伊藤健太郎&本宮泰風インタビュー 「令和ならではの今の時代でしか作れない新しい『静かなるドン』ができました」 6月には延長上映も

  by ときたたかし  Tags :  

新田たつお氏による累計発行部数4,500万部以上を誇る大人気原作を、昭和〜平和の名作を再映画化する<令和アウトローレーベル>の手で、今の時代に合わせてアップデートした映画、『静かなるドン』が公開中です(大ヒットにより延長公開決定! 6/5〜6/8、新宿バルト9、T・ジョイ梅田にて前編・後編同時公開)。

普通のサラリーマン・近藤静也(伊藤)が、暴力団の総長にならざるを得なくなり、サラリーマンと総長の二足のわらじを履きながら、ヤクザの抗争のない平和な世の中を実現するために悪戦苦闘していく姿を活写!

対立する鬼州組との抗争、同僚の秋野明美(筧美和子)との恋愛模様など、自分の信念とヤクザ社会の掟との間で揺れ動く主人公を、伊藤さんが好演しています。その伊藤さん、主人公の教育係・猪首硬四郎役にして本作の総合プロデュースも務める本宮泰風さんにお話をうかがいました!

■公式サイト:https://reiwaoutlaw.com/ [リンク]

●改めてうかがいますが、長く人々を魅了する『静かなるドン』ですが、令和版の新たな魅力について教えてください。

本宮:ヤクザの家に生まれながら一般社会人として生きてきた人間が、ヤクザにならざるを得ない心の葛藤があります。役者としては、とても難しい部分です。そういう脚本の作り方をしているのですが、なぜヤクザになるのか、そこを伊藤健太郎が上手く演じてくれました。人間の成長過程を見られたり、今回に関しては主人公の心の揺れは大きなテーマでした。

伊藤:ヤクザものではあるのですが、ひとりの青年の成長劇なので、入りやすい入口だなとは思いました。若い世代でも女性でも、もちろんいろいろな世代の方々まで、エンターテインメントとしても楽しめる内容になるかなと思いましたし、自分でもそうしたいなと思いました。

本宮:切った張ったの世界を現代でやると現実離れしてしまうことが多いなか、この原作の力を借り、近藤静也という人間を描くことで、主人公の目線になって物語を追えるはずなんです。原作者の方も現代風にアレンジしていいと言われたので、作品が持っているポテンシャルをさらに高めることがきました。

●共演の感想や、人気シリーズの任侠モノに参加されていかがでしたか?

本宮:伊藤健太郎にやってもらって本当によかったです。任侠の世界は、若い世代が出てこないですし、かと言って誰でもできるものでもないんです。このことは、松方弘樹さんなど先輩方に「課題だよ」とずっと言われてきたこと。そんななか今回、こんなにカッコよく演じられるのかと、ちょっと今目を付けているところです(笑)。伊藤健太郎との出会いが、今回の作品の一番の収穫かなと。

伊藤:うれしいですね! 今回とても楽しかったですし、任侠モノ、好きだなと自分の中でも思いました。いろいろと勉強させてもらいました。

本宮:ただ、本当に任侠モノは、今のご時世のこともあり、このままでは廃れて行ってしまうジャンルだと思うんですよね。

伊藤:僕はこれを機会にもっと直球の任侠モノもやってみたいなと思いました。たぶんまだまだ知らない世界があるはずなんです。この『静かなるドン』とは違ったカタチの任侠の世界があると思うので、俳優として知ってみたいというのはありますかね。

本宮:僕はその作品を成立させることですね(笑)。

●先ほどの長年の「課題」が解決するかも知れない。

本宮:でも、本当にそうなんですよ。僕も50歳をすぎてこれからどんどん説得力がなくなっていくであろうし、役者は実年齢とキャラクターの間に限界が出てくると思うんです。でも、僕が描くことができないキャラクターを彼ならまだできる。僕はこれまで自分が出ている作品でプロデュースも兼務するスタンスだったのですが、プロデュースに徹することが彼とならできると思いました。

伊藤:うれしいです!

●今日はありがとうございました。最後にファンの方々へ、一言お願いします!

伊藤:『静かなるドン』という作品は昭和・平成で描かれてきたと思うのですが、令和ならではの今の時代でしか作れない新しい『静かなるドン』ができたと思っています。いろいろな世代の方や、ご家族で観に行ってほしいです。映画館で、みんなで一緒に観ていただいて、昭和・平成との違い、令和ではこうなるんだね、など会話が生まれればいなと思っています。映画は人と人をつなげるコンテンツだと思うので、そういう作品になってくれたらいいなと思います。

本宮:自分の世代を代表してと言いますか、あの『静かなるドン』がこうなったのかというところを観ていただけたらと思います。また次を観たいなと思っていただけたらさらにつながってくと思うので、ぜひ劇場でご覧ください。

『静かなるドン』
公開中
(C) 2023「静かなるドン」製作委員会
配給:ティ・ジョイ

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo