坂巻有紗インタビュー ヒロイン演じた映画『GONZA』は、「5人の身体が入れ替わるコメディですが、いろいろなものがギュッとつまった素敵な映画です!」

  by ときたたかし  Tags :  

絵に描いたような“普通”が代名詞の主人公・鹿島拓海が新人研修で奈良を訪れ、「人間が食べると罰が当たる」とされる鹿せんべいをつまみ食いしてしまったがために同じチームの新入社員5人の身体が入れ替わってしまう新感覚ラブコメディ、映画『GONZA』が全国順次公開中です(別府ブルーバード劇場 7/28~8/3、青森・シネマ・ディクト9/30~ほか)です。

その本作で才色兼備なヒロイン北嶋ナディア役を、坂巻有紗さんが好演。TGC teenやファッションリーダーズ、関西コレクションに出演などモデルとしても活躍中。昨年の長編映画デビューを機に、今年は映画出演が続いていて、俳優としても飛躍の一年に。ご本人にお話をうかがいました。

■公式サイト:https://gonza-movie.com/ [リンク]

●本作は5人の身体が入れ替わる物語という大変珍しい設定ですが、脚本の最初の印象はいかがでしたか?

身体が入れ替わる設定は理解出来ましたが、自分の役名的には北嶋ナディアなのに、撮影の大半は男の子としての自分がメインだったので、まず率直に面白そうだなと思いました。性別を飛び越えてしまうわけなのでドキドキとワクワクが増して、早く現場に行きたいなと思いました。

●実際、難しかったですか?

やはり変な感じはしましたね(笑)。ただ、自分が難しかったというよりは、自分を演じている相手を見ながら演技をしているわけだから、「わたしこんなことしてたっけ?」みたいな(笑)。食べ方とかもいろいろ思うとことろがあったのですが、わたしを演じている上村侑さんも同じことを思っていたみたいで、その点の話し合いをしつつ、お互いに対応をしていました。なので、ふたりで調整する時間をたくさん設けました。

●なるほど。相手の要素を入れたお芝居をする必要があるわけですね。

そうなんです。自分だけを演じればよいわけじゃないのですが、でも楽しかったです(笑)。ただ、あとは演じていくうちにわけがわからなくなっていって、何が拓海(上村さん)で何がナディアなのか、ということにもなったので、ちゃんと自分に自信を持たないとダメだなと思いました。でないと、撮影の最後のほうではブレちゃうので、これは今回の学びでした。

●監督はどういうリクエストを?

監督が細かく説明してくれたので、拓海になりやすかったです。その時の気持ちや状況も「今こういうことだから」と、分かりやすく全部整理してくれました。

●そして多様性などさまざまなテーマが流れていると思いますが、物語の感想はいかがでしたか?

ただ身体が入れ替わるコメディ的な展開だけじゃなくて、社会的な問題とか、たくさん考えさせられることがあると思いました。いろいろなものがギュッとつまったような 素敵な映画だなと思いますね。

●作品に関わって良かったことは何でしょうか?

わたしには元々LGBTQの方々のお友達もいるのですが、その人たちなり の悩みや葛藤は絶対あるはずで、そういうものが完璧には理解できていなかったなということが、映画を観て改めて分かりました。その人たちの恋愛観も知ることが出来ましたので、その実情は勉強になりました。

●最後になりますが、改めて映画を観るもなさんに一言お願いします、

ふたりなどではなく5人も入れ替わるストーリーで、一気にボン!と入れ替わるので本当に答え合わせみたいなところもあるのですふぁ、個性豊かなキャラクターが集まってひとつの輪になっているチームです。ひとりひとりの人生が垣間見えるシーンもあり、考えさせられる映画でもあるから、この映画を一本観ただけで何個も感想が浮かぶ、そういう映画になっているので、ぜひ劇場で観ていただきたいと思います。

■ストーリー

大のゲーム好き以外は取り柄がない鹿島拓海は、奈良で実施する新人研修に初日から遅刻してしまう。あわてて走り込んだ研修センターの廊下で、すれ違いざまに才色兼備な新人女性社員・北嶋ナディアとぶつかり一目惚れ!
5人が一組となり、研修最終日にプレゼン発表のミッションがくだる。拓海はナディアや英美里、王、イバンと同じチームになり、資料作りをしていると、予期せぬ出来事が!
神様のお供物・権座(GONZA)を口にした後、「人間が食べると罰が当たる」とされる鹿せんべいをつまみ食いした拓海のせいで、チーム5人の身体が入れ替わっちゃった!?
「僕の私の身体はどこ?」「秘密がバレてしまう!」「思うように動けない?」「そもそもなんで!!!」
LGBTQ、車イスユーザーなどごちゃまぜな状態に。
うろたえる5人に、研修担当社員・松永は、奈良観光気分を味わえるように開発されたゲーム「ファイ奈良ファンタジー」のヒントを出した。
入れ替わったことで、私ではない誰かの悩みやコンプレックスが浮き彫りになり、ハプニングと想いが交錯する中で徐々に見えてくる現実(リアル)。プレゼン最終日までに、果たして5人は元に戻ることが出来るのか?

配給:ベストブレーン
(C) 2023「GONZA」製作委員会

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo