竹内力インタビュー 「俳優人生で一番しっくり来たのが『ミナミの帝王』のキャラクター、さらなる高みに到達すべく作品作りをしました」 新シリーズ『欲望の街』配信開始

  by ときたたかし  Tags :  

竹内力さんがミナミを舞台に再び活躍する新シリーズ、『欲望の街』が現在U-NEXTで独占配信中です。

殺人罪で9年の服役を終えた、ひとりの男(竹内さん)。その半年後、男はミナミへ向かう。その目的は、9年前の事件の黒幕を探し出し、報復を果たすため。暴力ではなく、法律で悪を裁いていく男は、果たして黒幕まで辿り着けるのか……。

「さらなる高みに到達すべく作品作りをしました」と語るご本人にお話を聞きました。

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●今回のドラマのタイトル『欲望の街』は『難波金融伝 ミナミの帝王』の主題歌から来ていますが、ドラマ再開の声が多かったそうですね。

もう一度『ミナミの帝王』をやってほしいという声は、ずいぶん前からありました。たとえば仕事で大阪に行った時に、新大阪駅でタクシーに乗った時、飲み屋さんに行った時などいつも言われていていたんです。しかしながら、実現するのはそう簡単ではないと思うなか、一年くらい前からSNSというものを今の時代に合わせて始めたところ、ファンのみなさんからの再開を希望するコメントがダイレクトに届くようになったんです。それで自分のやる気に火が付いたというか形を変えてやってみようという事になりました。

●製作にあたっては法改正やコンプライアンスの遵守など、時代の変化を考慮する必要があったそうですね。

今の時代の方が撮影しやすいと思う部分はあります。ただ、昔と違い撮影の許可取りが難しくなっています。昔であればどこへ行ってもすぐに撮影許可が降りたものの、コロナ禍もあって何かあったらと気持ち的に守りに入ってる方たちが多く、なかなか撮影場所として借りれない場所も多かったんです。あとは、SNSなどのツールを作品に取り入れたり、とにかく作品の色を変えたかったですね。当時のテイストはそのままに色は変えたかった。

●それは具体的にはどういうことでしょう?

たとえば単純に車の色ですね。作品のイメージを一新するわけでなく、今の時代に合わせて再生させたかったんです。視覚的にも「古いな、これは」と思われたくなかったんです。だから車はビビットな水色。実は、大阪まで積載車で運んだ自分の車なんですけど(笑)。スタイリッシュ、おしゃれに見えたらいいなとは思っています。

ストーリーの設定上、主人公は9年もの間社会から隔離されていたので、キャラクターのいかつさなど、とげが取れた感じに演じています。
実際、俺もうすぐ還暦ですからね(笑)。

●オリジナル作品という意味では、製作の感想はいかがでしょうか?

正直難しいところもありました。自由にできる普通のオリジナルならともかく、『ミナミの帝王』のイメージが視聴者の印象にあるので、内容的にそれを下回るものを作れば、みんなをがっかりさせてしまうじゃないですか。それはちょっと出来ないなと思いました。オレが大阪でまた作品を撮るとなれば、ファンの方には大きな期待があると思います。それを肩透かしみたいにはしたくない。だから、期待に応えれるよう以前のキャラクターイメージを残すために、金融屋から事件師へと変更し、自分の元銀行員のテクニックである札勘などは出来るキャラクターにして、ストーリーの冒頭を主人公が刑務所に入っていた設定にしたんです。

●そういう工夫があるわけですね。

それこそ演歌の大御所の山本譲二さんが出てくれると面白いなとか、脚本打ち合わせの作業が始まると面白いように次々とアイデアが溢れ出て来ました。1話2話とストーリーは繋がっていきますが、巨大な権力を持つ闇のフィクサーに報復出来るのか楽しみにしてて貰いたいです。

●改めて『欲望の街』の配信が始まった今、いかがでしょうか?

自分も後一年で還暦になり、自分の俳優人生、役者みたいなことをやって来たわけだけれど、竹内力という役者がいて、自分がやっていて一番しっくり来たのが、『ミナミの帝王』のキャラクターなんです。もちろん漫画原作はありますが、それとは別に映像の方はオリジナルのテイストで作っていったので、自分で作り上げたキャラクターとして確立した自信もありました。

なので今回は今の時代のネタを集めて、『ミナミの帝王』を共に作り上げてきた、監督、脚本家に集結してもらい、さらなる高みに到達すべく気合いを入れて製作しました。『ミナミの帝王』のファンのみなさんはもちろんのこと、若い世代の方々にも届いてくれる事を願っています!

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ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo