乃木坂46 久保史緒里&内田英治監督インタビュー「お芝居は生きている実感がありました」「ファンのみなさんも観てほしい」 『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』公開

  by ときたたかし  Tags :  

『ミッドナイトスワン』の内田英治監督と、佐藤二朗主演『さがす』の片山慎三監督という異才監督がタッグを組み、伊藤沙莉を主演に迎えた奇想天外な探偵エンターテイメント『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』が公開になります。

“東洋の魔窟”“アジア最大級の繁華街”と称される「新宿・歌舞伎町」を舞台に、15年前の誰にも言えない秘密を持つ探偵・マリコが物語の主人公。6つのエピソードを両監督で分業、1本の映画として作り上げていくというコラボレーション・スタイルを取った意欲作にして実験的な一作です。

その一編「歌舞伎町の恋」で、ホスト狂いのキャバクラ嬢・絢香を乃木坂46メンバーとして活躍中の久保史緒里さんが熱演。ご本人、そして内田監督に本作にまつわるお話をうかがいました。

■公式サイト:https://detective-mariko-movie.jp/ [リンク]

●まず久保さんにうかがいますが、オファーを受けられた最初の感想はいかがでしたか?

久保:まずこの役柄を自分にいただけたことに対して、言葉では形容できないくらいうれしかったです。普段の自分からは、みなさんには想像もつかない役だったので、それも楽しみでした。絢香は歌舞伎町にいる子なのですが、俯瞰で見渡すと広い世界のようで実は狭い世界でもあり、そこで完成・完結している世界は、特殊だなと思いました。そこで起こる出来事、登場人物の関係性に興味を持ちました。

●久保さんのキャスティングについては、監督はどこに魅力を感じていたのですか?

内田:久保さんが所属されている乃木坂46は「演技が上手い乃木坂」と言われていて、僕も見てみたいなと思っていました。そもそも役が歌舞伎町のキャバクラ嬢なので難しいのですが、ギャップが面白いですよね。実際、雰囲気は合っているなと思ったので、話をさせていただいた。意外や意外、出ていただけることになりました。

また、演技をほぼされたことがなかったそうですが、そういう方と仕事をすることが、これまでの作品でも多かったほうではあります。つまりカラーがまだないので、ひとりの役者として向き合ってみたいなと思ったのが、今回の始まりでしたね。

●ホスト狂いの絢香というキャラクターについては、どう理解しましたか?

久保:とても孤独だなと思いました。人に助けを求めればいいのにそうしないですし、それが彼女のプライドか不器用さなのかは分からないのですが、たぶんどっちもあるのでしょうけれど、あと一言あればそうなっていないかも知れない。あと一言引いていれば(?)よかったかも知れない。難しいバランスで生きているなと思ったので、一個ずつ一個ずつ、彼女の中ではどういう考えがあったのだろうと理解に努めました。

なので、彼女が最後に下した決断についても、どうしてこうなったのかと疑問に思うこともまったくなく、納得してしまうことが多かったです。

内田:元々いろいろと実際にあった事件をベースにしているので、そういうものを寄せ集めた感じのキャラクターにしていると思います。自分が想像する感じのです。あとは実際に歌舞伎町を取材したり歩いたりして、僕が勝手に歌舞伎町を象徴する感じにはしています。だから一昔前の歌舞伎町で水商売をしている方とはちょっと違う雰囲気にはなっていると思います。2年前の歌舞伎町、ですね。最近歩くとまたちょっと違うので、歌舞伎町の変化はものすごく早いことを実感しますね。街の変化も影響していると思います。

●お芝居をしてみての全体的な感想はいかがでしたか?

久保:楽しいという一言では表しにくいというか、生きている実感がありました。実は、自分では特別に変わった生き方をしているとは思っていないんです。中学で乃木坂に入りはしましたが、クラスでも目立つタイプではなかったので、そういう存在だった自分が、まさか乃木坂に入って、お芝居の道でいろいろな人(役)でいられるということに生きている実感を感じるんです。

●アイドル活動とはまた違うところがあるのですね。

久保:アイドルでいる時は、自分自身で挑まなければいけないんです。何かの評価も久保史緒里として評価をされる。それはいい面もあれば、悪い面もあるなと思っていて、一方である役を演じている時は、また違う人生なんです。それを久保史緒里として生きている時に久保史緒里としてキャバクラ嬢を演じるのではなく、絢香としてキャバクラ嬢を生きたので、普段出来ないことをやっている、生きているなという実感がありました。

●この新しい一面をファンのみなさんに報告したいですよね。

久保:みなさんがどう思われるのか興味があります。不安はまったくないです!

内田:僕も興味があります(笑)。絶対見せない表情ですし。

久保:そうですね(笑)。

内田:何してくれとんじゃと思われるかも知れない(笑)。

久保:そんなことないですよ(笑)。わたしがとびきりうれしいと飛び込んだ役なので。

●最初の質問に戻りますが、久保さんとひとりの役者として向き合ってみて、今思うことはありますか?

内田:アイドルかどうかを抜きにしても、役者として相当な才能をお持ちだと思いました。たぶん1~2年で頭角を現すのではないかなと。そもそも才能があるからアイドルとして活躍されていると思うので、演技の面でも突出してくると思うんです。なので数年後に本当にそうなったら、内田の言うことは当たってたなと思ってもらえるはずです(笑)。

久保:証明するために頑張らないといけないですね!頑張ります!

●今後チャレンジしたいことは何ですか?

久保:いろいろな役を演じたいです。久保史緒里エキスが感じられない、まったくない役であればあるほど、楽しいなと感じるんです。今回の絢香は不器用なところではちょっと自分と重なるかなと思っていたのですが、いつかどこを探しても共通点がまったく見つからないみたいな役をやってみたい。その時自分はどうするのだろうと、興味があります。

●今日はありがとうございました。最後にメッセージをお願いいたします。

久保:わたし自身もこの作品で初めて歌舞伎町という街と出会って、足を踏み入れて、歌舞伎町ならではの出来事、この場所ならではの出会い、感情など、いろんなものがあることを知り、そこでしか味わえないものもたくさんありました。みなさんも絢香という人間が生まれた過程を追って楽しんでいただけたらなと思います。

内田:主演のふたりはもちろん、取り巻く人たちに注目してもらいたいですね。その中でも彼女が演じた役は、本当にえらいこっちゃになっているので、特に乃木坂ファンのみなさんには観ていただきたいです(笑)。みなさんぜひ観に来てください。

■ストーリー

「歌舞伎町の恋」(久保史緒里さん出演)
監督:内田英治

ホストの星矢(高野洸)に恋しているキャバクラ嬢の絢香(久保史緒里)。彼女は売上No.1を目指す星矢の夢を叶えようと、街中でふと見かけた500万円の懸賞金がかけられた連続殺人鬼・南部(松浦祐也)の捜索をマリコに依頼する。謎の地球外生命体捜しで手一杯のマリコに断られた絢香だったが、その日以来、「カールモール」を訪れることはなくなった。

伊藤沙莉
北村有起哉 宇野祥平 久保史緒里(乃木坂46) 松浦祐也
高野洸 中原果南 島田桃依 伊島空 黒石高大
真宮葉月 阿部顕嵐 鈴木聖奈 石田佳央
竹野内豊

監督:内田英治 片山慎三 脚本:山田能龍 内田英治 片山慎三 音楽:小林洋平
プロデューサー:菅谷英智 藤井宏二 尾関玄 キャスティング:伊藤尚哉 撮影:岸建太朗 照明:尾崎智治 録音:平直樹 助監督:井手博基 美術:松塚隆史 衣装:百井豊
ヘア&メイク:板垣実和 編集:小美野昌史 サウンドデザイン:岩丸恒 アシスタントプロデューサー:藤田航平 宣伝プロデューサー:泉真人 制作担当:今井尚道
製作:「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会(東映ビデオ S-SIZE Alba Libertas 吉野石膏)
制作プロダクション:Libertas 配給:東映ビデオ

(C) 2023「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会

ワンピース¥29,700 (ジル スチュアート)
ジル スチュアート 03-5785-6454

スタイリスト 林かよ
ヘアメイク 森柳伊知(もり りゅういち)

公開中

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo