
2013年2月22日金曜日18:00
「それでは18時になりましたので抗議を開始します」
「原発反対!原発反対!再稼働反対!再稼働反対!」
今週も首都圏反原発連合主催による抗議活動が首相官邸前で行われている。
冬の夜は気温がぐっと下がるため、抗議参加者たちはしっかりとした防寒対策をして抗議の隊列に並ぶ。
もう昨年の夏場のような盛り上がりはなく、参加者は反原発意識の強いコアな常連が目立つ。
また、取材を行うマスコミの数も昨年の6月・7月に比べて大きく減ってきている。

18:30
抗議の隊列は首相官邸前交差点の茱萸坂(ぐみざか)で抗議活動を行っている。その場所は地下鉄の国会議事堂前駅入口と隊列が接している。
18時30分ごろになると国会議事堂前駅を利用して帰宅する人たちが、抗議の隊列を横目にして通り過ぎていく。
通行人から「がんばって!」といった応援の声はない。ほとんどの通行人は無表情、もしくは厳しい顔をしている。スピーカーから聞こえる大音声がよほど嫌なのか耳をふさぐ人たちもいた。
ここの駅を使って家路に急ぐ人たちにはこの光景が「毎週恒例の出来事」であり、慣れてしまったのだろう。むしろ「歩行の邪魔」と思っているのではないだろうか。

抗議の先頭では、参加者によるスピーチが行われている。その一部を書き起こした。
女性参加者
「昨日、原発ゼロの会という国会議員の会議に一般傍聴をしてきた。防災指針に関して、『こんなものは現実的ではない、防災指針なんていらない。原発を止めればこんな指針なんていらない』と言った議員がいた。私も全くその通りだと思う。原発がなければ防災指針はいらない。」
福島県の浪江町から来た初老の女性
「あなたが見捨てた浪江町から来た。言いたいことは900日分ある。私は今、仮設住宅に住んでいるが、断熱材は周りだけ。隣の家と床は薄いコンパネ一枚。ところがこれを2年の期限を3年に伸ばし、私たちを仮設に住まわせ、さらに1年伸ばしてやるといっている。そんな所に住みたいと思ったことはない。こんな老後を願ってはいない。」
それぞれ原発に対する思いがあるせいか、マイクから伝わる声は絶叫に近い。しかし、この日、安倍総理大臣は訪米のため官邸に姿はなかった。
19:30
総理不在ではあったが、抗議活動は普段と変わらず淡々と行われている。原発反対のシュプレヒコールが延々と繰り返され、参加者の熱気は上がってきた。しかし、取材を行う新聞記者やフリーの記者は寒さから逃れるため、地下鉄入口で暖をとる。
私もあまりの寒さに耐えきれなくなり、地下鉄入口に駆け込むと、公安関係者と思われる3名の男性が会話をしていた。
男性A「おい、これいつ終わるの?」
男性B「20時ですから、あと30分です。」
男性C「寒いなあ。早く終わってくれないかな。」
そこに法政大学の中核派全学連の活動家が大量のビラを持って地下鉄入口に入ってきた。それと同時に公安関係者と思われる男性たちは無言のまま地下鉄入口から出て行った。おそらくあの人たちは中核派担当の公安関係者だったのだろう。
20:00
「20時になりました。本日の抗議活動は終了します。」
規定の時刻となり、抗議活動は終了。その後、イベントの告知とビラ配りの時間になる。
もらったビラは「首都圏反原発連合」「たんぽぽ舎」「原発いらない杉並集会(NAZEN杉並)」「法政大学文サ連」「3.9つながろうフクシマ!さよなら原発大行動」「原発民衆法廷」などなど
この首都圏反原発連合主催の「首相官邸前抗議活動」は、純粋に反原発の声を叫びたい人たちが集まっているわけではない。様々な団体がこの場を利用して、自分たちの活動を積極的にアピールしたいという目的が見えてくる。それに対し主催者が「首相官邸に対しての抗議活動に限定したスピーチ」や「18時から20時までビラまき禁止」を参加者に注意を行っている。
最後に
今回の抗議活動参加者をカウントしたところ約500名であった。今後、原子力発電再稼働などのニュースがあれば、また参加人数が増えていくことは間違いない。現在、マンネリ化している「首相官邸前抗議活動」ではあるが、3月9日(東京)、3月10日(東京)、3月11日(福島)に大規模な反原発の集会、デモが予定されており、反原発運動の盛り返しを狙っていると推測する。