2024年8月29日、株式会社ポケモンにてメディア向けの『Pokémon Trading Card Game Pocket』(以下、『ポケポケ』)(iOS、Android)先行体験会が開催された。
「ポケモンカードゲーム」(以下、「ポケカ」)は1996年に発売され、今日に至るまで世界中で愛されているトレーディングカードゲーム。かつては『ポケモンカードGB』(1998年、ゲームボーイ・ゲームボーイカラー)や『ポケモンカードGB2 GR団参上!』(2001年、ゲームボーイカラー)とデジタルゲーム化もされた。そして時代が令和に移った今、日本初のスマホアプリとなって2024年10月30日にリリース予定であることがアナウンスされている。
今回はアプリのリリースに先駆け、実機での操作を試す機会が得られたので、その模様をお届けしよう。
まずは本作のプロデューサーよりアプリのコンセプトが語られた。それによると、本作は特にポケモンカードをまだ体験したことがないプレイヤーに向けて、主にポケカを集める楽しみを体験してもらうことを目的としているのだそう。
会場に用意されたスマホに触ると、すでにアカウントはできており、「Lv.7」と表示されていた。やり込み度がLvとして表示される仕組みだ。
まずは拡張パックを開封していく。体験会では「最強の遺伝子」というタイトルの拡張パックが、ピカチュウ・リザードン・ミュウツーの3種の絵柄から選択できた。絵柄を選択した後にも複数のパッケージが画面の手前から奥へとリング状に表示され、どれを取るか選べるようになっていた。なお、各パックをタップして裏返すことも。実際に店舗でパックを選ぶときのように、どれを選び取るかという楽しみを演出してくれる。
開封時は、パックの上部に一筋の光る線が表示され、端から端までなぞると開封可能だ。綺麗になぞれば一直線で切ることもできるのかもしれないが、筆者は力が入りすぎたせいか線が少しだけ曲がってしまい、画面のパックにも少し斜めの切り口が開いた。細かいところまで実にリアルだ。
筆者が最初に入手できたカードは[♦️♦️♦️]、[♦️♦️]のカードが1枚ずつと、[♦️]のカードが3枚の、計5枚。現行シリーズのポケカで使用されている「C」「U」「RR」といったレアリティ名は使用せず、[♦️]や[★]などのマークとその個数でレアリティを示しているようだ。
プレイ開始時にはパックが2つ無料で開封できるようになっており、12時間経つとまた1パックが無料となる。
さらに10パック開封という10パック一気に開封する機能もあり、これを試してみると開封時の線を1回なぞるだけで10パックすべてが開封されて爽快だった。ちなみに前述したプレイヤーの「Lv.」も、たくさんパックを開封してカードを手に入れたこのタイミングで上がったのを確認できた。
次は、一度ホーム画面に戻って「ゲットチャレンジ」に挑戦する。これは「他のプレイヤーが開封した拡張パックに入っていたものと同じカードを、自分もランダムで1枚ゲットできる」という内容。さまざまな開封結果を眺めてどんなカードが手に入るのかを確認できるうえ、もし欲しいカードが見つかったときは自分も手に入れられるチャンスがあるオイシイ機能だ。これも時間経過とともに溜まっていく「チャレンジパワー」というものを消費して挑むことができる。
カードを手に入れたあとは、「ありがとう!」を送ることで、相手にショップチケットが送られる。もちろんこちらが入手したカードが相手の手持ちから消えることもなく、お互いにとってメリットがある。また、この画面から相手のバトル戦績を見たり、フレンド申請したりすることもできた。
さらに世界中にいる違う言語のプレイヤーから「ゲットチャレンジ」でカードを手に入れた際には、カードの文面は相手の地域の言語で表示されるのだそうで、ちょっとした外国語の勉強にもなりそうだ。
再びホームへ戻り、画面を大きく右へスワイプすると、「コレクションファイル」と「コレクションボード」の機能を試すことができた。
「コレクションファイル」は名前の通り、自分が集めたカードを好きな順番にファイリングできる機能。一方「コレクションボード」は、好きなボードの上にお気に入りのカードを飾れるというもの。カードの中には「イマーシブカード」というデジタルならではの表現があり、カードを長押しするとアニメーションが再生され、カードの絵柄の中に広がる世界が覗き見れるような体験も。これぞアプリならではの要素だと言えるだろう。
さて、いよいよバトル体験へと移っていく。まだデッキを作っていなくても、特定のカードをゲットするとそのカードに応じた「レンタルデッキ」が使用でき、すぐAI相手のバトルに挑むことができた。
実際のポケカとは違い、デッキは20枚構成、ベンチに置けるポケモンは3匹となっており、相手のポケモンを倒すと1ポイントで、ポケモンexを倒すと2ポイント。バトルは3ポイント先取制だ。
アプリでは「エネルギーカード」がない代わりに、「エネルギーゾーン」というエリアが登場する。自分のデッキに応じたエネルギーが毎ターン1つずつここから取得でき、バトル場かベンチに出したポケモンに付けられるようになっている。
自分の番でできることは、手持ちの札からポケモンをベンチに出したり、ポケモンにエネルギーを付けたり、「トレーナーズ」のカードを使って対戦の準備をしたりと、ここは実際のポケカと同じだ。バトル場のポケモンの技を繰り出すとターン終了になるが、技を繰り出す前に未使用のサポート
があると「サポートを使えます」といった使い忘れを知らせてくれるヘルプ機能も確認できた。
筆者はかつて紙のポケモンカードゲームや『ポケモンカードGB』シリーズに親しんでおり、スマホアプリ向けに最適化されたバトルが現実のポケカとどう違うのか正直なところ不安にも思っていたが、実際に試してみるとやり応えはほぼ変わらないのが驚きだった。1試合の長さも5分前後と短く、気軽に楽しめるのも非常に魅力的だ。
なお戦略を立てるのが苦手な方にはオートバトル機能もある。会場では宣伝担当によるデモンストレーションがあり、見ているとなかなかスマートな戦い方をするので、これを見ながら戦略を学ぶのも良さそうだった。
また、自分の手持ちカードでデッキを組んで挑みたいときは、ポケモンのタイプを2種類まで選ぶだけで自動で組み立ててくれる「おまかせ編成」も試すことができる。これもユーザーが選んだタイプよりも、カードの強さを優先してスマートに組み立ててくれる。
例えば筆者が試した際には、「草」タイプを選んでも「草」タイプのポケモンのカードが編成されないのを不思議に思っていたが、手持ちをよく見ると、そこにある「草」タイプは進化の前後でいずれかのカードしかないというものばかりだった。このように「デッキに入れてもバトルで活躍できなさそう」なときには、あえて除外してくれるのだ。
しかし、そうしてスマートにデッキを組み立ててもらっても、まだ手持ちのカード自体が少ない。筆者は「レンタルデッキ」を使った際には勝つことができたが、自分の手持ちカードから編成したデッキで挑んだ際には、先に相手から3Pを取られて負けてしまった。こういうときこそやはり「もっとカードを集めたい!」という気持ちになってしまうものだ。
バトルについてはもちろん対人戦も最初から実装されており、友達とのプライベートマッチはもちろん、世界中の誰かとオンラインバトルにも挑めるようにはなっている。ただ、例えば他のPvPアプリにあるような「リーグ戦」などの導入について記者から質問が出た際には、「現在は検討中」という回答が得られた。
先にコンセプトで語られたように、あくまでこのアプリのメインは「カードを集める」こと。バトルで勝利すれば確かに「パック砂時計」などアイテムを手に入れることもできるし、カードの中にはバトルに勝利することで得られる特別なものもあるようだが、必ずしも「バトルをしなければアプリを楽しめない」という設計にはなっていないようだ。
いずれにしても、「日々AIや対人バトルに挑む」という熱心なプレイも楽しめるし、毎日のパック開封や「ゲットチャレンジ」だけを試して、集めたカードを眺めるといった気ままなプレイも楽しめる。かつての『ポケモンカードGB』ともまた違い、楽しみ方に非常に幅を持たせているアプリだと感じた。
『ポケポケ』が発表されたのは今年2月。かつてのポケカユーザーとしては「これを待っていた」という気持ちが最初に湧いたものだ。紙のポケカには今でも魅力を感じているが、コレクションを続けるには費用と場所の確保が難しく、なかなか戻る機会を見出せずにいた。そんな筆者のようなユーザーでも、アプリであれば気軽に復帰できる。もちろんポケカが初めてのプレイヤーにとっては、『ポケポケ』をきっかけに始める、そんなタイトルに育っていくいくだろう。
では従来のポケカユーザーにとってはどうか。「イマーシブカード」などアプリにしか登場しないカードも楽しめるし、またオンラインでもできるバトルは魅力だ。実際のポケカバトルとは多少違えど、より幅広いユーザーと数多くの対戦をおこなえることは、ポケカバトラーとしても大きな経験値を積むことになるのではないだろうか。
いよいよ10月30日にリリースされる『ポケポケ』。これまでのポケモン関連のアプリゲームともまた違った位置づけであり、いわゆる“ソシャゲ”とも違った存在として親しまれていきそうである。まずはそのリリースが、いちファンとして楽しみだ。
『Pokémon Trading Card Game Pocket』公式サイト:
https://www.pokemon.co.jp/ex/pokemon_tcg_pocket/ja/
(c)2024 Pokémon. (c)1995-2024 Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc.
(c)2024 DeNA Co., Ltd.
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
画面は開発中のものです。
(取材・平原学)