新進女優・北澤響インタビュー「悲劇か喜劇か、受け止め方で印象が変わる作品」 越川道夫監督の最新作『さいはて』で長編映画初主演

  by ときたたかし  Tags :  

『海辺の生と死』(17)『アレノ』(15)など越川道夫監督の最新作『さいはて』が全国公開になります。本作ではそれぞれに喪失と空虚感を抱く男女二人を主人公に、街から森、やがて海へと展開する旅路とまばゆいほどの恋模様を独自の感性と視点でスクリーンに映し出します。

哀しみを抱えた少女であるヒロイン・モモ役は、本作が長編映画初主演となる新進女優の北澤響さん。人生に絶望した男性トウドウ役は、『偶然と想像』(21)『愛なのに』(22)などの実力派・中島歩さん。

映画の公開を記念して、北澤響さんにお話をうかがいました。

■公式サイト:https://mayonaka-kinema.com/saihate/ [リンク]

●最初に長編映画初主演と知った時はいかがでしたか?

うれしかったですし、撮影が楽しみでした。映画が好きなので1本の作品に出られる、作り上げられる機会が本当にうれしかったです。もちろん映画の経験が少なかったために、そのことで不安みたいなものあったのですが、それ以上にわたしを選んでいただいたことがうれしかったです。

撮影が終わった直後は実感が湧いてこなかったところもあったのですが、ポスターやチラシを見て「すごい!」と夢みたいな気持ちになりました。

●完成した映画を観ていかがでしたか?

時間の流れが素敵な感じがしていて、観ている人もそれを一緒に感じられるような仕上がりになっていると思いました。あとは本で文字として読んでいたものが、映像という三次元に仕上がっていることにまず感動しました。各シーンがすべてつながって、本当に「できている!」と興奮しました。これまで映画の現場の経験があまりなかったので、一本の作品になったという感動が強かったです。

●撮影現場では、独特の撮影方法もあったそうですね。

撮影は越川監督自らカメラを持ってくださっていて、わたしが思いがけないところで走ったりしたら、監督もカメラを持ちながら走って、後を追ってくださったこともありました。その時のシーンが実際に使われていて、すごい大胆だなと思いました。

●印象的なシーンでもありますよね。

もともと台本上は走る予定ではなかったのですが、結果的にふたりでお芝居をしていくなかで走ることになり、それを監督が頑張って追いかけてきてくれたんです。そこに感動してしまいました(笑)。

●自然の流れとは、すごいですね。

そうですね。走ると決めていたわけでないんです。自然に生まれたというか、しかもちゃんと撮ってくださっていて。それはとてもありがたいことだなと思いました。

●モモという女性は、どのように演じたのですか?

最初に細かく決められていたわけではなかったので、撮影が進むにつれてモモが出来上がっていく感じはありました。人物の輪廓がだんだんとハッキリ見えてきた感じがとてもありました。最終的にはモモは、真っ直ぐな女性だなと思いました。越川監督と中島さんと一緒にやっていくなかで生まれたモモでした。

●最後になりますが、映画を待っている方々へメッセージをどうぞ。

今回の作品は、頭から最後まで学びがたくさんで、参加して本当によかったなと思っています。もう全部が「ありがとうございます!」という感じです(笑)。わたし自身はハッピーエンドだと感じましたが、観る人それぞれの受け取り方をしていただきたくて、人によっては悲劇かも知れないし喜劇かも知れない、いろいろな受け止め方をしてほしいです。さまざまな捉え方で楽しんでほしいと思います。

■ストーリー

ある日、居酒屋で知り合う若い女性モモと、40歳の男性トウドウ。夜の街で手をつなぎ、「靴が鳴る」を歌いながら歩く二人。やがて二人は互いを求め合い、身体を交わす。翌朝、昨晩の記憶をたどりながら「道行みたいだね」と語るトウドウ。その言葉の意味を理解したモモは黙って彼に泣きつく。それぞれに辛い過去を持つ二人は海を目指して、この世界から逃げる事にする。

(C) 2023 キングレコード

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo