オトナ向けペットコメディ『スラムドッグス』、森久保祥太郎&津田健次郎インタビュー「笑えるだけのコメディではありません」「意外なところでもっていかれますよ(笑)」

  by ときたたかし  Tags :  

R指定ながらも大ヒットとなった『テッド』のユニバーサル・スタジオ最新作、『スラムドッグス』が日本でも公開となります。悪徳飼い主に捨てられたワンちゃんたちが、飼い主に復讐を果たすまでのドタバタ珍道中を爽快に描く、オトナ向けペットコメディに仕上がっています。

その本作に人気声優の森久保祥太郎さんと津田健次郎さんが参戦。主人公犬、レジーの救世主となる“野良犬”界のカリスマ、バグを森久保さんが、過去にトラウマを持つメタリスト犬のハンターを津田さんが、それぞれ演じています。<愛犬家は鑑賞注意!>の本作について話を聞きました。

■公式サイト:slumdogs-movie.jp [リンク]

●あの『テッド』のノリを感じるところもあったと思いますが、まずはご覧になった感想はいかがでしょうか?

森久保:台本上や収録していて気がつかなかったことが、映画全体を観た時に改めて気付くことがたくさんありましたね。収録中は没頭していたりするので、全体を観た時に最初は下品だなと思うこともあったのですが(笑)、ふとした瞬間に心を持っていかれるところが多々ありました。

津田:収録はみんなバラバラだったので、全体を観ると印象がまったく違ったのですが、非常にお下品でかなり振り切った内容ではあるのですが(笑)、侮れない、油断出来ないストーリーですよね。ふとした時に挿し込まれる良さみたいなものに驚かされる作品ですよね。

森久保:自分の劇団でコメディーをやっていた時も8~9割を笑わせて、そっちにふっておいて残りの1~2割で感動させる仕立てが僕自身も好きで、まさにそういう感じなので自分の好みにも合っていました(笑)。

津田:コメディー要素でたくさん笑わせておいて、本当に言いたいことはこっちだったか、みたいな(笑)。そういう部分も多分にある作品ですので、よく出来た映画だなと思いました。

●おふたりが演じられたバグとハンター、どういうキャラクターか改めて教えてください。

森久保:僕が演じたバグは野良犬界で突っ張って生きて来た犬で、人情味、いや犬情味があると言いますか(笑)、レジーと出会って放っておけないところがあるんですね。野良犬界で強くはないが、心意気がある。ただ、そこに至るには過去のあることがポイントで、多くは語れないのですが、それがあっての野良犬道を貫いているんす。

津田:ハンターは大型の犬で、気が弱い、繊細と言いますか、穏やかですよね。最初のシーンなどでも他の犬たちにバカにされているのに気付いていない、あまり言い返せない、そういうところがあり、上手いキャスティングとでも言いますか、キャラクター付けもとてもいいなと。演じていても不器用さなどが全面に出ていて、遠吠えが出来ないシーンが好きでした(笑)。

●レジー役のロバート秋山さん、マギー役のマギーさんの印象はいかがでしたか?

津田:秋山さんは良い意味で秋山さんが臭がしないので、その化け方と言いますかね、「あこれ秋山さんだったんだ!?」という役をしっかり演じていらっしゃる。それはマギーさんも同じで、おふたりとも本来カラーが強いので、役にしっかりなっている表現力は素敵だなと思いました。

森久保:マギーさんは初めての声優の仕事とおっしゃっていましたが、とてもぴったりだなと思いました。秋山さんは、ご本人が大柄なので、あの小型犬が秋山さんなのか、と一瞬思いました。レジーの純粋無垢な感じが冒頭から出ていて、いい意味で衝撃! 裏切られた感じがありましたね。

●かなり刺激的なシーンが続く中、動物と人間の関係など、何か感じ取ったテーマはありますか?

津田:もちろん、人間に対してのブラックユーモアもとてもある映画なので、もしかしたら映画製作をされているみなさんが、動物を虐待している人間たちにこの映画を制作することで復讐をしているかのような(笑)。映画で懲らしめてやるみたいな強い意思を、シーンを通して感じましたね。

森久保:当初、プロデューサ陣から「本当に大丈夫なのか?」という声もあったそうなんです。ですがそのギリギリのラインから、ただのお下劣な作品ではなく、テーマが一本通っているところ感じてGOを出したと。

津田:とにかくみんな一生懸命に生きているんですよね。ワンちゃんたちの間には強い絆が生まれていて、シンプルに観ていて感動的だなと思いますよね。一生懸命に生きている姿が素敵なんです。ドタバタのロードムービーらしさもしっかりあって、いい映画だなと思って観ていました。生きていく力強さ、仲間の絆なみたいなものが良かったです。

森久保:僕自身も犬を飼っているので、レジーたちを見て、動物は人間に対して無償の愛を抱いてくれているのだなとしみじみ感じました。動物の人間に対する愛情ってすごいなと。あとは動物側の感情は、人間がもっと感じてあげなくちゃいけないなと思いました。今日家に帰ったら愛犬に「大丈夫か?」と聞かないと(笑)。

●今日はありがとうございました。最後になりますが、映画を楽しみにしている方へメッセージをお願いいたします。

津田:とにかく何も気にせず劇場に足を運んでいただいて、ワンちゃんたちの活躍を見ていただいて、笑っていただければいいかなと思っております。もちろんそれだけの映画ではないとも思っています!

森久保:犬好きのみなさんにはもちろんでございますが、気軽に観ていただいたほうが、意外なところで心を持っていかれるシーンがあると思います。コメディだと思って観に来ていただいて、いろいろな感情を持ち帰ってほしいです!

■ストーリー

ある日、犬のレジーは、飼い主ダグに家から遠い場所に捨てられてしまう。しかしピュアなレジーは、投げられたボールを取りに行く、いつもの “取ってこいクソッタレ”ゲームだと信じていた。

家を目指してさまよっていると、ノラ犬界のカリスマ・バグと出会う。レジーの話を聞いたバグは「捨てられたんだよ。お前は今日から“ノラ犬”だ!」と断言する。飼い主ダグが最低なヤツだと気付いたレジーは、
まさかの方法で復讐することを決意。「あいつの大切なチ〇コを噛みちぎってやる!」
大胆なレジーの計画に賛同したバグの友達であるマギーとハンターも仲間に加わる。
果たして、この復讐チン道中の行方はいかに!?

吹替版:ロバート・秋山竜次、マギー、森久保祥太郎、津田健次郎、森川智之ほか
公開中
配給:東宝東和
国内レイティング:PG12
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ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo