日テレドラマ「雲の階段」がおもしろい。
原作は「失楽園」の渡辺淳一氏。主役は「家政婦のミタ」の長谷川博己、ヒロインに稲森いずみ、木村文乃、ほか萩原聖人、内藤剛志、大友康平など。
番組情報には「メディカルラブサスペンス」とある。
複数要素をギュッと固めたこのキャッチーなフレーズは、およそこのドラマが持つ暗さと恐ろしさに似合わず、目にしたときは思わず絶句した。
まあなにはともあれ、間違いではない。つまり、医療現場を主題とした、恋愛要素ありのサスペンスなのだ。
筋は簡単。長谷川博己演ずる冴えない男が、小さな島の診療所で事務員をするうち医療行為を手伝うようになり、しまいには医師として診療や手術まで行うようになる。
免許のない無資格医であるにも関わらず徐々に野望を持ち、東京の大病院に医者として勤め院長の娘・木村文乃と結婚して副院長にまでのし上がる。
いつ無資格医であることがばれるか。
島の診療所で付き合っていた稲森いずみが東京の病院まで追いかけてきたことの恐怖感。
経験の少ない彼が手術に臨むたび、失敗するのではないかという不安感。
とにかくハラハラドキドキ、目が離せない。話のドラマチックすぎる現実離れした展開に少々興をそがれることもあるが、それを持っても余りある、なぜか、ひきつけられるドラマとなっている。
ドラマのなかで、無資格医である彼は、島でいたく親しまれる医者であった。
だが、それは犯罪行為。免許の持たない人間の医療行為は禁じられている。
さて、ドラマを見ていてふと怖くなったので、現実にあったニセ医者の事件を集めてみた。
ケース① 被災地の”自称医師”
2011年8月、宮城県石巻市で医師免許を持たずに医療行為を行っていたとして男性(42)が逮捕された。
男性が持っていた「医師国家資格認定証」はネットを通じ2万円で業者に作ってもらったという。
代表を務めるボランティア団体が100万円のボランティア支援金を受け取った。また、朝日新聞がこの男性を”ボランティア医師”として「ひと」欄で紹介。その後謝罪記事を出す事態となり、話題となった。
ケース② チョウ結びでバレた無免許医
2013年6月、東京都八王子市で元診療所経営者(45)が逮捕された。医師を雇い、クリニックを経営していたが、医師を確保できなかった曜日には、自分が医師として医療行為を働いていたという。
傷の縫合をしたときに、チョウ結びであることに他の医師が気づき、疑問を持ったという。2年間で延べ8000人以上の患者を診療したとか・・・
ケース③ ニセ経歴で年収2000万円
2005年、東京都で”医者”として複数の病院で勤務をしていた男(33)が逮捕された。
実際は定時制高校中退であったにもかかわらずニセの経歴を作り上げ、内科を中心に医療行為を行っていたとされる。
年収はなんと2000万円ほどあり、高級外車を乗り回していたとか…
医療は、非常に専門的な分野であるため、一般の人には病名から薬の名称、技術などすべてがよくわからず、医者の言うがまま、となってしまいがちだ。また、「おかしい」と思っていても、大学で学び、国家資格に合格している目の前の”お医者様”に対して異を唱えることは、とても勇気のいることでもある。
現実は厳しいが、ドラマ「雲の階段」もかなり厳しい局面へ差し掛かっている。”メディカルラブサスペンス”として、このめちゃめちゃな展開にどう決着をつけるのか、楽しみだ。