北原里英インタビュー「面白いことを起こさないとという使命感で一瞬も気が抜けなかったです(笑)」 『劇場版 マーダー★ミステリー』の撮影を述懐

  by ときたたかし  Tags :  

公開中の映画、『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目端男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』に、北原里英さんが出演しました。北原さんは、事件が起こる村に最近移住してきた元看護師・七尾優子役で、「観ている方にも一緒に推理して楽しんでもらいたいなと思います」と作品をアピ―ルします。

推理小説の登場人物となり、参加者は話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲーム『マーダーミステリー』。そのシステムをベースに、ストーリーテラーに劇団ひとりを迎えた同シリーズはドラマ化、舞台化などを経て、劇場版に。先の読めない展開が話題となりましたが、そのスリリングな緊張感は本作でも健在です。北原さんにお話をうかがいました。

●本作は、人気沸騰中の体験型ゲーム「マーダーミステリー」をベースにしているので、出演者のみなさんは結末を知らずに推理しつつ、お芝居もしているわけですよね?

そうなんです。本当に知らないんです。今回途中で現場移動があったのですが、わたしたちは移動するなんて知らないから、「え? この時間から移動?」みたいなことも(笑)。なのでわたしたちにとっても、本当に脱出ゲームに参加しているような感覚でした。

●単に事件を解決するだけでなく、みなさん自身でエンターテインメント作品に仕上げないといけないですよね。

ミステリーなので、犯人の人は自分がバレてはいけないという使命があるし、犯人じゃない人からしたら犯人を見つけないといけないという使命もあるんです。それに加えて、わたしたちはもうひとつ、映画にするために面白くしないといけないんです。面白いことを起こさないとっていう使命感もあって、本当に一瞬も気が抜けなかったです。

●普通の映画の撮影のほうが楽ですか?(笑)

そうですね(笑)。それこそ普通の映画の撮影だったら、今自分が撮られていることが分かるじゃないですか。でもこの作品は、いつ自分が抜かれてるか分からないですし、ずっと撮られているし、そもそも撮られているという意識はないのですが、ずっとその役でいないといけない。しかも何が起きても動じてはいけないので、そういう撮影は本当に大変で、なかなかハードな一日でした。

●観ていても何となく伝わるのですが、セリフも自分で考えるわけですよね?

だからもうわたしなどは全然力不足で、ちゃんとしたセリフになっている自信がないんですけど(笑)。高橋克典さんの独白シーンがすごくて「え? 台本ある?」みたいなあらぬ疑いを向けるくらいのハイレベルでしたが、たまに噛んだりすると、ある程度用意はしてきたとかも知れないにせよ、本当に今考えて喋っているんだと分かるっていう(笑)。

もちろん自分に与えられた設定の範囲内で、ここを突かれたらこう逃げなきゃなとか、何かあったらこれを言おうなどとみんな考えていたと思うのですが、それでもほんとにみなさが芸達者すぎて、撮影しながら感心しました。本当に尊敬です!

●仕事としてやりきった感じはいかがでしたか?

やりきった感はありました。やっぱりまずみんなで完走が目的だったので、そこの達成感はありましたし、あと撮影していてもいろいろなことが起きて楽しかったですね。

やっぱり「マーダーミステリー」の緊張感と、これが1本の映画になるということへの緊張感ですかね。面白くなるのかな? 面白くしないといけないという使命感なども多分にあったとは思うので、終わった時に大丈夫かなっていうのもありつつ、いや、我々よく頑張りました、みたいな達成感はありました。

●それこそ健闘を称え合う瞬間もありそうですね。

みんなよく頑張ったよ! みたいな(笑)。だから本当にすごい絆が生まれて、ひとつのことにみんなで取り組んだという体育祭みたいな絆が生まれていたと思います。2日目がお芝居パートで、1日目がアドリブパート、事件発生から解決とアフタートークまでを撮っていて、2日目がその前の芝居と回想シーンだったのですが、2日目にはみんな超仲良しみたいな(笑)。「あの時どうだった?」と話すこともいっぱいあるので、そういう答え合わせみたいなことをみんなで2日目にしました。なので、みなさんも結末を知った上で見たら、めっちゃ面白いと思います!

●最後になりますが、映画を観る方へメッセージをお願いいたします。

「マーダーミステリー」は参加型、体験型だと思うので、観ている方にも一緒に推理して楽しんでもらいたいなと思いますし、観ている方も分からないから、結末や先の展開が読めないだろうけれど、やっている我々も先の展開を知らない状態でやっているっていうのを見ると、より一緒に体験してる感じが得られる、没入感が得られるんじゃないかと思います!

■ストーリー

嘘と秘密が渦巻く… 閉ざされた村の長い一夜。
劇場版の舞台は『一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する』という不気味な伝承が残る鬼灯村(ほおずきむら)。
その伝承をもとに「三つ首祭り」という奇妙な鬼祭が行われていた夜、村の長を務める一乗寺家当主の遺体が発見される。
しかし、その日、村へと続く一本道で土砂崩れが発生、警察が到着する迄にはかなりの時間を要する。
当時、屋敷にいたのは8人。それぞれ人には言えない秘密を抱えており、全員が殺害の動機をもっていた。
事件の真相に迫るべく、登場人物を演じるキャストによるアドリブ推理が予測不能な結末へと導かれていく!

■公式サイト:https://madarame-misuo.com/

(C) 2024 劇場版「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ

『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目端男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』
全国公開中

撮影=オサダコウジ

ヘアメイク:熊谷美奈子
スタイリスト:山田梨乃

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo