吉村界人&武田梨奈インタビュー 互いに企画と主演を務めた、大晦日の男女の運命描くロードムービー『ジャパニーズスタイル/Japanese Style』

  by ときたたかし  Tags :  

吉村界人さんと武田梨奈さんダブル主演のロードムービー、『ジャパニーズスタイル/Japanese Style』が現在公開中です。何かを“終わらせたい”ふたりの男女が大晦日に出会い、その運命を描く本作は、吉村さんと武田さんが企画から参加して作り上げた異色の一作でもあります。その経緯をはじめ、さまざまなお話をうかがいました。


■公式サイト:https://www.japanese-style-movie.com/ [リンク]

●映画でダブル主演はよくありますが、互いに企画から参加するパターンはめずらしいですよね。どういう感じで始まったのでしょうか?

吉村:3年前、監督やみなさんとご飯を食べている時だったのですが、11月くらいになってくると「年末どうですか?」みたいな話をするじゃないですか。「仕事?実家帰るの?」みたいな。その流れで「退屈ですよね(笑)。映画でもやります?」と。そういうノリでした。

●そんなパターンがあるんですね(笑)。

吉村:そこから予算が脚本が、と真剣な話が始まりました。で、「何日で撮る?」と。確実に全員のスケジュールが空いてるのが年末年始なので、そこにしようと。そのフワッとした状態で武田梨奈さんにご連絡しました。内容は全然決まってなかったんですけど(笑)。

武田:真夜中に電話が来て「映画やろうよ!」という感じで、その時は酔っ払った勢いで言っているのかなと思いました。でも後日集まった時にお話を聞いてみると、これは本当に形にできそうだなと思いましたし、むしろすべきものだなと思いました。最初は半信半疑でしたが(笑)。

吉村:言っている自分も半信半疑でした(笑)。でも、みんなたぶん同じ感じだったと思います。

●物語はどう決めたのですか?

武田:大晦日に作品を撮ることは決まっていたので、それがまずテーマとしてありました。撮影は3年前だったので、まさか世界がこんなことになるとは思わず、がむしゃらに撮っていましたね。

吉村:何度かご飯に行ったりするなかで、「ロードムービーにしよう」などと話は出ていました。ようやく公開を迎えてうれしいですが、改めて観てみたら面白くて。何年後かにも「面白い」「また観るか!」と言われるような作品になっていたらいいなと。

武田:本当に映画が好きな人たちが集まって撮ったので、「自己満足映画にならないようにしよう」と、おそらく誰しもが思っていました。こうして完成してみなさんにお届けできることでこれから先、一緒に育てていける映画になればいいなと思っています。

●それぞれの役柄については、どう理解して演じたのですか?

吉村:僕が知っているアベラ監督の人間像をそのまま形にしたような感じです。しんどい時にしんどいと言う人。自分の感情に正直に表に出すような人です。喜びも卑屈なことも、全部自分の中で考えてぐるぐるしてる人なんです。もだえてもだえて苦しんでる人、それを繰り返す感じでした。

武田:一見すると、大人びた女性に見えますが、大人になりきれていない少女の部分があり、それがのちのち明かされていきます。悲しい時や泣く時は「子どものように泣いてほしい」とアベラ監督から言われていたので大人になりきれていないところを意識して演じていました。

●今回、共演の感想はいかがですか?

吉村:役にハマっているなあと、横で見ながら思っていました。それこそ大人の部分と子どもの部分があり、それをちゃんと体現していてすごいなと思いました。

武田:改めて瞬発力がすごい方だなという印象です。実際に現場に入ってからも発言にウソがないリアルな方だったので、こちらも信頼してぶつかれるなと思っていました。

●今日はありがとうございました。最後にメッセージをお願いします。

武田:3年越しの公開になりますが、映画って本当に撮って終わりではなくて、みなさんが観ていただくまで完成じゃないなと思うので、まずはたくさんの方に観ていただきたいです。今回、ほぼ自主制作のようなカタチで制作していたので、応援してくださった方々、そして観てくださった方々と、この映画を成長させていきたいと思っています。

吉村:映画は、そこまで真剣に考えずラフに「こんな映画あるんだ」くらいの感じで観てほしいです。映画を観て自分を振り返る――どうこうではなく、他人行儀でよいので観てもらって、SNS見ているよりは面白かったかなくらいのノリで観てもらえればいいのかなと思っています。

■ストーリー

大晦日。アメリカ留学中だった妻が死んだ。

絵描きの男は、新年までに「死んだ妻の“肖像画”」を完成させなくてはならないが、「生きた“瞳”」をどうしても描けない。そんな時空港で、妻に似た女・リンと運命的な出逢いを果たす。

彼女もまた、新年までに“終わらせたい”ことを抱えていた。ふたりはタイの三輪タクシー(トゥクトゥク)に惹きつけられて乗り込み、“終わらせる”ための旅に出る!

Japanese Style【ジャパニーズスタイル】は英語で『袋とじ』という意味である。

旅の途中で、二人が互いに隠していた『袋とじ』も暴かれていく…! タイムリミットは年越しの カウントダウン!

“終わらせたい”二人の運命はいかに ? !

(C) 2020映画「ジャパニーズ スタイル」製作委員会

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo