サッカー日本代表は11日、ブラジルワールドカップ・アジア最終予選のイラク戦(カタール・ドーハ)を迎えます。
日本はW杯出場権を獲得していますが、イラク戦=消化試合と捉える理由はどこにもありません。私は、「控えの選手」がどれだけやれるか、そして「通常と異なるポジションで起用される選手」がどれだけやれるかにイラク戦の意義を感じています。
先発を目指す細貝に求めたいもの。
「控えの選手」で注目すべきは、細貝萌(ヘルタ・ベルリン)です。キャプテンの長谷部誠が出場停止なので、おそらく遠藤保仁と中盤でコンビを組んで先発することが予想されます。ひょっとしたら今後の日程(イラクからブラジルで移動し、中3日でブラジル代表戦を迎える)を考慮し、遠藤が早めに下がり、高橋秀人と細貝が並んでプレーする展開もあるでしょう。
細貝の先発は2月の国際親善試合・ラトビア戦(前半45分のみの出場)以来。彼は代表でのレギュラー奪取を目指し、サイドバックで起用されることが多かったレヴァークーゼンからヘルタ・ベルリンへの移籍を発表したばかりです。イラク戦、コンフェデレーションズカップへの意気込みは相当なものがあると推察します。
長谷部と同じプレーをする必要はないが、豪州戦の主将の働きは参考になるはずです。中盤でボールを奪取し、サイドバックの裏のスペースをしっかりケアし、時には最終ラインに入って攻撃を跳ね返していました。細貝も良い攻撃につなげるプレーが求められます。個人のパフォーマンスが優れていれば尚良いですが、とにかく勝利に貢献すれば、アルベルト・ザッケローニ監督へのアピールになるでしょう。
本田不在の前線にも通じること。
一方、「通常と異なるポジションで起用される選手」で注目すべきは、香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)です。大黒柱の本田圭佑はイラク戦を回避する見込みなので、香川は豪州戦の左ウイングから中央のトップ下にスライド起用されると思われます。
香川がトップ下で先発するのは、本田不在の場合で、最近は3月のW杯最終予選・ヨルダン戦で出場しています。3-4-3の一角で先発したブルガリア戦もそうですが、香川自身のパフォーマンスは決して悪くないのに、黒星が続いているのは悩ましいところ。「本田不在でチームの集中力が高まっていないのでは」と余計な声も聞こえてきそうです。
香川、そして隣でプレーすると思われる乾貴士や清武弘嗣。彼らのクオリティーに疑いの余地はありません。要は自信。単純な話、自分でゴールを決めて、勝利に貢献すれば良いのです。特に香川は乾や清武よりも得点への欲求が強いからこそ、マンチェスター・Uでプレーしているのでしょう。
イラク戦では、香川も含めた元セレッソ(大阪)トリオが結果を残し、代表での自信を深めて欲しい。「言葉とプレーでチームを引っ張る本田が居なくても大丈夫」と胸を張れるか。その為のイラク戦と言っても過言ではありません。