『お終活 再春!人生ラプソディ』凰稀かなめインタビュー 「これから自分たちにも起こり得るだろうことを描いている作品です」

  by ときたたかし  Tags :  

「お終活」をテーマにした前作『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』のシリーズ第2弾、『お終活 再春!人生ラプソディ』が公開中です。パワーアップした第2弾のテーマは“再春”。主演の高畑淳子さんを中心に、これからも続いていく自分の人生を楽しく豊かに過ごすことの素晴らしさを、豪華キャストで描いています。

その本作に高畑さん演じる千賀子にシャンソンを教え、“再春”のお手伝いをする丸山英恵を、凰稀かなめさんが好演。お話をうかがいました。

■公式サイト:https://oshu-katsu.com/2/ [リンク]

●丸山英恵というキャラクターは、音楽プロデューサーであり、主人公にシャンソンを教える、言ってみれば“再春”のお手伝いをする素敵な役柄でしたね。

もともとシャンソンはわたしも歌ったり、教えてもらったり、コンサートに出演させていただいていて、身近にあるものでした。英恵さんの音楽プロデューサーの仕事も身近にいる方から日頃学ぶことも多かったので、そういう方に詳細を教えてもらったり、わたしは二人三脚の個人事務所で普段社長の姿もよく見ているので、参考にするものがたくさんありました。いろいろなものをかき集めて英恵さんになった、というイメージです。

●本作は「お終活」人気シリーズの第2弾となりますが、出演が決まった時はいかがでしたか?

わたしは、舞台のお仕事が多いのですが、映像にも力を入れていきたいので、映画のオファーをいただいた時はうれしかったです。おっしゃるように今回の作品はシリーズ第2弾ということで、第1弾の方々がすでにいらっしゃる現場の中に入っていくから、緊張して上手く入り込めるかなと思ったのですが、そんな心配はまったく要らなかったです。みなさん温かく受け止めてくださったので、好きなように楽しくやらせていただきました。

●映画で扱っていることは、誰にでも起こり得る現実ではありますよね。

そうですね。台本をいただいた時、わたしの両親は70歳を過ぎているので、これから自分たちにも起こり得るだろうことを描いていると思いました。わたし自身も40歳を過ぎ、これから介護をしていく、またはいずれわたしもそういう時が来るということを思った時、改めて早めに準備をしておくことがとても大切だなと思いました。

わたし自身もともと介護のことに興味があって勉強していたりしていたのですが、両親と今後のことなどについて話すようになりました。ただ、両親はとてもしっかりしている人たちなので、多少は決めていることもあったのですが、現実的にいろいろなことをどんどんやっていこうと。映画出演を経て実際にいろいろ決まっていったところはあります。

●こういう映画を観るという機会でもないと、知らないことがたくさんあるままだなと思いました。

この映画を観ていただくと分かるかも知れませんが、知識があるだけでも全然違うと思うんです。たとえば認知症、アルツハイマー、そういうものになってしまった時に、しちゃいけないことがたくさんあるんです。そういうことを知らないと、分からずに相手に接してしまうわけですよね。

これはある方の実体験とまとめた本の話なのですが、たとえばスーパーで毎日同じものを買う、靴下を買いに来るお客さんがいて。レジの方が「これはおかしいぞ」と思う。でもそこで「これ本当にほしいですか?」「買いますか?」と聞いてはいけないそうなんです。叱ったり、拒否してはいけないと。

住まいなども質問で聞き出すのではなく、お茶でも飲み何気ない会話をしながら聞き出すようにしないといけない。そういうことが少しでも分かっていると、人助けになる。自分の両親がそうなった場合、そう接していただくと安心しますよね。違うと拒絶すると、不安で混乱してしまうそうなんです。ちょっとしたことですが、勉強しておくと意識が変わるなと思いました。

●「お終活」という生前整理をすることだけでなく、これからの人生も楽しもうという“再春”というテーマについては思うことはありますか?

今回“再春”ということで、第二の人生、やりたかったことをやってみることがテーマになっていますよね。実際にわたしの両親も父親も小唄や三味線、母親は70歳を過ぎてダンスを始めたり、それぞれ人生を楽しむじゃないけれど、出来ることをやっていくようになりました。すごく前向きな感じになり、今を楽しめているのですごく元気だと思います。

映画を観ていると、両親と重なるところもあり、いずれわたしにも訪れることなので再春を楽しめたら良いなと。そのためにも今はたくさん仕事をして悔いなく生きたいと、この映画を通してとても勉強になりました。

●今日はありがとうございました!

■ストーリー

大原千賀子(高畑淳子)、真一(橋爪功)の一人娘・亜矢(剛力彩芽)が、いよいよ結婚目前! 喜びあふれる大原家だが、真一の認知症疑惑という新たな問題が……。

その一方で、千賀子は若い頃に習っていたシャンソンの恩師の娘・丸山英恵(凰稀かなめ)との出会いがきっかけで、再びレッスンに通いだす。音楽ライブプロデューサーでもある英恵からステージでシャンソンを歌わないかと勧められ、大張り切りの千賀子だが、コンサート目前に開催が危うくなり……。

はたして、千賀子はステージで歌えるのか!?そして大原家は一体、これからどうなるのか!?

スタイリスト:杏吏

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ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo