声優・寿美菜子インタビュー フルCGアニメ映画『兵馬俑の城』の少女を演じて、「運命にあらがいながら人生を切り開いていく彼女の勇敢さに感動しました」

  by ときたたかし  Tags :  

中国のアニメ会社・FANTAWILD が制作、2021年7月に中国で公開され、約7000万元(約14億円)のヒットを記録したフルCGアニメ映画、『兵馬俑の城』の日本語吹替え版が公開となりました。

心を持った兵俑のモンユエンと家族を奪われた人間の少女シーユイとの出会いを経て、旅路の中で生まれる恋、そして世界を揺るがす霊獣・ディーホウとの闘いを描く本作。

楽天家で優しい心を持った主人公の兵俑・モンユエンを福山潤さん、そして家族を奪われた人間の少女・シーユイを、「けいおん!」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 -」にも出演されていた寿美菜子さんが演じています。今回、寿さんにお話をうかがいました。

■公式サイト:https://heibayounosiro.jp/ [リンク]

●まず作品をご覧になった感想を教えてください。

映像がとてもきれいだったので、なんて美しく整った作品なのだろうと感動しました。目で観て楽しい、音楽もたくさんつまっていて耳で聞いても楽しい。キャラクターも豊かで、トータルの総合芸術な感じがして、とても感動したことを覚えています。オーディションの時は事前に兵馬俑の資料映像も観て、この世界に入るのかと思いながら収録の準備をしていました。

●最近は注目度も上がっているという中国アニメの印象はいかがですか?

アニメ、ゲームアプリ、本当に幅広くて、勢いがすごいですよね。アクションも本当にノンストップで、その意味ではアフレコのハードルが高い部分があったのですが、これだけ滑らかに動いていて美しいので、観ている方に細やかな感じも伝わる。刺激と焦りも含めて感動をしました。さらに盛り上がっていくだろうなという期待と興奮もありますよね。

●シーユイは剣術の達人であり一見姉御肌で気が強いけれども、少女らしい一面もある愛らしいキャラクターでした。何を大切に演じましたか?

シーユイの凛々しさはもちろんですが、最初は特にモンユエンもシーユイのことを女性だと思っていないというカッコよさからスタートするので、声質から変えてみようというディレクションもありました。男の子と思われてもいいくらいな感じで演じたり、彼女は少しずつ心を開いて変化していくので、心を開きすぎないように注意して演じました。

●ご自身との違いはありましたか?

わたし自身は人が大好きで、話すのも大好きなんです。このアフレコではお久しぶりに会える方もたくさんいたので、はしゃいでしまうところもありました(笑)。でもシーユイはその正反対で、孤独でずっと戦って来た。身内であるおじいさんも失くしていて、誰か人と話すことは、情報が得られるからなんですよね。彼女の念頭には“目的のために”があるので、それは意識しました。

●中国の歴史も含めて、今回の作品に関わってみて、改めて気づいたことはありましたか?

兵馬俑には歴史的な奥深さがあると今作で知り、もっと興味が湧きました。実際に観たらすごい迫力だろうなと思いながら収録をしていたのですが、アニメーションからもそう思わせる、これだけ丁寧に作られるチームとご一緒出来たこともうれしかったです。スタッフさんの想いがつまっている、ありがたい現場でした。

●今日はありがとうございました。最後に作品を楽しみに待っている方たちへメッセージをお願いいたします。

兵馬俑という世界遺産を題材に一本のアニメ作品になっていることに、わたしも驚きました。すごい切り口と仕上がりに驚いたことがひとつと、シーユイ目線でも感じることがありました。他者とは違う生き方をせざるを得ない、宿命も含めた孤独の人なのですが、モンユエンと出会っていく中での心の変化も注目なんです。いかに自分の運命にあらがいながら人生を変えていけるか、その勇敢さも学びました。そのことが改めてみなさんにも届くといいなと思っています。

■ストーリー

中国歴代の皇帝によって作られた兵馬俑。その兵馬俑達が眠るはずの巨大な地下都市には、大きな秘密があった。兵馬俑達は、神から命を授けられ、もう一つの世界が作られていたのだったーー。

兵俑の雑用係・モンユエンが住む秦陽城は、凶暴な霊獣たちの襲撃に悩まされていた。その霊獣に拮抗するシアホウ将軍の姿に憧れたモンユエンは精鋭部隊「鋭士」への入隊を希望するが、将軍から「霊獣・地吼(ディーホウ)を捕まえる」という条件を出される。

霊獣・地吼を追う旅の途中、モンユエンは謎多き少女シーユイと出会う。旅の途中で二人は地下の世界では見られない美しい風景や世界の広さを知る。次第に惹かれ合う二人。モンユエンは、家族を探すシーユイの力になりたいと考えるようになる。そして、二人はついに、地吼を追い詰めるが……。

全国公開中
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン、エレファントハウス
(C) Fantawild Animation Inc.

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo