サッカーJ2のいわてグルージャ盛岡は、今シーズンに監督を務めていた秋田豊氏の代表取締役オーナー兼代表取締役社長に就任を発表しました。
選手時代は「ヘディングの鬼」で鳴らすDFとして鹿島アントラーズなどで活躍し、1998年のフランス、2002の日韓ワールドカップに日本代表に選出された秋田氏は、引退後に京都サンガFCとFC町田ゼルビアで監督を経験。どちらも成績不振で解任されるなど苦い経験もしていますが、2020年にJ3のグルージャの監督に就任すると、2021年シーズンに2位でJ2昇格を果たし、同年のJ3最優秀監督に選ばれました。
チームとして初めてJ2で戦うことになったグルージャですが、序盤こそ千葉・岡山・大宮・甲府・徳島などに勝ち星を上げて健闘しましたが、次第に地力のなさが露呈。最終的には9勝7分26敗の勝ち点34の最下位22位でシーズンを終え、秋田氏も監督退任が発表されていました。
2014年のJ3初年度より参入したグルージャは、2016年に元役員の運営資金不正流用が明るみに出るなど経営に苦慮していましたが、2018年に外国語教室事業のNOVAホールディングスが運営会社のいわてアスリートクラブが51.0%の株式を持ち経営権を取得。さらなるサポーター層の拡大とスポンサー獲得を目指し、盛岡にJ1規格の15000人収容のスタジアム新設を構想していました。
今回の発表によると、NOVAホールディングスが所有する株式(全体の51.4%)の一部を秋田氏個人に譲渡。これにより、秋田氏は全体の33.4%を所有することになり、Jリーグにも譲渡の承認されたことで、名実ともに「オーナー」となりました。
前任のグルージャの代表取締役オーナーで、NOVAホールディングス代表取締役社長の稲吉正樹氏は、秋田氏とは愛知学院大学で同窓の間柄。チームのサイトに寄せたあいさつでは「今回の決定は、スタジアム建設のタイムリミットが近づく今、正に『県民一岩』の機運が必要だと判断したためです」と株式の譲渡に至った経緯を説明。「グルージャが県外企業であるNOVAの連結会社ではなく、今やグルージャの顔であり、サッカー界のレジェンドである秋田新オーナーがクラブを牽引し、そしてNOVAが引き続きメインスポンサーとしてグルージャをサポートする。そのような布陣を組むことが、新スタジアムを実現し、グルージャを更に前進させると考え、決断しました」と地域密着に即した体制に向けたものだと強調しています。
今回の発表には、ネットでも驚きの声が上がっており、「あの漢がオーナーに!?」「経営者としての実力が試される」といった意見も見られました。なお、秋田氏はトレーニング・ギアの販売などをしているサンクト・ジャパンの社長を務めており、同社によるとグルージャのオーナー兼社長に就任した後も兼務するとしています。
秋田氏は、柏・浦和・神戸などで活躍した那須大亮氏のYouTubeに出演した際に練習環境の厳しさなどに触れた上で、新スタジアム計画について「絶対に達成したい」と述べて、監督をしつつフロント業務や強化にも携わっていたと話しています。今後社長としてどのような舵取りをしていくのか注目したいところです。
いわてグルージャ盛岡(公式サイト)
https://grulla-morioka.jp/ [リンク]