ファンの欲求と笑いの取り方を理解するAKBメンバーは誰?

  by 香椎みるめ  Tags :  

AKB48のバラエティ番組『AKBINGO!』は、今春の改編期に合わせて、放送枠が水曜深夜から火曜深夜へ移動する。水曜深夜枠で最後の3月27日放送分は、新しい時間帯一発目で視聴率が取れる企画を各メンバーがプレゼンしていく「緊急企画総選挙」というものであった。なお、放送日は制作の日本テレビでオンエアされた日付なので、ネタバレにはご注意を。

プレゼン一つ取っても、「ファンは何を求めているか」「どうすれば笑いを取れるか」を理解できているメンバーがはっきりする。“笑い”が人気に直結するとは思わないが、『AKBINGO!』に出られないほど忙しい人気メンバーはそれなりに喋れることが多い。AKB48と姉妹グループのHKT48のメンバーが持ち込み企画を紹介していたが、その中でも松井咲子さん、梅田彩佳さん、大家志津香さんのプレゼンは秀逸であった。

苗字がかぶっている選抜に対決を申し込めば…。

ラジオで安定したトークスキルを発揮している松井咲子さん。彼女の持ち込み企画は『じゃない方AKB』。“優子”じゃない方の大島涼花さん、“みなみ”じゃない方の高橋朱里さん、“陽菜”じゃない方の小嶋菜月さん、小嶋真子さんら、メディア露出や人気で劣るメンバーの“じゃない方あるある”を紹介していくというもの。

「なるほど」と思った。せっかくの冠番組である。視聴者はAKB48のファン層が占める割合が大きいだろう。「おっと、この子はあまり知らなかったけど…」という気付きがあるはずだ。ただ、“じゃない方”ならではの切ない話もいいが、苗字が同じ選抜メンバーと「これなら勝てる」対決をすれば盛り上がるのではないか。新鮮な組み合わせもあるだろう。VTRでも良いので、是非やって欲しいと思う。

ファンの心理を突いたプライベートな部屋着。

篠田麻里子さん、大島優子さんと並んでチームキャプテンを務める梅田彩佳さん。彼女は『部屋着ファッションショー』を提案した。過去の人気企画『私服コレクション』『ショージキ将棋」などの共通点が「メンバーのプライベートが分かる」とし、より踏み込んだものということで部屋着に辿り着いたとのこと。

インターネットの普及でプライベートな恰好は決して真新しいものではないが、すべてのメンバーが積極的に明かしているわけではない(それが良いのか悪いのかは置いておいて)。「これが部屋着」と言い張って、とんでもない恰好で登場すればインパクトもある。ちなみに、次週予告はメンバーがパジャマ姿でトークする様子が流れている。

飛び出す自虐ネタにふさわしい場所とは…。

ピンでテレビ出演する機会が増えている大家志津香さん。彼女の持ち込み企画は『ネガティブ書道』。要は“どれだけネガティブなことを書道で書けるか”というもの。枠移動後の初回放送にしては地味な企画にも思えたが、実際にやってみるとスタジオはなかなか湧いていた。

誠に失礼だが、大家さんは飛び抜けた美人ではないし、選抜常連ほどの人気もない。だからこその自虐ネタが次々と飛び出し、なおかつアイドルじゃなくても「分かるわ」と思える内容。大喜利の才能がある大家さんや松井さんにはぴったりの企画だが、ラジオでも通用する企画というのが残念なところ。そのまま『AKB48のオールナイトニッポン』などで始めればいい。書いた紙を視聴者プレゼントすれば完璧である。

画像: 松井さん、梅田さん、大家さんのアメーバブログのキャプチャーをコラージュしたもの
http://ameblo.jp/dance-ayapon/
http://ameblo.jp/sakikomatsui1210/
http://ameblo.jp/shizuka-oya-we/

香椎みるめ: フリーのライター、英日翻訳者、校閲者の三刀流。平成生まれ。性別は秘密。ウェブマガジン「GIGAMEN」で10年、計1890本以上の記事を執筆。サッカーの観戦記から始まった物書き屋は、「Yahoo!ニュース」や「ガジェット通信」に掲載された経験も活かしつつ、今は日本市場へ参入する海外企業の皆さんとタッグを組みながら、ありとあらゆる「文字を書くお仕事」をこなす日々。

Twitter: GigaMirumeK