「必殺シリーズ秘史 50年目の告白録」刊行記念対談 高鳥都+秋田英夫 「話聞きます喋ります」 <前編>

  by リットーミュージックと立東舎の中の人  Tags :  

1972年9月に放送開始した『必殺仕掛人』を第1作とする人気時代劇「必殺シリーズ」のスタッフほか30名に直撃取材を行い、これまでほとんど表に出ることのなかった貴重な“撮影裏話”を満載した書籍『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』(立東舎)が2022年9月16日に発売された。WEBによる発売告知の時点で熱烈な必殺ファンおよびテレビドラマファン、映画ファン各界から注目を集めたほか、発売初日に重版が決定するなど、“時代劇”関連本として異例の大ヒットを飛ばしている本書は、まさに「必殺シリーズ」誕生50周年記念にふさわしい内容、ボリュームともに充実の一冊である。

本書の刊行を記念し、著者の高鳥都氏にフリーライターで重度の必殺ファン・秋田英夫氏がインタビューを敢行。本書制作にまつわるさまざまな濃厚エピソードの数々をうかがっているうちに、従来の“勧善懲悪”時代劇から外れ、アウトローの美学を追求した「必殺シリーズ」の意欲的な映像を作り出そうと日夜頑張っていた京都映画(現:松竹撮影所)スタッフ諸氏の“シゴト”ぶりをリスペクトする“対談”記事となっていった。ぜひ脳内で必殺シリーズ名物「殺しのテーマ」音楽を流しながら、お読みいただきたい。

高鳥都(『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』著者)
秋田英夫(ライター/必殺党)

特撮作品と「必殺シリーズ」のファンには共通する部分がある?

秋田: 高鳥さんといえば、70年代、80年代の邦画・テレビドラマ関連記事や関係者インタビューなどで活躍されており、近年だと雑誌『昭和39年の俺たち』(一水社)で「必殺シリーズ深掘りインタビュー」と銘打った、スタッフ各氏への愛情とリスペクトに満ちたインタビューが評判になりました。本書『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』は「深掘りインタビュー」をやっていたころから構想していたのですか?

高鳥: 単行本になればいいなぁとは思ってましたが、立東舎の編集・山口一光さんから声をかけてもらったのは同時期に『映画秘宝』で連載した櫻井洋三(松竹・「必殺シリーズ」プロデューサー)さんのインタビュー記事の反響が大きかったからですね。「マキノ雅弘の『映画渡世』みたい!」とシネフィル感バリバリの感想をいただきました(笑)。ちょうど立東舎では、八木毅監督が『ウルトラマンマックス』や『ウルトラマンティガ』など、特撮作品のスタッフ・キャストインタビューをまとめた書籍をいくつか出されていて「関係者に撮影当時の話を聞く書籍」のフォーマットが出来ていたことも、決め手のひとつとなりました。ドラマや映画のプロデューサーと同じで、本も編集者がいないと始まりませんから。

秋田: 感覚的な発言ですが、特撮作品のファンと「必殺シリーズ」のファンには共通する部分が少なからずあるみたいですから、山口さんと高鳥さんの判断は正しかったと思います。「必殺」はどこか「特撮魂」を刺激する要素があって、殺し屋ひとりひとりが表稼業を殺しに応用するテクニックだったり、いわゆる正統派のチャンバラ活劇ではない「暗殺技」のスリルだったり、キャラクター作品のファンがスッと入っていきやすい土壌が存在するように思います。

高鳥: ある種の国民的ドラマですから、ファンの層も厚い。他の時代劇は観ないか、観るけれど深くはのめり込まなくて「必殺シリーズ」だけはすごく熱中して観るという人、けっこういらっしゃいますよね。中には当時の新聞・雑誌の記事まで収集されているコアなマニアの方もいて、幅広いなあって思います(笑)。

秋田: 僕もけっこう集めています(笑)。これも持論で申し訳ないんですが、ウルトラマンにしてもゴジラにしても仮面ライダーにしても、ただ目の前の映像を楽しんで観ているだけだとマニアックな興味がそれほどわかないような気がするんです。シリーズものだと、例えば『必殺仕置屋稼業』は、『必殺必中仕事屋稼業』の次に始まったのか。そしてその次は『必殺仕業人』に続いていくんだな……なんて、流れを追いかけてシリーズの外観がはっきり見えたとき「他のシリーズも観てみたいな」といったマニア的欲求が生まれるんだと思っています。もちろん『大江戸捜査網』で「十文字小弥太(杉良太郎)の次は伝法寺隼人(里見浩太朗)が主役なのね」みたいに、別作品でもそういう思いは生まれますけれど、シリーズごとにわりとはっきりテーマやキャラクターが変化して、バリエーションが豊富なのも「必殺シリーズ」にコアなファンがつく理由なんじゃないかなって思います。

高鳥: 秋田さんは過去に出た「必殺シリーズ」の本に参加されていますよね。

秋田: 最初はキングレコードのCD「必殺シリーズ オリジナルサウンドトラック全集」の(1)『必殺仕掛人』と(9)『新 必殺仕置人』の曲構成・解説ですので、1996年ごろからやっていることになります。その後『新 必殺仕置人』『必殺仕掛人』LD-BOXの解説書内のいくつかの記事や、角川ザ・テレビジョン文庫『必殺シリーズ完全殺し屋名鑑』『必殺シリーズ完全闇知識』、それに講談社『必殺DVDマガジン仕事人ファイル』とか、ライター・編集者・顧問(作家)の混成部隊「必殺党」の一味として、いくつか関わらせてもらいました。シリーズ全作品の解説をやったのは『必殺仕事人2009公式ガイドブック』(朝日新聞出版)なんですけど、この記事は自分が高校生だったころ愛読していた『必殺ポスター全集』(83年/放送映画出版)の作品解説にオマージュを捧げ、気合いを入れて書いたつもりです。

高鳥: すごい! 僕は中学生のときに観た再放送から本格的にハマりまして、今挙げられた本やLDの解説書、そして山田誠二(作家・脚本家/必殺シリーズファンクラブとらの会会長)さんの書かれた『必殺シリーズを創った男』『秘録 必殺シリーズの舞台裏』(洋泉社)などを読んでいました。それだけに「必殺」はメジャーという印象があり、ファンとしてもライターとしても後発の自分がすでにかなりのアプローチがなされている「必殺」の世界に入っていくのはどうかなと、最初は思っていました。遠慮もありますが、あんまりメジャーなものはやりたくないという大穴狙いの反骨精神ですね(笑)。

秋田: でも、最初に高鳥さんが『昭和39年の俺たち』でインタビューをされた都築一興監督のお話は、今までの必殺本で読んだことのない、撮影現場サイドのナマのエピソードが多くて、たぶんほとんどの必殺ファンが引き込まれたと思います。読み終わった瞬間、このまま京都映画で活躍された他の監督さんとか、当時若手だったスタッフさんの取材記事がずっと続いてほしいなと思いましたから。

高鳥: 今まで表に出て来られる機会がほんとうに少なかった、裏方の人たちにスポットを当てた本は、おっしゃるようになかったので、手ごたえを感じたところはありました。プロデューサーや脚本家、監督、そして撮影の石原興さんと照明の中島利男さんのように「必殺シリーズ」というのは比較的スタッフに光が当たってきたジャンルではありますが、さらに多くの方々が支えてきた……必殺50周年というタイミングもあり、そこに自分のやれることがあるかなと思いました。

それぞれの「必殺シリーズ」とのファーストコンタクト

秋田: 高鳥さんは岡山県の出身だとうかがいましたが、必殺シリーズに触れた最初の瞬間って覚えていますか?

高鳥: 小学生だった90年代初頭、NHK-BSで『暗闇仕留人』や『必殺必中仕事屋稼業』の再放送があって、それが最初です。記念写真を撮る瞬間に心臓を握り潰すとか、大雨の中で駕籠に乗った標的をすれ違いざまに殺すとか、断片的なシーンの思い出しかありませんが。その後、山田さんの『必殺シリーズ完全百科』(データハウス)を読み、放送リストを眺めていると監督の項目に「深作欣二」「三隅研次」「工藤栄一」とかそうそうたる名前が載っていて、それが自分にとって映画の教科書であり、各パートのスタッフに興味を持ち始めたきっかけにもなりました。

秋田: 僕は「必殺シリーズ」の本放送を観始めたのが中学生のころ。『新 必殺仕事人』(81年)あたりからでした。金曜よる10時、家族そろって「必殺」を観ていた時代が確かにありまして。まあ当時の平均的なファミリー(笑)。それ以前のシリーズになると、幼すぎて良さがわかっていなかったのか、チャンネルを合わせてすらいなかったんです。『新 必殺仕置人』ではなく裏の『うわさのチャンネル!!』で和田アキ子とかタモリを観ていたと思います(笑)。本格的に初期の「必殺」って面白い! と思いはじめたのが80年代、土日の午後にサンテレビやKBS京都で観た『必殺仕置人』や『暗闇仕留人』でした。最初は友人たちが「仕置人、おもろいぞ~」と薦めてくるのでみんなでワイワイ言いながら観ていたのですが、そのうち自分だけが残ってしまったみたいな感じです。

高鳥: 僕も『仕置人』が大好きで、特に貞永方久監督の第1話「いのちを売ってさらし首」はビデオを何度も観返しました。あの回が全シリーズのマイベストですね。

秋田: 1983年から1984年にかけて、『必殺仕事人III』や『必殺仕事人IV』が20%超えの数字を取るような人気番組になり、その影響もあって松竹ホームビデオから各シリーズの第1話や主要回のビデオソフトが出ました。再放送の頻度も高くなり、あのあたりから新しいファン層が増えていったと思います。

▲必殺シリーズ・ビデオソフトチラシ(秋田氏私物)

高鳥: そのあと、最終回を2作ずつ収録したビデオが出ましたよね。あれのおかげで最終回だけ先に観て、あんまりピンとこなかったり(笑)。95年に朝日放送で『仕置人』の再放送が始まったというので、神戸に住んでいた姉にビデオ録画を頼んだことがありました。でも続きを放送するはずだった日の朝に、あの“阪神・淡路大震災”が起きてしまい、その後の放送予定がぜんぶ飛んでしまったんです。

秋田: そのとき僕は大阪にいましたからよく覚えています。一日中、ニュースとACのCMだけになっちゃって。中野浩一(タレント/元競輪選手)の「日本全国、ポイ捨て禁止ィ~!」という高めの声を何度も聴きました。

高鳥: 90年代だと、先ほどもお話に出たLD-BOXが嬉しかったですね。アルバイトをして頑張ってお金を貯めて、『必殺仕置屋稼業』を買いました。後年、実家に帰ったとき庭の畑にキラキラ光るものが吊るされていて、近づいてみたらあのLD……カラスよけに使われていて衝撃を受けましたが(笑)。『新 必殺仕置人』のLD-BOXはブックレットの情報記事や、高坂光幸(監督/後に製作主任)さんのインタビュー目当てで、ずっと後になって中古価格で入手しました。

秋田: 『新 仕置人』LD-BOXとか、キングレコードのCD全集に僕が参加しているのは、それ以前にアマチュア活動で必殺シリーズの研究同人誌をやっていたことが深く関係しています。必殺シリーズファンクラブ「とらの会」の山田誠二さんは京都にお住まいで、だからこそ京都映画撮影所へひんぱんに足を運んで『必殺仕事人』などの撮影風景を取材されていたりしましたが、関東にはアニメ・特撮・時代劇の作品論を書かせたら絶品というライターの坂井由人さんを中心に「必殺」研究会・音羽屋というサークルが精力的に活動していて、研究同人誌「殺した奴をまた殺す」を年2回発行していたんです。僕は90年代後半から2000年くらいまで同人誌のお手伝いをしており「必殺シリーズ」各作品のエピソード紹介とか、全話ビデオ録画をチェックしてスタッフ・キャストのデータベースを作ったりしていました。ちなみに90年代終盤には「とらの会」会誌の編集や執筆もお手伝いしています。ワープロにデータを打ちこんだり、ノートにメモしていったりすると知らぬ間にスタッフさんのお名前が頭に入っていくものですけど、それゆえ『必殺シリーズ秘史』の目次や表4に並んでいる方々のお名前を見て、なんか懐かしいというか、この人たちはあのときこんなお仕事をされていたのか! という感動と興奮がいっそう増しました。

▲『必殺シリーズ秘史』表4にはインタビュイーのお名前がずらり

高鳥: 「とらの会」や「殺した奴をまた殺す」はリアルタイムでは触れてなくて、古本やヤフオクで何冊か買っただけなんです。そういう意味では独学のファンというか必殺ブームの熱気も知らないので、うらやましいです。「殺した奴をまた殺す」は作家の京極夏彦さんと秋田さんたちがフリートークしている記事とか、面白かったですよね。「世の中には、すげえマニアがいるもんだな」とブックオフの隣の喫茶店で読み漁りました。

秋田: 京極夏彦さんは『仕掛人』から最新作までずっと本放送で「必殺」を観続けている筋金入りのファンですから、お話の中に含まれる情報量がすごいんですよ。僕にとって、多くの知見が得られた集まりでした。ちなみに、あのトーク記事の下段で「脚注」を入れているのは僕です。今、同人誌を読み返すと文章が稚拙でお恥ずかしいのですが、集まっていた仲間たちは20代とか、30代前半とか若い奴らばかりで、素人ながらものすごい情熱がありました。

▲同人誌「殺した奴をまた殺す」書影(秋田氏私物)

細かい表記へのこだわり

高鳥: 『必殺シリーズ秘史』が出たとき、みなさんのような「必殺」の濃いマニアの方々に「ここが違う!」とつっこまれないかどうか、わりとヒヤヒヤしていたんです。

秋田: いえいえ、あそこまでの本を出されては、たとえ細かな表記に違いがあったとしても誰も何も言わないはずですよ。足元をすくおうとする者がいたとしても、圧倒的な物量とテクニックで返り討ちにされてしまう。

高鳥: 巻末の「必殺シリーズ一覧」に出演者のデータを入れる際も、ネットの検索だけだと危険なんですよね。とある映画本の裏話ですが、巻末のフィルモグラフィを編集者がバイトの学生に任せたらいろいろデタラメで……という苦い思い出がありました。スタッフの順番でさえ映画情報サイトによってはムチャクチャなんですよ。例えば『必殺必中仕事屋稼業』で草笛光子さんが演じた「嶋屋おせい」も、テレビのクレジットだと「せい」になっている。役名の表記や順番についてはテレビに準拠したかったので、U-NEXTで配信されているシリーズ全作(仕掛人~仕事人激突!)のクレジットを観返して、原稿に反映させました。まぁスマホ片手にポチポチするだけなんですが(笑)。

秋田: そういうところ、今はずいぶん便利になりましたよね。僕が同人誌をやっていた90年代はDVDソフトがなかったものですから、VHSのビデオテープとか、デカくて重いLD-BOXとか、音ならカセットテープやMDを頼りにしていました。週5の再放送を1話たりとも逃さずにビデオ録画するのもわりと至難の技で、当然、全シリーズコンプリートなんてできるわけありません。80年代はファンクラブの存在こそ知っていましたがまったく関わりもなく、録画を失敗したらもう二度と観られない……と思うくらい、緊張感がありました。同人誌に関わってからですよ、持っていない話数をお借りするとかができるようになったのは。

高鳥: 再放送でも週1と週5だと、ありがたみが違いましたね。上京したあと、ある人から『仕業人』を録画したビデオを全話分お借りしたときは「東京すげえな」と思いました。しかし、こんな殺伐とした話を一気に観ていいものだろうか、と(笑)。そういえば、ちょっと前にBSで放送されていた映画『必殺! ブラウン館の怪物たち』の「ブラウン館(やかた)」を、解説の方が「ブラウンかん」って読んでいて、ネットでお叱りの意見がけっこうあったじゃないですか。もしも今回の本でうっかり「ブラウン館(かん)」ってルビ(ふりがな)を振っていたら……なんて思ったりすると怖くて(笑)。

秋田: わざとテレビの「ブラウン管(かん)」に引っ掛けたタイトルですもんね。しかし今やブラウン管そのものが消えてしまい、あるのは液晶モニターですから若者が知らないのも無理はない(笑)。やっぱり「必殺」はテレビ番組なので、放映・上映していた時代の出来事をある程度汲んでおかないと、何十年もあとになってしまったらピンとこないこともあるでしょう。必殺スペシャルの『大奥、春日野局の秘密』(1989年)って、NHK大河ドラマ『春日局(かすがのつぼね)』のパロディで「春日野局(かすがののつぼね)」って劇中のセリフでも言わせてるのに、近年のCS放送でナレーターが「かすがのつぼね」って読んでいて、イヤだなあって思いました(笑)。

高鳥: やっぱり怖い(笑)。怖いといえば、『必殺シリーズ秘史』はインタビュー対象も最初は20人くらいの構想だったのが、どんどん増えてしまって30人近くになり、撮影所の近くの喫茶店のマスターのお話や、土壇場で手に入った貴重なセットデザイン資料などを入れると、膨大なページ数になってしまいました。当初は352ページの予定で、編集の山口さんが急きょ二折(32ページ)増やしてくれたんですが、それでも収まらないので、泣く泣くそれぞれのインタビューから1〜2割の分量を削るという、地獄のような作業がありました。ギリギリのタイミングでページを増やせたのも予約数が好調だったからだそうなんですが、「追加でもう一折……」とお願いしたら、さすがにスルーされましたけど(泣笑)。そんなわけで、初版の際にいくつか見落としがあったら、すみません。大きな声じゃ言えませんが、そういう部分がなくはないので……。

秋田: いや、ここまで膨大な文字数のインタビューや原稿を書かれているにも関わらず、必殺ファンが気にするような誤記がぜんぜん無いと思えるほど、目立っていませんから大丈夫ですよ。やはり作品タイトルの「・(ナカグロ)」をどうしようかとか、もともと隅々にまで注意が行くタイプの高鳥さんが作られた本ということが、うるさ型のマニアでもわかると思います。僕も『新必殺仕置人』なのか『新・必殺仕置人』なのか、いつもどう表記したほうがいいか書く前に考えますし、一度決めたら文章の最後までブレるわけにはいきません。『必殺シリーズ秘史』では「テレビ本編タイトルにナカグロが存在しない事実と、朝日放送テレビの公式指定」にもとづき『新必殺仕置人』と定められています。ナカグロは「新」と「必殺仕置人」を分ける記号であって文字ではないですから、入っていても間違いじゃないかな~なんて、ナカグロだけであれこれファン同士で言い合う姿をよく見てきましたから、ああやって本の指針というものを示してくださったのはわりと痛快なんです。

高鳥: 新聞とかはナカグロありだし、結局どっちも正解な気はするのですが、難しいですよね。僕は映画評論家の山根貞男イズムで本編のタイトル至上主義なんですが、そうすると東映の「極道の妻たち」シリーズはナカグロのありなしが混在してしまう(笑)。

秋田: 今回の対談原稿では意識的に『新 必殺仕置人』『新 必殺からくり人』『新 必殺仕舞人』という風に「半角アケ」を採り入れてみようと思います。

高鳥: なるほど! また別のこだわりが。1作目の『必殺仕掛人』も初期の台本だと「必殺・仕掛人」になっていて、テレビオリジナルの「必殺」と原作の「仕掛人」というキーワードが区切られていましたね。本編のタイトルも上下2段組みだし。

秋田: ところで、高鳥さんのインタビューって、冒頭でまず「必殺」撮影当時の面白いエピソードを聞いて「つかみ」とするでしょう。そのあと、「そもそもこの世界に入ったいきさつは?」と最初から訊いていく。ああいったスタイルで統一されていて、まるでハリウッド映画のメイキングみたいな、ドキュメンタリーの味わいが感じられてすごくいいんですね。

高鳥: 構成としてはテレビのトーク番組みたいなパターンですよね。でも、意識的にやっていたのではなく、だいたい現場でお話をうかがったとおりに進めていったら、あのように。もちろん中身は大幅に整理しますけど、出だしに関してはライブ感を出したいので、ある程度ありのままを大事にしています。あとはインタビュー原稿の方向性として「会話型」と「質問型」があると思うのですが、あまり聞き手が自己主張するのが好きではないので、質問事項は極力短めに、取材相手の方の言葉をたくさん入れるよう努めています。物理的にもそうしないと収まらない(笑)。インタビューのテイストは「山根貞男と吉田豪の中間」くらいを意識しましたが、そうなっているかは別問題ですね。

▲石原興氏のインタビュー記事より

秋田: 今回の本は取材対象が質問されたことに答える「Q&A」方式ですが、地の文があって「  」(カギカッコ)で取材相手のコメントを入れる構成もあります。

高鳥: あれ硬派でカッコいいんですけど、みなさんがお話の中にちょいちょい入れてくる「笑い」の要素が、それだと入れづらいと思ったんです。せっかく面白い発言をしてくださったわけですから、それに対するリアクションはするべきだと。

秋田: 現場で高鳥さんがすごいウケているのがわかるようなリアクションがときどき入りますもんね(笑)。本当に必殺シリーズや、昔の日本映画、テレビドラマ、時代劇が好きじゃないと、このような原稿を作ることはできません。

高鳥: 必殺ファンの方からもそういうお声をいただき、ありがたい限りです。

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と、「必殺」となると話は尽きないお二人。なんと対談は6時間にも及び、まだまだ面白い話題がたくさん展開されました。というわけで、本書の本格的な制作裏話が満載の「後編(11月11日公開予定)」に続きます!(立東舎編集部)

タイトル: 必殺シリーズ秘史 50年目の告白録
著者: 高鳥 都
定価: 2,750円 (本体2,500円+税10%)
発行: 立東舎

リットーミュージックと立東舎の中の人

( ̄▼ ̄)ニヤッ インプレスグループの一員の出版社「リットーミュージック」と「立東舎」の中の人が、自社の書籍の愛を叫びます。

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