『Starfield』レビュー:壮大なスケールとたっぷり詰まったSF要素! 宇宙好きなら「プレイしないと損」なオープンワールドRPG

とんでもないオープンワールドRPGが登場したもんだ。もちろんそれは超話題作『Starfield(以下、スターフィールド)』のことだ。

宇宙に魅力を感じたことが一度でもあるなら、「プレイしないと損」。だからこそ、損してしまう人を少しでも減らすためにも、本作の魅力を語りたい……!

地続きではないオープンワールドRPG! 宇宙を舞台にした『スターフィールド』

『スターフィールド』は、「The Elder Scrolls」シリーズや「Fallout」シリーズを開発したBethesda Game Studios(ベセスダ・ゲーム・スタジオ)の最新作となるオープンワールドRPG。しかも、単なる最新作ではない。これまでのどのシリーズにも属さない、完全新規のタイトルなのだ。

オープンワールドRPGの醍醐味と言えば、地続きで作られた世界を自由に探索すること。たとえば、これまで「The Elder Scrolls」シリーズでは剣と魔法のファンタジー世界を、「Fallout」シリーズでは核戦争後の終末世界を自由に探索することができた。これに対し本作の舞台は、宇宙!

本作の舞台はひとつの星ではなく、宇宙が舞台。なので地続きではない。地面の束縛から離れて様々な星へ自由にアクセスし、冒険できるのだ。この時点で本作のスケールはこれまでの作品を凌ぐもの。

また様々な星が舞台ということは、星々を行き来できるほど文明が繁栄し、科学が発達しているということでもある。このため、ゲーム世界の持つ情報量が膨大なものになっているのだ。

これはもう、オープンワールドというより、オープンスペース!……いや、オープンスペースというと、ビル内の開放空間のようで逆にスケールが小さいか。とにかく本作は、これまでのオープンワールドRPGと比べて圧倒的なスケールを持っているのだ。

ではその圧倒的なスケールは、ゲーム的にどう表現されているのか? 基本的な部分では、マップやシナリオのボリューム面だろう。プレイヤーはメインシナリオを追いつつも、1000というボリュームを誇る惑星を自由に訪れることができ、サブシナリオや探索を楽しむことができる。

メインシナリオの目的は謎の構造物、アーティファクトの謎を解くこと。プレイヤーは自分のキャラクターを作成した後、衛星ベクテラの採掘場で採掘の仕事を行うことになる。ここでプレイヤーはアーティファクトを発見し、神秘的なビジョンを体験。

これがきっかけとなって主人公は、探検家集団「コンステレーション」へと加入。アーティファクトの謎を解くため、星々をまたにかけた冒険を繰り広げることになる。

冒険の中で遭遇する敵とのバトルも、本作のスケール感をアップしている。星に着陸した状態での対人戦はFPSスタイルの銃撃戦。これに加えて、宇宙船に乗った状態での空中戦も用意されている。

空中戦ではもちろん、360°自由な移動が可能。対人戦とはまったく勝手が違う『エースコンバット』などのフライトコンバットゲームのようなプレイ感が味わえる。

育成要素も充実しており、クラフト要素に加えて宇宙船のカスタマイズ要素も存在。宇宙船の装備を変えれば、能力値のみならず見た目も変化する。

これがたまらない! なにせ、自分にとっての愛機を作り込めてしまう、ハン・ソロとミレニアム・ファルコン(映画「スター・ウォーズ」サーガ)、カーク船長とエンタープライズ(映画「スタートレック」シリーズ)といった、「愛機とともに宇宙を駆ける」というシチュエーションを満喫できちゃうわけだ。

これだけスケールが大きく、やることが多いとなると、当然プレイ時間も膨大……なように思えるのだが、意外にもそうではない。もちろん各要素をやりこめば膨大な時間がかかるだろう。しかし、「ゲームをプレイしたぞ」と充実感を味わうのに必要なプレイ時間は、そこまでやりこみが必要というものでもない。本作はテンポが早いため、1時間程度のプレイであっても探索や戦闘の楽しさをしっかり味わえるのだ。

というのも、本作の移動は基本的にファストトラベル(ワープ)が主体。メニュー画面からクエストの目的地を指定し、瞬間移動ができるようになっている。このため、オープンワールドRPGでありがちな大きなイベントがなく、ただ移動しているだけ……となり、時間が抑えられているのだ。

一方、ただ移動する……という要素は、オープンワールドの魅力でもある。この点は、ファストトラベルを使わず移動することで様々なアイテムを発見可能という別場面の要素によってバランスが取られていると感じた。

我々の生きる現実と地続き! SFとしてのおもしろさ

宇宙を舞台にした本作は、オープンワールドRPGでありながらマップが地続きではない、そんな表現を採用した。一方で、本作は我々の生きる現実と地続きになっている。この点もまた、本作ならではの魅力だ。

本作は宇宙を舞台にしたSFとして作られている。SFとは「サイエンス・フィクション(科学)」のことで、「科学」に基づいて創造された物語だ。では「科学」とは何かといえば、カンタンに表現するなら「仕組みを明らかにすること」だろう。

「科学」によって生物や自然現象の仕組みが明らかになることで、さまざまな発明が生まれる。物体の運動の仕組みや燃料が爆発する仕組みが明らかになっていなかったなら、「自動車のエンジン」は発明できなかった。

ということは、「科学に基づく」以上、たとえ架空の物語であっても、「我々の住む現実の仕組み」の影響を無視できない。宇宙船の仕組みや星々に住む生命体などは、架空のものであったとしても、「我々の住む現実」の延長線上でなければ「SF」とはいえないわけだ。

この点が本作のおもしろいところ。

本作の宇宙にも地球や月がちゃんと存在している。「我々の住む現実」の延長線上だからだ。また、人類が地球から宇宙へと進出した以上、そこに住む生物も「我々の住む現実」の生物の延長線上にいる存在といえる。

では、本作において地球や月はどうなっているのか?
人間以外の生物たちはどうなっているのか?
そして、それはなぜなのか?

こうした点を「我々の住む現実」と地続きの問題として楽しめるのが、SF作品である本作の魅力だ。

一方、これまでコミックや映画でSF作品へ親しんできた人間にとっては、「あるある」な要素が味わえるのもイイ。たとえば、本作では敵宇宙船とドッキングすることで、敵宇宙船へ乗り込むことができる。敵宇宙船の航行機能を奪い、ドッキングして乗り込んで制圧……スペースオペラ作品で観たことがある、熱い展開だ。

エンジン出力を最低限に落とし、敵宇宙船のセンサーをかいくぐるというシチュエーションも存在。筆者は思わず、『スター・ウォーズ』でミレニアム・ファルコン号が小惑星に身を隠すシーンをイメージしてしまった。『スター・ウォーズ』でもそのスリルにはドキドキしたものだが、自分で宇宙船を操縦する分、本作のドキドキ感も相当強い。

そして、人類の力を大きく上回る異星生物とのバトルも存在している。あるクエストでは、異星生物から逃走しつつ、迎撃用の兵器を起動していく。直接攻撃以外の手段を使って戦うという点で、『エイリアン』のようなSFホラー的なプレイ感が味わえる。

「我々の住む現実に、この先どんな未来が想定されるのか?」というSF本来の魅力に加え、SF作品をオマージュしたかのような、カジュアルな魅力も味わえる。この点は「スケールの大きさ」と並ぶ、本作の大きな魅力だと思う。

宇宙やSFが好きならプレイすべし! ただしPCでプレイするならSSD必須

広大な宇宙を舞台に、カスタマイズした宇宙船を駆って自由に探索する。そして「我々の住む現実」の延長線上の世界に思いをはせつつ、さまざまなSFネタも味わえる……。宇宙やSFが好きなら、こんな本作に魅力を感じずにはいられないだろう。

ただ、購入にあたっては一点だけ注意が必要だ。

本作購入にあたっての注意、それはPC版を購入する場合のストレージには、挙動に時間を要するHDD(ハード・ディスク・ドライブ)ではなく、動きの速いSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)が必須だということ。この点はSteamページのシステム要件欄に「追記事項:SSD Required」というかたちで記されている。

PC版をHDDにインストールしても起動とプレイ自体は行うことができるのだが、30秒に1度くらいの割合で画面が停止してしまうようだ。この症状は筆者自身が体験したほか、ネット上での報告も散見している。

筆者は当初、この追記事項をよく見ずにHDDへインストール、上記のフリーズ症状が発生した。最初はグラフィックボードのスペックが低いのかと思ったのだが、筆者は昨年1月の時点でそれなりのグラフィックボードに買い替えている。なので、なにか他の原因がないかと調べてみたところ、ストレージが原因という情報に行き当たったのだ。

情報を読んですぐゲームをHDDからSSDへ移動したところ、一切画面が停止することなくスムーズにプレイできるようになった。恐らく、次のシーンへの移行時に必要なデータ量が多いため頻繁に読み込みを行っており、HDDではその速度に耐えられないのだろう。

以上から、PCにSSDを積んでいないという人は、本作購入と同時にSSDを購入するか、Xbox版をプレイするかの検討が必要だ。ちなみに個人的にはSSDを購入してでも、『スターフィールド』はプレイする価値のあるゲームだと思う。

『スターフィールド』における愛機(=宇宙船)をカスタマイズするようなイメージで、まずは現実の愛機(=PC)をカスタマイズすると、気分も盛り上がるしオススメだ。なぜならそう、本作と我々の現実は地続きなのだから。

文/田中一広

ガジェット通信ゲーム班

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