注目俳優・片岡凜インタビュー 10代最後の2023年は「今、演じることに飢えているのでどんな役でも演じてみたいです!」

  by ときたたかし  Tags :  

1月20日(金)スタートの金曜ナイトドラマ「リエゾンーこどものこころ診療所ー」(テレビ朝日系・毎週金曜23:00)では、摂食障害を抱えた女子高生役を演じる、今もっとも注目を集める俳優・片岡凜さん。その彼女が主演を務めた新作短編作品『INVISIBLE FRIEND』と『BIG OLD TREE HYMN』の2作品が、現在配信中です。

映像と詩の融合が叶った本作は、少女が孤独に生きる世界の“場所”がテーマ。マルチアーティスト・堤裕介さんが紡ぐセリフのない上質な映像と音楽。さらに映画監督・詩人の中川龍太郎さんが、映像から感じた世界を自身の言葉で解釈して紡ぎ、その詩をナレーションとして映像に載せ世界観を分厚く表現。新人女優と、映像監督、そして詩人の3人が手を取り合い、ひとつの作品を形作った新しい映像アート体験、ポエトリームービーとなっています。

昨年のドラマデビュー以来、注目を集める片岡さんに話を聞きました。

■『INVISIBLE FRIEND』


●紹介文にあるようにポエトリームービーという新しい映像アート体験が楽しめる短編2作品で、新しい試みだと思いましたが、いかがですか?

2作品とも全体的にとても静かで、自然の光などをとても重視している作品だなと思いました。2本の動画には、森の中、家の中、焚火などがあり、いろいろなシーンがあるなかで、怒り、孤独、喜び、その場面場面で表現する感情が異なり、喜怒哀楽が表現されている作品だなと思いました。いろいろな情緒を感じる作品になったなと思います。

●さまざまなロケーションでの撮影はいかがでしたか?

多くは静岡県にある森の中で撮影していたのですが、監督から具体的な指示はなかったんです。動きなどは演出していただいたのですが、感情面での説明はほとんどなくて、実際に自然の中で雰囲気を感じたわたしの感情を、そのままカメラに収めてくださったのだと思います。

●<自分の過去を手繰り寄せながら>撮影したそうですが、カメラの前ではどういうことを考えていたのですか?

自分の過去の記憶だったり、ですね。たとえば焚火をしているシーンであれば、自分が焚火をするのであれば、どういうことを考えるだろうとまず連想して、楽しかった想い出、悲しかった想い出、そういうことに目を向けながらあとは自由に演じました。

■『BIG OLD TREE HYMN』

●役を演じるのではなく生きるような作品は普通のドラマとまったく違いそうですが、やってみていかがでしたか?

普段の演じる役とは違って、わたし自身の感情を乗せて演じてよかったので、ドラマなどの作品とは違う、オリジナル性みたいなものが現れている感じの作品だなと思いました。

●今回、たとえばSNS以上に素の片岡さんが出ているのでしょうか?

そうですね。でも、SNSは本当にわたしの素の状態なので、どっちも素顔です(笑)。

●このプロジェクトを経験して、一番の学びは何でしたか?

たとえば悲しみを表現したい場面について、画面越しに完成した作品を観ると、あの時こういう顔をしていたのかなどと、反省が多かったんです。もっと感情を表現するために、もっとボリュームを上げてお芝居をしていいのかと勉強になりました。

●この2作品、初めて観る方々には、どうおすすめしますか?

さまざまな自然、日の光、心豊かにしてくれるものがたくさん映っている作品です。観てくださる方も自分の記憶、情緒など、その方々によって違うと思うのですが、いろいろな感情が生まれる作品だと思うので、本当に多くの方に観ていただきたいです。

●ところで昨年は「初演技とは思えない」など、出演作が放送後に話題になりました。ふりかえってみていかがですか?

ドラマにもたくさん出演させていただけて充実した一年でした。ふりかえって思うことは、いろいろな役、人物に出会えることが、すごく楽しいなと感じています。以前よりも人に対する興味や、もっと知りたいという好奇心が、どんどん増しているなと思います。

●仕事をとおして人間に興味が出たのですか?

そうですね(笑)。身近な人であったり、自分自身に対しても日常の中でもっと自分を知ろうとしたり。人ともっといろいろな会話をして、視野を広げていけたらなと思っています。

●お芝居は楽しいですか?

役と自分の共通点を見つけられると、それがすごく大きなヒントになったり、さらにお芝居を楽しくやらせていただけるなと感じているので、自分を知ることもすごく大事で大切なことだなと思っています。なので演じている時は、幸せを感じています。

●役作りという準備作業はどうですか?

役になりきるというよりは、役になりたいんです。その人になっていたいので、役作りや細かい分析はすごく重要だなと感じています。

●2023年は10代最後だと思いますが、今年の目標は?

たくさんお芝居がしたいですね。いろいろな方にわたしの名前と演技を観ていただきたいので、たくさんの作品に出演させていただきたいです。今はまだ新人で学ばなければいけないことも多いですし、演じることにすごく飢えているので、どんな役でもやらせていただきたいです。

●最後になりますが、将来の目標は何でしょうか?

特定の方の目標はないのですが、わたしにしかできないスタイルで、わたしにしかできない表現をすることが目標ですね。わたし自身、自分のことを100パーセント理解はしていないので、これからしていきたいと思っていますし、いろいろな役との出会いもそこへの近道になると思うので、これからもっともっと学んでいきたいと思っています。

■プロフィール

2003年生まれ。群馬県出身。2022年、再生回数が2500万回を超えた優里の「レオ」のMV出演でデビュー。TBSドラマ「石子と羽男-そんなことで訴えます?-」でドラマデビューを果たしたのち、テレビ朝日「ボーイフレンド降臨!」、今年1月期の金曜ナイトドラマ「リエゾンーこどものこころ診療所ー」(テレビ朝日系・毎週金曜23:00)に出演を果たすなど、今もっとも注目を集めている若手俳優。

■作品概要

『INVISIBLE FRIEND』

“私”は、当たり前のようにいるこの場所を、当たり前にならないように感じようとする。空気を感じ、風を感じ、景色を感じ。その中で、“私”はあることに気がつき、目を閉じる。

『BIG OLD TREE HYMN』

“私”はある日、目が覚めると森の中にいた。途方もなく、目指す場所もなく歩き続けるが、常に何かの視線を感じる。“私”は、何の中にいる何者なのだろうか。目の前に現れた神々しい樹が、“私”に何かを問いかける。

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo