元サッカー日本代表・坪井慶介「楽しむことは僕自身も指導のテーマ」 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』インタビュー

  by ときたたかし  Tags :  

タイカ・ワイティティ監督最新作『ネクスト・ゴール・ウィンズ』を、元サッカー日本代表・坪井慶介さんが鑑賞。その公開を記念して、坪井さんが現役時代に所属していた浦和レッズのホーム、浦和でイベントも開催。

2001年、ワールドカップ予選史上最悪の0-31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められていない米領サモアチームに、次の予選が迫っていた。そこへ破天荒な性格でアメリカを追われた鬼コーチ、トーマス・ロンゲンが就任。立て直しを図ろうとするが……という実話ベースの物語です。

サッカーが題材ではあるものの、タイカ・ワイティティ監督は独自の世界観とユーモアを盛り込み、人生の負けを知り、再生したいと願うすべての人に贈る感動作に仕上げました。「サッカーが題材の映画だということをあまり気にせず、たくさんの人に観てほしいなと思っています」と共感した坪井さんに、本作の魅力を聞きました。

■公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/nextgoalwins [リンク]

●本作のイベント、盛況に終えられた今、感想はいかがですか?

今日は寒かったと思いますが、たくさんの方々がご来場されたので、非常に良かったなと思っています。

●ご出身の地元である浦和でのイベント開催ということで、格別な思いもありますか?

そうですね。うれしいです。この街を離れて9年くらいは経ちますが、それだけ離れたにも関わらずこのように呼んでいただけること、街を歩いていれば声をかけてくださる方たちもまだ沢山いるので、非常にうれしいです。浦和のサポーターが本当に素晴らしいなと思うことは、世代を超えて受け継がれていっていることをすごく感じるんですよね。

●世代を超えてファンになってくれているという。

小さい頃、お父さんやおじいちゃんと一緒に観に来ていたっていう子が大きくなり、「実はあの頃、僕あそこで観ていたんです」という声をよく聞くんです。なので、今でも浦和に帰って来るとそういう風に声をかけていただけることが非常にありがたくうれしいです。今回イベントを開催出来ましたが、恩返しはまだまだ足りないかもしれない(笑)。

●イベントでも言われていましたが、今は主人公と同じ指導者であり、米領サモアのチームの選手たちと同様に挫折の体験もあり、本当に坪井さんにぴったりの映画ですよね。

まさしくです。僕も別に寄せて来たわけじゃないですよ(笑)。映画を初めて観させていただいた時、なんだかいろいろと思い出しました。

そして、この映画で描かれたテーマでもあるのですが、やっぱり楽しくないと特に子供ってなかなかやらないんですよ。サッカーが好きで来てる子は当然やるのですが、僕が日頃行っているようなイベントには、そうでなくボール触ったことがないって子もたくさん来るんです。 その子たちが普段からサッカーをやっている子たちと一緒にやるから、そちらに合わせてしまうとつまらないわけなんですね。

●本当にこの映画のままですね。

非常に難しいテーマなんです。どうすればその子たちが楽しんでプレイ出来るかということを僕自身の指導のテーマにしているので、そこを大事にしています。この映画を観て改めて感じたことは、やっぱりそこですよね。楽しくないとやらないよねっていう。本当に難しいのですが。

●『ネクスト・ゴール・ウィンズ』を観て、ヒントになることはありましたか?

ひとつは、やっぱり熱量ですよね。相手に伝わる熱量を持って、それをきちんと伝えなきゃいけないということ。団体スポーツでは当たり前のことなのですが、結局はひとりじゃ何もできないわけですよ。もちろん、自分に矢印を向けて頑張らなきゃいけないのですが、それじゃ乗り越えられないことがある。そうなった時に仲間がいて、指導者がいて、助けてくれる人がいるということが団体スポーツの良さだと僕は思っているので、そのあたりもすごく上手く映画で表現されているなと思いました。

●そして、実話をベースにしたサッカーが題材の映画ではありますが、痛みを知るすべての人たちの物語でもあるので、誰が観ても心動くものはありますよね。

そうですね。サッカーに関係した人間として共感できる部分がたくさんあったのですが、サッカーをあまり知らない方でも心が揺さぶられ、感動するシーンがいっぱいありますので、楽しんでもらえる作品になっていると思います。サッカーが題材の映画だということをあまり気にせず、たくさんの人に観てほしいなと思っています。

■ストーリー

2001年、ワールドカップ予選史上最悪の0-31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められていない米領サモアチームに、次の予選が迫っていた。破天荒な性格でアメリカを追われた鬼コーチ、トーマス・ロンゲンが就任し、立て直しを図るが、果たして奇跡の1勝は挙げられるのか!?

実話をベースに『ジョジョ・ラビット』『ソー:ラブ&サンダー』のタイカ・ワイティティが、全ての“負けを知る”人々にエールを贈る、感動と興奮のスポーツ・コメディドラマ。

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ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo