上大迫祐希インタビュー 主演作『青すぎる、青』「ありのままで行けばいいことをこの映画が教えてくれた」

  by ときたたかし  Tags :  

今関あきよし監督が壮大な桜島を背景に、昔ながらの懐かしい風景と近代建物が共存する街である鹿児島市を中心に描いた大人のためのファンタジー映画、『青すぎる、青』が公開になりました。

主人公・美巳(みみ)役は、初主演『神田川のふたり』(22)で、第96回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞部門第3位にランクイン、記憶に新しい『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(23)では、藤尾役を好演して話題となった上大迫祐希さんが演じています。

自身も鹿児島出身で、主人公に共感することも少なくなかったという上大迫さん。お話を聞きました。

■公式サイト:http://is-field.com/ao/index.html [リンク]

●本作の撮影は昨年、地元でもある鹿児島で行なわれたそうですね。

そうですね。オール鹿児島ロケ作品なので、鹿児島市内や南大隅町というところで、特に市内はわたしがずっと暮らしてきた街での撮影でした。学生時代まで当たり前のように過ごしてきた場所だったので、不思議な感覚になりました。うれしいし、夢みたいな撮影期間だったと思います。

●ご自身としては、大学生活の最後の時期でしたよね。

物語そのものも、大学の卒業制作で何を作ろうか思い悩み、努力しようとする主人公でした。わたし自身も大学に通っていて、去年の秋は大学の卒業制作に追われている時期だったので、この作品の美巳とリンクしていました。卒業制作に追われている不安や戸惑い、人の作品と見て比べてしまったり、そういう気持ちが共感出来る部分でした。

●美巳という女性は、ちょうど人生の岐路に立っていますよね。

彼女は、子どもから大人になる境目の年齢ですよね。一番いろいろなことに思い悩み、考えてしまう時期だと思うので、その時の心情がこの映画の中に収められている気がしています。

●ご自身と環境的な接点も多いキャラクターだったと思うのですが、その点はいかがですか?

今言ったような美巳そのものの葛藤や戸惑いが、映画の中で前面に出ていると思うのですが、わたし自身は日常生活で人と関わる上で、あからさまに人に悩みをぶつけられることは、そうそうないんですよね。どこか気を使い、何かをまとった上で行動することが多いのですが、この映画の美巳はそれをさらけ出しているんですね。

●そこが違うところなんですね。

彼女には信頼できる希良(きら)という親友がいて、本来の自分、人に見せている面ではなく、自分の内側を絞り出している。わたしの場合は普段の生活ではどこか鎧をまとっているところはあると思うので、日頃あまり悩みを言い出せないところもあるのですが、美巳は希良という親友がいるので救われているなと感じました。

●この『青すぎる、青』は、ご自身のリアルな今を収めているという意味ではとてもメモリアルな作品になりましたね。

そうですね。わたしの過ごしていたリアルな時間も残してくれた気がするので、大事な時間をこの撮影期間に過ごせていたと思いますし、それこそ人と比べてしまうという意味では、それまで比べていた自分をこの映画が救ってくれたと思うんです。人と比べることはせず、ありのままの自分で進んで行けばいいと、この映画が教えてくれたような気がしていて、この撮影を通して前向きになれました。

●それは同じような葛藤を抱えている方に響く言葉ではないでしょうか。

そうだといいですよね。美巳と同じ世代、20代前半、子どもと大人の間にいる時期の人にも観てほしいと思いますし、大人になった人たちもこんな時期があったなと思い返せるような心情を移していると思うので、振り返ってみてほしいですし、いろいろな人に観てほしいなという感じです。

●ところで、映画作品では『神田川のふたり』(22)、『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(23)、また「ABEMA 恋愛ドラマな恋がしたい〜Kiss me like a princess〜」など話題作への出演が続いていますね。

上京して5年で、ここまでのお仕事をさせていただけるとは思っていなくて、そんなビジョンもなかったんです。主演映画もありがたいことに2作品目で、正直、大学の4年間で何も芽が出なかったら辞めようと思っていたんです。難しかったら就職しようと思っていたので、ご縁とタイミングというか、いろいろな方に支えられてここに来ているなと感じています。

●この先のことと言いますか、次の10年など思うことはありますか?

この先の10年はもっと知らない景色を見たいですし、いろいろなことに恐れることなく挑戦してみたいなと思っているんです。あと最初にお世話になった映画が『スパゲティコード・ラブ』(21)という作品があるのですが、その時のみなさんとまた現場でご一緒したいという想いがあります。

■ストーリー

父親を亡くし、心に穴があいたままの美巳(みみ)。父の代わりに店を切り盛りする為にやって来た伯母・嘉子(よしこ)との向き合い方もわからず、自分を見失いそうになっていた。親友の希良(きら)は、前向きな性格だが、そんな自分を持て余している。美巳との向き合い方がうまくいかない嘉子もまた人には言えない深い秘密を抱えていた。

そんな美巳に不可思議な変化が起こり始める…

上大迫祐希
原 愛音 肥後遼太郎
松元裕樹 まっぴーさくらじま 森 優稀 三浦結愛 穂原康博 新名真郎 田中千枝子
逢澤みちる / 窪塚俊介 佐伯日菜子

監督・原案:今関あきよし 
Ⓒ2023「青すぎる、青」製作委員会
全国順次公開中

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo