フランス人とスペイン人から見る今後の外交関係

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スペイン人のルームメイト(28歳、女性、パーティと豆腐が大好き)と暮らし始めて早半年。

 

スペイン人男性と出会ったときとお別れするときには必ず両ほっぺにキスを受けることや、

集合場所に15分遅れていくことはマナーだとか、

(準備が終わってなかったらしらけるじゃない?らしい。)

ガスパッチョを作るのは恋人の口を塞ぐくらい簡単(?)・・・らしいということなど

色々なことを教えてもらった。

 

私も私で、サーモンは寿司だけでなく、ポピュラーな朝ごはん(焼き鮭)なんだとか

(彼らには朝、魚を食べるのはありえないことらしい)

渋谷のスクランブル交差点のYOUTUBE動画はお祭りではなく日常の風景なんだとか、

※参考動画⇒http://www.youtube.com/watch?v=Z04NrFXnrM4

(彼らに言わせるとこんなに沢山の人と車が交互に綺麗に行きかっているのはもはや芸術らしい。)

特別何を使わなくてもこんなに太くて真っ直ぐで黒い髪の毛が生えてくるのだとか・・・

(ほわほわの猫っ毛でカーリーヘアの彼女にはそれが羨ましいんだとか・・・)

 

そして彼女には仲良しのフランス人の友達がいる。
週末になるとよく我が家に集まって大概飲んでいる

(私たちは2人で住んでる為、仲間内で一番広い部屋に住んでいる)

外で飲めばいいと思うのに彼らはみんな宅飲み…もとい、ホームパーティ大好き。

もういい大人なのに。夜な夜な両手に思い思いの酒瓶を持って集合してくる。

そんないつものある週末の話。
いつものようにみんなで飲んでいた。
ジントニック大好きな、ザ・陽気なスペイン人の私のルームメイト、カロータはギターを弾き出し、

同じくスペイン人のホァンは先週みんなで行った日本式カラオケボックスの楽しさについて、来られなかった彼の友達に力説していた。

(スペインには日本式のカラオケボックスがないらしい)

酒はストレート!がモットー、なのにすぐ酔っぱらうフランス人のビクターはいつものようにラムをストレートで飲みながらトイレのドア全開で用を足していた。

イギリス人のトムは酔っぱらうといつものようにタバコを部屋の中で吸い始めるし、

いつもの普通の金曜日だった。平常運行。

 

そんな時、いつも笑顔を絶やさない、皆のアイドル、ほんわか癒し系、なのに超ヘビースモーカー&ドリンカーのスペイン人のソフィアがまん丸のおいしそうなオムレツを作ってくれた。

『みんなで食べよう〜スパニッシュオムレツだよ』

 

と言って。やはり、モテる女は違うなぁと思いながら殿方に取り分けることもせず、

早速その綺麗なオムレツにフォークを突っ込む私。

ほんのり焦げ目のついたオムレツはちょうどホールのケーキを切り分ける要領で切られていて、中にはちょっと半熟の卵とスライスしたジャガイモが入っていた、文句なしに美味しい。お酒に合う!!

 

そこでビクターが言う。
『美味しいけどコレ、普通のオムレツじゃん。どこがスパニッシュなの?』

 

ふむ、確かに。私もそう思っていた。

 

その瞬間、カロータのギターを弾く手がピタッと止まった。

ホァンもカラオケの話をやめ、

ひと仕事終えたソフィアもタバコに火をつけ振り向いた。
そしてカロータが口火を切る。

『知らないの!?スペインにはスパニッシュオムレツとフレンチオムレツがあるのよ!何でか知ってる?フランスと戦争していた時、スペインには食料が無くてね、具に何も入れることができなかったの!だからそれ以来、具の入っていないオムレツはフレンチオムレツって呼ぶのよ!』

 

その剣幕に驚くビクター。

『ああ、そうなんだ。フランスでは具の有る無しに関わらず、オムレツはオムレツだからね。知らなかったよ。』

 

ホァンが笑いながら続ける。

『お前、馬鹿だな。知っておくべきだよ。そういう過去があって今があるんだから。』

 

そしてビクターも笑いながら返す。

『ほんとにそうだな。いい勉強になったよ。それにしても相変わらずスペイン人は口が悪いな、喧嘩の時や冗談でも”お前のママの上で糞するぞ”(そういう表現がスペイン語にはあるらしい!英語でfuck youみたいな意味)なんて言う奴らいないよ。』

 

ソフィアがにっこりと微笑む。

『あんたのママだけじゃないわよ。”あなたの十字架の上でも糞するぞ”って表現もあるわよ。』

 

そして皆で大爆笑。

ビクターは『スペイン人は本当にクレイジーだ』とラムを飲み干した。

『そうね、スペイン人て本当に変よね。』とスペイン人同士顔を合わせて笑い、みんなでグラスを空にした。
もちろんすかさず次のお酒をつぐ。

そして、『サルート』(スペイン語で乾杯の意味)と大きくジョッキを持ち上げて再度みんなで乾杯した。

次の瞬間、またカロータのギターの音色が部屋を包む。

どこまで話したっけ?と言いながら、とにかく日本式カラオケはプライベートのクラブみたいな感じで超楽しいんだと話を続けるホァン。
ビクターはまた、よろよろしながらトイレに行った。

戻ってきて、ソフィアに最近ふられた女の子について相談しだしていた。

全てがまた元通りになった。

 

たった3分足らずの出来事だったけど、私が驚いたのは言うまでもない。

こんな風にさらっと、からっと、過去の話をできる隣国関係は羨ましいなと心底思った。
私にも韓国人や中国人の友達はいるけど、やっぱりそういった話題は意識的に避けてしまう。楽しく笑って済ませられない気がするから。

 

いつか東アジアにもこんな風に過去のことを話せる日が来るだろうか。

昔は、そんなこともあったんだよね〜って言って、笑い飛ばせるだろうか。
ちょっとヨーロッパを羨ましく思った夜だった。

 

P.S.

でも、戦争中にオムレツ食べれるって…

お芋の茎を食べたっていうおばあちゃんの話を聞いて育った私としては

まだまだ余裕を感じてしまうのですが…

アフリカ、アジアを中心に放浪中。 そうめんが好き♥

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