玉城裕規インタビュー 主演映画『パラフィリア・サークル』は「今までにないサイコ・サスペンス作品」

  by ときたたかし  Tags :  

2.5次元舞台・ミュージカルで活躍中の実力派俳優たちが集結して製作されたサスペンス・サイコ映画、『パラフィリア・サークル』が公開となりました。

デビュー作は売れたが、その後は不振が続いて崖っぷち状態にあった小説家・玉川健斗(玉城さん)が、編集長や妻に勧められてサスペンス小説に挑もうとするなか、ネットで知り合った謎の男と出会い、絡まり合うはずのない4人のストーリーが紡がれていく。

「混沌とした『パラフィリア・サークル』の世界の中で、ただただ身を任せるということを意識しました」と語る玉城さんにお話を聞きました。

■公式サイト:https://paraphilia-circle.themedia.jp/ [リンク]

●今回の『パラフィリア・サークル』、先が気になる展開も魅力でしたが、最初の印象はいかがでしたか?

脚本の第一印象は、「これはどういうことなんだろう?」と理解不能な感覚でした(笑)。まるで推理小説を読み進めているような状態で、これをどう映像として具現化していくのか、まったく想像が出来なかったです。ただ、完成した作品を観た時に、ようやく「こういうことなんだ!」と腑に落ちた記憶があります。

●ご自身が出ていないシーンもありますからね。すべてが合わさった時の印象は、改めていかがでしたか?

それこそ最初に想像が出来ていなかった分、僕はかなり感動しました。特殊な作品ですし、僕がいない撮影現場のほうが、インパクトが強いシーンが多かったと思うんです。なのでその印象や刺激が強かったです。言葉での説明がなかなか難しいのですが、あの物語を映像に仕上げた監督以下、全スタッフの仕事を見て、映画って素敵だなと改めて思いました。

●演じられた玉川健斗は小説家でデビュー作は話題になって売れたものの、スランプが続いて崖っぷち状態という設定。演じる上では、何を意識していましたか?

どちらかと言うと受け身の設定で、彼は作品世界で起こる出来事に巻き込まれてしまう主人公なんです。それもあり特別に何かを準備して現場に持ち込むという作業は、あえてしなかったです。彼はよくわからない状態に追い込まれていくので、余計なことを考えずに挑むようにしていました。

役柄の人間性という意味では身近にいる脚本家さんのイメージはあり、脱力感ある風貌などを意識したのですが(笑)、シーン前半部分の編集長や妻とのやり取りから、明るい人間ではなさそうというヒントも得つつ、相手の俳優さんとのやり取りから生まれる生の空気感も大切にして、玉川健斗というキャラクターの要素を積み上げて作っていった感じです。

●ところで今回の作品に参加して、一番よかったなと思うことは何ですか?

僕はこれまでどちらかと言うと玉川健斗以外の役柄を演じることが多くて、玉川健斗みたいなタイプのキャラクターを、演じたことがなかったんですよね。僕以外がパンチの効いたお芝居をしているなか、玉川健斗は違和感を与えるような存在というか、演じようによっては観客に与えるイメージがかなり変わるようなポジションで絶妙なところをいく、みたいな。感情が振り切れていない感覚。これは初めての体験でした。

●経験したことがない作品や役柄の場合、オファーされた時は、どのような心境になりましたか?

もちろん主役としての表現もしないといけないので、「これはどうしたらいいのだろうか」と悩みはありましたし、難しいとモヤッとした気持ちもなりました。でも、このモヤッとした気持ちも、ある意味ではこの作品では正解なのかも知れないと思えたんです。スッキリしない気持ちを持って臨めばいいのだと。感覚ではありましたけれど、この混沌とした世界に飛び込むとどうなるのだろうかと。その結果が、この作品なんです。

●ファンの方も新しい玉城さんが観られるので、楽しみにされているのかなと思います。

そうかも知れないですね。ぶっ飛んだ僕のお芝居を観たいと思うのですが、今回は絶妙なポジションなので、そういう意味では新しいものをお見せ出来ると思いますし、今までにないサイコ・サスペンス作品でもありますので、ぜひ観ていただければと思います。

■ストーリー

玉川健斗(玉城裕規)は小説家で、デビュー作は話題になって売れたが、その後不振が続き、崖っぷち状態にあった。
文芸誌編集長の三河(三浦浩一)に「小説にリアリティがない」とダメ出しされ、妻にも勧められてサスペンス小説に挑もうとする。
そしてネットで知り合った自称サイコパス狩りという男に出会う。
ここから絡まり合うはずの無い4人のストーリーが始まる。
エリート弁護士の栗野宗一(縣 豪紀)には人には知られたくない秘密があった。良家の令嬢である婚約者がありながら、別に恋人があり、その恋人に苛烈な拷問を仕掛けていく。
大学生の森瀬京(瀬戸啓太)は恋人とのプレイに満足できず、より強い刺激を求めて相手かまわず欲望の世界をさまよう。
佐川貴史(川上将大)は普通のサラリーマンだが、心の奥底に裏の顔を持っている。
森瀬の懇願に応えてしまってから、その欲望に歯止めがかからず……。
果たしてこの物語の終着点はどのように描かれるのだろうか!

池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開中
(C) 2023映画『パラフィリア・サークル』

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo