スリングショットを持ち歩くと「捕まる可能性が高い件」について

どうも「スリングショット」(パチンコ)を使った猟に関して「違法では無いから捕まらない」との説がネットに多く出回っていますが・・・
ズバリ「第一種銃猟免許」を持っている筆者が補正しておきましょう。

まず、どの説をみても「法定猟具」ではないのでスリングショットによる猟は違法ではないの一点張りです。確かにその通りです。空気銃や散弾銃ではないので問題ないでしょう。
猟期や場所を守れば「その件」に関しては問題ないと思います。

しかし別の角度から法律を見るとどうでしょうか?

まず「スリングショットを持ち歩く事が軽犯罪」として処罰される可能性があります。可能性があると書くと「曖昧」に聞こえるので逮捕されない場合もありそうですが、実際にその様な状況になってる(職務質問されている)時点でで警察官は一歩も引かないので、確実に逮捕されます。
「これから鴨を獲って食べる為にスリングショットを持ち歩いています!」と必至に説明しても、警察官は聞く耳を持たないでしょう。警察署に連れていかれてスリングショットは没収、態度が悪いと思われれば書類送検されます。
もしもこの様な事態になったら、素直に「スリングショットが凶器とは知りませんでした、これは破棄しますので今回ばかりは堪忍して下さい(涙)」と平謝りして難を逃れるしかありません。

なんとも腑に落ちない「軽犯罪法」ですが「身体に重大な害を加える事が出来る道具」を公共の場(解釈によっては自宅敷地外すべて)で持ち歩いていたのだから仕方ありません。
スリングショットの殺傷力からして「身体に重大な害を与えられるのか?」となりますが、やろうと思えば眼球目がけて発射すれば失明させる威力はあるので、これは間違いなく凶器と判断されます。

抜け道として「隠匿せずに堂々とスリングショットを持ち歩けば問題ない」と説明する人が多いのですが、そうなると今度は「人の身体に重大な危害を加えるのに使用されるおそれがあるものを、通行人、入場者、乗客等の公衆に対し、不安を覚えさせるような方法で携帯してはならない」と言う方で引っ掛かるので結局は逮捕されます。
結局は「凶器(に成りえる物)を正当な理由なく持ち出したら逮捕」と思っていた方が良いでしょう。

「スリングショットで鴨を獲って食べるのは正当な理由に値する」との主張を貫きたければ裁判しかありません。しかし、いくら主張した所で「スリングショットの印象は一般世間で見ればお世辞にも良くはない」ので、ちょっと勝てる見込みはないですね。
「どうしても鴨を獲りたければ狩猟免許を取得して、法定猟具を用いて狩猟して下さい」と言われて終了です。このような事例は前回の判例に基づいて以降も右へ習えとなりますので、裁判官がスリングショット大好きなマニアでも無い限りは無理でしょう。
ここで「スリングショットも正当な理由(鴨を獲って食べる等)があれば持ち歩ける」などと言う判例を残すと、のちのちのキャリアに響くだけですからね。

仮にスリングショットによる猟を正当化するとすれば、普通に狩猟免許を取得して狩猟税を納めましょう。そして職務質問を受けたら「ここは銃猟禁止区域なのでスリングショットで猟をしています」と警察官に狩猟マップを見せて説明するしかないでしょう。

「鴨が食べたくて狩猟免許を取得し、都道府県に狩猟税も納め狩猟者登録も受けていますが、ここは銃による狩猟が出来ないので、法律に従って僕は仕方なくスリングショットで鴨を捕獲しています。」

と、なればスリングショットを持ち歩いていた正当な理由に成りえるかもしれません。もっとも、それで引いてくれる警察官なら良いのですが、もしも警察署まで任意同行されたりすると筆者のように「第一種銃猟免許」を持っている人は、以降の更新を嫌がられるかもしれません。
それなりの時間と金と努力で手に入れた「第一種銃猟免許」を天秤にかけてまでスリングショットで猟をしたがる「狩猟者」は、まずいないでしょう。

「役所や警察に電話してスリングショットによる猟の問題点を聞いた」と主張する人も多いのですが、そんなもんは逮捕された時の言い訳には使えません。電話した時の担当者の名前を出したところで

「そのような問い合わせを受けた覚えはありませんし、許可した覚えもありません」

と公務員なら応えるのが普通です。見ず知らずの他人の為に自分のキャリアにとってマイナスな事を行う公務員はいません。

嘘だと思うなら警察署や市役所に行って「スリングショット猟に関する合否に関して書類で交付して下さい」とお願いしてみましょう。100%なんだかんだと言い訳されて、お引き取り下さいとなるのがオチです。

確かに鴨やらの鳥を捕獲するような場所に警察官が現れる事はまず無いでしょう。しかし、もしも現れた場合は「誰かに通報された」と言う可能性が高い訳でして、そうなると警察官は職務質問をして任意同行なり凶器の押収をするしかありません。
携帯電話が普及している現在、昔と違って誰もが通報出来ます。いちいち自宅や公衆電話から通報する必要もないので、実にお手軽に通報されてしまうのです。

河川敷で犬の散歩をしている人が「鴨目がけてスリングショットを構えている人」を見たらどうするでしょうか?わざわざ貴方の行為は違法ですと説教する人はいないでしょう。かわりに警察に通報してどうなるのかを見守る野次馬に徹する人が大半かと思います。
世間一般の認識で言えば「可愛い鳥を傷つける犯罪者」としか捕らえられないのが現状です。スリングショットによる猟が合法であると幅広く認知されれば変わるかもしれませんが。

もっとも、そこら辺の法律に手を入れ始めると「鳥獣愛護派」の方が圧倒的に優勢なので、条文に「スリングショットによる猟は違法」と付け足されて終了です。もしも「日本野鳥の会」を上回るだけのスリングショット愛好家が日本に居れば話は別ですけどね。現状では援護をした所で票に繋がらないどころかマイナスイメージに直結する法案を支持する議員は一人もいません。

そんな訳で「スリングショットによる猟は合法」と言う法解釈は筆者も認めますが、結局は「スリングショット(猟具ではなく凶器)を持ち歩く事は違法」となるので、みなさんは間違っても真似しない方が良いと思います。

本当に狩猟がしたくなった時に「逮捕歴」があると、まず猟銃を持つことは出来ません。無論、法律では「5年以内」が欠格事項となりますが、実際には過去10年分の犯罪歴を申告します。当然、公安委員会の方では申告内容に嘘がないか調べるでしょうし、犯罪歴などの情報も電子化されている今なら、ついでに調べられる範囲の犯罪に関してチェックするでしょう。
その時に傷害事件やら凶器の所持などが出てくれば、なんだかんだと言い訳をつけて「所持許可」を出さないのが警察の仕事でもあります。

個人的な感想としては、スリングショットの猟を合法とする人達は「まずスリングショットありき」で語っている事に違和感を覚えます。
鴨を食べたいのではなく「スリングショットを撃ちたい」って気持ちが先行しているようです。そこら辺に突っ込むと「生き物を殺して食べる事は悪くない」とか「狩猟の意義」やら「誰もが自由に猟をする権利」を主張してきますが、だったら狩猟免許を取りなさいって話ですよね。
そのような思考が許されるのは狩猟免許が取得出来ない「20歳以下の子供」だけでしょう。すでに職について社会に出ている人が「犯罪」になる可能性が高い事に手を出すのは、ちょっと理解出来ません。
軽い気持ちでスリングショット猟をやって、運悪く捕まって運悪く書類送検されれば、その後の人生にとってデメリットにしかなりません。

なので、どうしても「鴨を食べたい」と思った人は、普通にスーパーで鴨肉を買うか、国家が推奨する猟法で合法的に狩猟しましょう。狩猟免許の取得と維持は確かに色々と面倒ですが、隠れてコソコソと鴨を捕るより良いでしょう。
「たかがパチンコでうるさいなぁ」と狩猟免許を取得する前の筆者なら思ったでしょう。しかし「動物を殺して食べる事」に対する責任の重さを「狩猟」から学んだ現在、過去につまらない事で経歴に傷を付けないで本当に良かったと思っています。

酒と料理に情熱と脂肪を燃やすフリーライター ”日の丸構図で寄りまくる!”と言う素人写真を武器に暗躍する。美味しい料理を世界にバラ撒く”飯テロリスト”として各国の情報機関にブックマークされたが反省はしていない。 取材依頼(新店舗、新メニューのPR)その他記事の執筆依頼は下記のメールアドレスまでお願いします! [email protected] なんとなく作ったサイトも絶賛稼働中! http://foodnews.jp/

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