藤原大祐、20歳を機に「より一層、この仕事で生きていく覚悟が出来た」表現者として唯一無二の存在目指す 映画『リゾートバイト』インタビュー

  by ときたたかし  Tags :  

ドラマ「神様のえこひいき」、映画『追想ジャーニー』など活躍中の若手俳優・藤原大祐さんが、新感覚ホラー映画『リゾートバイト』に出演しました。

本作は、有名なネット怪談を元に映画化した作品で、旅行を兼ねてとある島にある旅館でリゾートバイトを行うことになった大学生たちが、後戻りできない恐怖体験をしていく様を描きます。

ホラー初挑戦となった藤原さんに作品のこと、仕事のこと、さまざまなテーマでお話をうかがいました。

■公式サイト:https://resortbeit.com/ [リンク]

●今回の『リゾートバイト』、最初にオファーが来た時はいかがでしたか?

僕自身ホラーがあまり得意ではないので、それまで触れる機会がほぼなかったのですが、自分が演じる側にまわることには興味がありました。お話が来た時に、ぜひやらせていただきたいと思ったのですが、台本の段階ではどういう感じになるのか想像がつかなかったです。

●完成した作品はいかがだったでしょうか?

まったく想像と違いました。シーンの順番も当初とは違ったり、テンポもとても速い。永江(二朗)監督の中にはホラー理論があり、理想の完成形が見えていたようだったので、本当に身を委ねるような感じでした。「普段とは違う感じかも知れないけれど、よろしくね」みたいな感じで、僕も自分のお芝居はすべてディレクションに任せていた感じです。

●演じられたのは主人公の幼馴染の大学生、真中聡でした。

聡はテンションが高いわけではないのですが、心の底ではとても優しくて。桜と海を観たいからリゾートバイトにしたという、桜への想いもある。でも手を繋ぎたくても出来ないような、一歩踏み出せないところもある男の子なんです。そういうところは演じる上で念頭にありました。

●ホラー映画の体験は、どのようなものでしたか?

お芝居のアプローチがまったく違いました。目に見えているものをどう受け取るかがお芝居だと思うのですが、ホラーに関しては基本的に何も見えないんですよ。撮影もワンシーンを撮るのではなく、それぞれポイントで撮影をしていました。それは正直難しかったです。普段自分の芝居を見ていいなと思うことはないのですが、いろいろな壁を発見出来たのでよかったです。

●撮影は、笠岡市白石島で長期のロケをされたそうですね。

そうです。一か月弱かな。白石島はとてもきれいで、音が本当にないんですよ。東京に戻った時、うるさくて耳を押さえてしまうくらい音がなくて。建物も少なくてのどかで、昼間はとてもきれいでよかったです。夜はホラーの撮影があったので、恐怖の島になっていましたけど(笑)。

●主演の伊原六花さんをはじめ、同世代の俳優さんたちとの共演はいかがでしょうか?

年齢が近いと、こっちからも<出したくなる>んです。大先輩との共演だと受け取りたい、ほしいほしいとなるのですが、いろいろ仕掛けるとどうなるのかなとより<投げたくなる>、と思ったりしました。みなさんがどう思っていたか分からないので、僕が勝手にそう思っていたことなのですが。

●2019年にデビューされ、4年経った今、思うことはなんでしょうか?

僕なりに紆余曲折はあったので、壁にぶつかり、経験したことで、より本質で楽しめるようにはなりました。最初は表面的に楽しんでいた部分がああったんです。お芝居が出来る、お仕事いただけてうれしいみたいな、そんなことより何を届けたいか、自分がする理由、そういう本質的なところと向き合う時間が増えてきて、それを通してより楽しめている感覚はあります。

●ちなみに今自分で思う課題は?

熱量が高くなると、どんどんエゴが出てきちゃうので、極限までエゴを減らすことが目標ですね。エゴは熱量なので大事なことなのですが、どっちも出来るようになりたいなと、それがテーマです。相手を受け入れて、いろいろな人を受け入れて紡いでいくのが目標です。エゴを出すのも減らすのも、いいバランスで維持したいと思っています。

●この映画が公開になる10月に20歳になられると思いますが、仕事や生き方について想いを新たにすることはありますか?

20歳を機に第二章が始まるような気がしていて、いろいろなことがスタートして来ます。より一層、この仕事で生きていくのだと、覚悟が出来ているところです。表現者として唯一無二の存在として生きられるように、よりクリエイティヴに行きたいですね。

●その活動で表現したいものやテーマはありますか?

葛藤、ですかね。それは良いことも悪いことも、世の中に対して思うこと。基本的に葛藤が熱を生む気がしていて、たとえば目的の前に障害があったとして、目的がある時に熱が生まれ、障害がある時に葛藤が生まれると思っているんです。それに希望があるけれど、一筋縄ではいかないから希望であり続けるわけで、すんなりいったら希望にならなかったりする、壁があるから美しくなると思うんですよね。それをいろいろなことに置き換えて表現してみたいです。

●今日はありがとうございました。最後に『リゾートバイト』を楽しみにしている方々へ一言お願いいたします。

記念すべきホラー初挑戦でした。そこにも注目してほしいですし、ホラー作品としてもこれまでにないような進み方の作品になっていると思うので、楽しんでほしいです。あっという間に86分過ぎると思いますし、永江監督いわく「お子さまにも楽しんでいただける作品」となっています。予告はめっちゃ怖かったのですが(笑)、楽しんで観てほしいです!

■ストーリー

大学に通う内田桜(伊原六花)は引っ込み思案の性格でなかなか周りに溶けこめない生活を送っていた。幼馴染で同じ大学に通う真中聡(藤原大祐)がそんな桜を気分転換のために同じく幼馴染の華村希美(秋田汐梨)を誘い、旅行を兼ねてとある島にある旅館でアルバイトすることに。

桜たちが働くことになった旅館は夫婦とフリーターの岩崎で営んでいた。ただ、旅館の主人・健介(坪内守)が足を怪我したことで桜たちをバイトとして雇うことなる。本格的なシーズン前でもあり、十分な休憩時間があった桜たちはリゾート地を楽しむことができ、その中で桜も自然と笑顔を取り戻してゆく。

そんなある日、桜は女将の真樹子(佐伯日菜子)が毎晩、深夜にひっそりと廊下を歩き、食事を運んでいる姿を目撃し、言い知れぬ不安を抱く。それから数日後、朝食時にフリーターの岩崎から桜たちは肝試しを提案される。その内容は桜が目撃した深夜に食事を運ぶ女将が向かうこの旅館の隠し部屋へ行くことであった。不安を感じる桜であったが、その夜、二人一組で“秘密の扉”へ向かうことになる。最初は桜と聡の二人。

扉を開けると、暗がりの中に二階への階段があった。怖がりの桜は恐怖で立ちすくみ、進むことできずにいると、聡は桜を様子に気づき、一人で階段を上がってゆく。この行動が桜たちの後戻りできない恐怖体験の始まりだった。

撮影=塚本桃

伊原六花
藤原大祐 秋田汐梨 / 松浦祐也 坪内守 / 佐伯日菜子
梶原 善
監督:永江二朗 脚本:宮本武史
企画/制作:キャンター 配給:イオンエンターテイメント
製作:映画「リゾートバイト」製作委員会
©2023「リゾートバイト」製作委員会
グランドシネマサンシャイン池袋、イオンシネマほか全国公開中!

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo