サラダを金出して買ったことがない記者が以前に食べて感動したサラダの専門店であるWith Greenが夏メニューを出したということで早速、取材に出かけた。
そうでなくても物価高騰の折り、サラダみたいな葉っぱに金を出すなんて…と思ってはいないだろうか。記者はそう思っていた。確かに野菜を多く食べることで必要な栄養素を摂取し、体の調子を整えることくらいは百も承知している。しかしだ、多くの人は子供のころから野菜嫌いでそのまま大人になっているから食べられないということはないものの、わざわざ外食で野菜を注文することは少ないのではないだろうか。だいたい食べても栄養素が摂取できているかなんてわからないし、そもそもあの青臭さが嫌だ、という方も多いはず。そこで、美味しいサラダを食べるべき理由を伝授したい。野菜を積極的に食べない方はちょっとお読みいただきたい。
今回注文するのは夏メニューの2種類だ。やってきたのはWith Green新宿三丁目店。お昼を過ぎて昼下がりに差し掛かろうとする外食店にとっては閑散時間帯ながら、店内は空席がわずかにあるだけという盛況ぶり。その間にもテイクアウトのお客さんはひっきりなしに入っては出ていく。注文するとすぐに作り始めるので作り置きは一切ないが、サラダに加熱調理をするものはないので出来上がりが早いのは当然だ。
一般的にイメージするサラダは確かにお世辞にも美味しいとは言えない。それは野菜そのものに原因があるのと、サラダ=野菜のみというイメージに基づいた構成にあると考える。
サラダが嫌いな方が好きなのはやはり対極に位置する肉であり、お腹いっぱいに食べるにはコメしかないのでサラダはお腹にたまらない。それは大きな誤りで、同店のサラダには肉たっぷり、おコメたっぷりのメニューもあるがトッピングの組み合わせで無限に好きなものだけを選んで作ってくれるので、店員に相談すればベースとなるサラダに好きなだけ肉やコメを詰め込んでくれるだろう。これがサラダを食べる理由の一つで、なにも野菜だけがサラダではないということだ。肉でもコメでも好きなだけ食べればよい。大事なのは「野菜だけを食べなければならない」ではなく「野菜も含めてバランスよく食べる」だ。
今回の夏メニューは『レモンペッパーポークと甘夏みかんのデリサラダ』と『バーベキューチキンとたっぷり夏野菜のサラダ』だが、トッピングや変更はせずにメニュー通りの注文とした。ちなみに推奨ドレッシングはあるが、数あるものの中から好みのドレッシングを選択することも可能だ。
『レモンペッパーポークと甘夏みかんのデリサラダ』
『レモンペッパーポークと甘夏みかんのデリサラダ』は今年収穫した九州産の甘夏みかんと、レモン香るペッパーポークを組み合わせたサラダだ。推奨ドレッシングはハニーミルクドレッシングで、シーザーサラダの酸味を取り除いたような濃厚ドレッシング。レモンペッパーポークはせこいことを言わない大量投入で、塩味が効いているのでポークと野菜を食べれば程よい塩味が効いてその部分はドレッシング要らずかも。塩で食べると素材の善し悪しがダイレクトに出るので、料理人泣かせの調理法だ。しかし国産野菜にこだわったサラダではその心配は皆無。そのままで美味しいし甘い。
これが第二の理由で、本当に美味しい野菜は青臭いのではなく甘いという経験をすることが衝撃になる。本品はこの日の最初の食事としてブランチとしてイートインとした。Mサイズだが結構、お腹がいっぱいになる。ちなみに甘夏かんは別にしておいて、デザートしてそのまま食べてもいいくらいの量がある。
『バーベキューチキンとたっぷり夏野菜のサラダ』
『バーベキューチキンとたっぷり夏野菜のサラダ』は、旬の夏野菜は目に華やかに食感も大事にした。その心は、ズッキーニで塩もみすることによりズッキーニらしい歯ごたえや風味を感じやすくしたことだ。数種類のスパイスで味付けしたバーベキューチキンのスモーキーな風味と、オニオンピクルスの酸味が絶妙な組み合わせ。
こちらはテイクアウトとして、晩ごはんとして食べた。よって取材日の記者の食事はサラダ2食だけだ。後でわかったのだが、味が濃いのでコメをトッピングしておけば晩ごはんには最適だったのかもしれない。
持ち帰ってドレッシングをかけて、再びフタをして容器をフリフリする。中身がよく混ざったら完成だ。若干エスニックなバーベキューチキンが全体の味をスモーキーかつ濃くしてくれる。
さて、せっかく新鮮なサラダをテイクアウトして晩ごはんとして食べると、時間が経過し野菜がしなしなになってしまうのではないかという「常識」があるだろう。第三の理由は、美味しいサラダは時間が経過すると食感が変わって別の美味しさになるということだ。食感が変わるだけで、野菜の水分が全部出てしまい容器に水がたまるということはない。そこはそもそも新鮮な野菜を使用しているからで、バーベキューチキンの塩分で多少の水分は出るには出るがほとんど気にならない量で、食感だけがパリパリとした作り立てのものからシャキシャキとみずみずしくなっているのがわかる。
このように栄養素も大事だが、その前に「美味しく食べる」ことが第一にならないと、長年積極的に食べてこなかったサラダを習慣づけることは難しい。外食1食分程度の値段ではあるものの、お腹いっぱいに美味しく食べることができるのであればコストも満足度も同じだ。毎日とは言わないが、たまには美味しいサラダを取り入れて習慣の中に組み込んでみてはいかがだろうか。
※写真はすべて記者撮影