男児たるものネイルなんて…いや「昔取った杵柄」でプラモデルの塗装技術を生かせるか!

  by 古川 智規  Tags :  

最近は若い男性は化粧もするし、ネイルもやるらしい。そのネイルをぜひ体験してほしいとのお誘いがあったので、気乗りはしなかったが、とりあえず説明を聞きにマンダムを訪ねた。
職業柄、基礎化粧品程度であれば女性用のものでも試用してレビューすることはそれほど抵抗感はない。色が着いたり形が変わったりするものではないからだ。しかしネイルとなると、記者の感覚ではファンデーションや口紅を使用するのと同じなのでとてもではないが容認できないのだ。

さて、マンダムでは多様な自己表現を実現するメンズ向けのコスメライン『gatsby THE DESIGNER(ギャツビー ザ デザイナー)』より、なりたい仕上がりに合わせて選べる「ギャツビー ザ デザイナー オールインワンネイルシリーズ」をすでに発売している。文字通り男性用なのだが、それでも抵抗はある。とりあえずやってみてダメだったら有機溶剤(除光液)で落としてしまえばよろしいのだ。そもそも男児たるものがマニュキュアなど世も末だくらいには考えていた。

塗り方を教わる

とりあえず何もしていない爪の状態をビフォーとして撮影しておく。
本品は、ベースコート・トップコート・カラー・爪補強コートの4つの機能が備わったオールインワンネイルなので、とりあえず手間はかからなさそうだ。「塗りやすさ」「色持ちの良さ」「ダメージ保護効果」を兼ね備えた速乾タイプなので、UVランプにかざす必要もないし、1週間程度は持つそうなので面倒でもない。全6色だが若者であればともかく、ちょっと遠慮したい色もあるのだが、それは好みの問題なので個人の好き好きで構わないだろう。

自分では塗り方がわからないので、慣れた女性に塗ってもらう。記者は右利きなので左手を塗るときはそう難しくはないのだろうが逆は大問題だ。同社の広報担当者に聞いてみると簡単な塗り方を教えてくれた。それは左手でマニュキュアを持ち動かさずに固定する。そして細かい動きができる右手を筆に持っていき右手の指を動かして塗っていくというのだ。
それを聞いてなるほど!と思った瞬間からすでに興味を持ち始めているのが、男児として情けない。(と、まだ思っている)

ルビークリアは誰でも健康的に指がきれいに見える!

そして塗り終わったのがこの状態。ちなみに使用したのは「ルビークリア」だ。瓶の状態ではピングレのような色だが、塗るとほとんどクリアで、光にかざすと肌の色に近く健康的に見えるのは間違いない。
この状態でしばらく取材や打ち合わせ等の仕事をこなした。様々な年齢層の女性に見てもらったが、1つの例外もなく全員が「かわいい!」とのたまった。
ここで女性がいう「かわいい」とは、見た目の可愛さよりも「いいね」、最近の若者言葉でいえば「良き」(本来は古語で形容詞良しの連体形が若者言葉に回帰したもの)程度の意味であろう。いずれにせよ「キモイ」ではなかったので悪い気はしない。
ちなみに「ルビークリア」は2度重ね塗りをすれば透明度の高いピンク色が濃くなるので、女性と共有することも可能だ。

「クロムシルバー」は単体では使用可能年齢は限られるか?

そしてもう一つの挑戦として「クロムシルバー」を試すことになった。いやいやいや、クロムってイメージするものは鉛色、六価クロム等々、重要なものだが危険な香りがする金属の名称だ。ちなみに六価クロムは毒性があるが他は重要なミネラルなので記者の完全な偏見である。
とりあえず平たく言えば銀色だ。

そして塗り終わった状態がこれ。コレはアカンやつや。ドラキュラか悪魔のコスプレじゃないんだから。これで街は歩けない。ということで速攻で有機溶剤の露と消えてもらう。(除光液で落とすという意味)
しかし、色としては美しく輝く銀色であることは間違いない。若い方であればこれでも違和感はないのかもしれないが、記者には無理だ。しかし、この2色を有効に使用するにはどうしたらいいのかを真剣に考え始める自分がいた。

プラモの塗装秘術を応用?

塗ってもらっていて、ふと思ったのは「これってプラモデルに塗装するのと大して変わらないんじゃない?であれば昔やった塗装技術が役に立つのでは?」である。
そして100円ショップに走り、何度も落とすことを考えてアセトンフリーの除光液とコットン、そしてネイル用の筆3本を購入していた。

一度「ルビークリア」を全面に塗り、乾かす。3分で乾くので、それを確認してネイル用の面相筆(米粒に文字が書けるほどの細筆)を使用して「クロムシルバー」でお絵描きを開始。利き手ではない左手の薬指に利き手の右手で「彗星」のつもりの絵を描く。
これを選択したのは、多分に記者個人の趣味による。鉄道マニアでもあるので、昔走っていた寝台特急「彗星」(新大阪-都城)のテールマークをイメージしたものを描いた。

彗星が乾いたら再度、上から「ルビークリア」を重ね塗りして「作品」に保護を施す。これでたった2色で鉄ヲタ的ネイルアートの完成した。そして恥ずかしながら二十歳の現役美容師に見て評価をもらう。結果は「かわいー!クリスマスみたい」。いや「彗星」なんですけど…。
全般として予想に反して世代を問わず(お世辞もあるだろうが)女性に好評だったのが不思議だった。何事もやりすぎはよくないが、記者のような昭和な人でもこの程度であれば受け入れてもらえる可能性が高い。何よりもクリア系のさりげないマニュキュアであれば健康的できれいな指先に見せることができることだけは間違いない。名刺交換や書類の受け渡しでは印象が変わることだろう。ただし年齢によりお絵描きは控えたい。
何か趣味があり、それに関するワンポイントを自分の「塗装技術」で施すことができれば、ネイルアート自体を楽しみとすることも可能だろう。くれぐれもご自身の許容できる範囲内で楽しんで、さらにビジネスシーンでも一歩先を歩んでいただきたい。

※写真はすべて記者撮影

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

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