みによる拒絶反応だとは思いますが、飲み続けて万が一問題が起こった場合、コバンザメに汚名を着せることになってしまうので、今回はここで中止とします。
そして一日中舌がピリピリしています。風邪を引いた時に口の中がマズくなるようなあの感じが一日中続いています。
これがコバンザメの小判の成分によるものなのか、10日も干したので腐敗し何らかの菌が発生しているためなのかは分かりません。
次にコバンザメを入手できたら今度は3日干しぐらいでリベンジしてみたいです(`・ω・´)!!
※画像は全て筆者撮影
コバンザメ購入店:海鮮市場マルモト
https://www.0-to.com/[リンク]
コバンザメの小判が冷蔵庫からはがれなくなった記事はコチラ
https://getnews.jp/archives/3555098[リンク]
参考
https://onibi.cocolog-nifty.com/alain_leroy_/2012/09/post-39da.html[リンク]