「いい話」「どうなるかと思った」 野良ネコを拾ってYouTuberを極めようとするマンガがハラハラ展開

『8LDK―屍者ノ王―』(ジャンプコミックス)『妹が分裂した。』(ビームコミックス)などの作者で、Twitterなどにも数々の作品を発表しているぱげらったさん(@pageratta)が、マンガ『ペット系YouTuberの頂点を目指す話』を公開。雨の日に野良猫を保護した男子が動画投稿にのめり込むというストーリーが注目を集めていました。

雨が降る中、電柱の脇で「フギャー」と鳴くヘンな顔の野良ネコを見つけた男子。しゃがむとスリっと寄ってきて、「人懐っこいな…。元々誰かに飼われてたりすんのかな…?」と撫でます。「雨降ってるし汚れてるし、ウチに入れてあげよ」と思い、「ギャー」と鳴くネコを連れて帰ります。

タオルで拭いてあげつつ、スマホで「迷子猫の届け出、出てないなー」と調べて、「このまま飼っちゃおうかな…」となった男子。「名前何にしよう?見た目が悪魔みたいだからアックンとかどうだ?」と撫でると「フギャッ」とまんざらでもなさそう。「はぁ〜可愛い…」と抱きしめて「見た目も鳴き声もちょっと変だけどそこがまたいい…」となり、一人と一匹の生活がはじまりました。

三ヶ月後。「じゃーん。すごいだろアックン。バイト代溜めてミラーレス一眼買ってみたんだ」という男子。「こんな珍しい見た目のネコを一人で楽しむなんてもったいない!YouTubeに動画アップしてみんなに共有しないとね」といい、「前からやってみたかった動画編集の勉強もできて一石二鳥。タイトルは…『悪魔みたいな野良ネコ保護した』でいいかな」とPCをカタカタ。するとアックンがバタンと閉じて「あコラー!アックン邪魔しない!」と怒ります。「はぁ疲れた…。動画編集ってこんなに大変だったんだな…」となりますが、なんと動画が大ウケ! 「め…めちゃくちゃバズってる…」と驚いた男子、「スゴいぞアックン!みんなお前の事可愛いって言ってくれてるぞ…!!」と抱き上げると、「フギャー」と鳴きます。

「よーし。アックンの可愛い所どんどん投稿していくぞー。目指すは毎日更新!」となった男子。「まずはちゅーるあげる所!アックンちゅーるの舐め方独特だからね」と撮影。おもちゃで遊ばせたり、食べるところを撮ってみたり、身体を洗うところを投稿したりしているうちに、登録者が順調に伸びていき……。

「やったー、ついに銀盾!! すごいぞアックン、おめでとう!!」と撫でるYouTuber。「今みんなが俺達の動画を待ってるんだ。何万人もの人達がお前を見て癒やされたり幸せな気持ちになってくれてる」と抱き上げますが、「あ、そうだカメラ!銀盾が届いたっていう動画撮らないと。ネタになる事は取りこぼさないようにしないとね!」という背中をアックンがじっと見てます。

「よーし、夢はでっかくペット系YouTuberの頂点だ!!これからも一緒に頑張ろうアックン!」と決意。その後、勢いに乗った伸びはすさまじく、再生数は毎回30万回越え。グッズや写真集が発売されるまでに人気は加熱していきます。

「どうだ〜アックン。これが俺達の新居だぞ〜」とタワマンに引っ越したYouTuber。アックンが「ギャー」と鳴くのをよそに、「前のボロアパートも視聴者は愛着もってくれてたけど……。百万登録も夢じゃなくなってきたし、金盾置くに相応しい家に住んどかないとね」といい、「全部お前のおかげだよアックン〜。ただの高卒フリーターが一発逆転!!」と喜びますが、ここで「俺としたことが新居に初めて入るアックンのリアクション撮り忘れてた!カメラカメラ!」とアックンを置いて行ってしまいます。

「まぁ編集でどうともなるよね。じゃあ撮影始めるよ〜」というYouTuberですが、「ちょ…、アックン!そっちじゃない!入り口入ってからこっちに向かってくるんだって」となり、「もー何テイク目だと思ってるの…、お願いいうこと聞いて…!!」と元の場所に……。「良い映像を撮るためには少しの妥協もできない。どれだけストーリー性を演出できるかで再生数も全然変わってくる」と思ってます。

その後、「撮影お疲れ様。ご飯だよ〜」と出しますが、カリカリと身体を掻いて見向きもしないアックン。「あれ…、なんで食べないのアックン。これヒューマングレードのめちゃくちゃいいやつなんだよ…?アックンには長生きしてもらいたいと思って折角買ったのに…」といいますが、手をつけようとしない様子に「仕方ない。前のに戻すかー」とため息をつきます。

そして別の日。「今日は公園で散歩動画を撮るぞー」というYouTuber。「ホントは街行く人と触れ合うシーンとか撮りたいけど、色々五月蝿い視聴者様も増えたからね」と言いながら地面にアックンを立たせると……。

公園で「このへんがいいかな…」となっているところ、アックンがグググとリールを引っ張り、外れて駆け出してしまいます。「アックン!!」と叫んだ時にはもう草むらの中へ。「そんな…アックンが逃げた…」とショックを受けるYouTuber。「アックーン!! どこー。お願い出てきて〜」と街中を探しますが見つからず。「ど…どうしよう…。どこにもいない…」と呆然となりつつ、「SNSで拡散して探してもらう?でもそうするとアックンが逃げた事がみんなにバレる…」とネガティブな反応が返ってくることを想像して、「自力で見つけるしかない…!!」と駆け出します。

三日後。どこを探してもアックンは見つからず。憔悴しながら「そういや動画の編集してないな…。ストックも尽きたしずっと続けてきた毎日更新できなくなっちゃった…」とスマホを見ると、掲示板で迷子猫のポスターが話題になっていました。「なんかもうチャンネルの事とか全部どうでもよくなってきた」と思いながら、人懐っこいアックンとの日々を振り返り、「一体どこにいるんだろアックン…。お腹すかせてないといいな…」と心配します。ここで高級キャットフードを食べなかったことを思い出し、「ま…まさかな…でも、もしかしたら…」となった男子。急いで雨の中を走って向かったその先には……。

「フギャー」と鳴くアックン。「やっぱりここにいたのか…」と抱きしめた男子。そこは前住んでいたボロアパートの前でした。「ごめんアックン…。最近の俺、アックンのことちゃんと見れてなかったよな…」と泣きながら謝り、「いつの間にか、画面の向こうのことばっかり気にしてた。動画はやめて昔の生活に戻ろう。だから…俺の事許してほしい」というと、アックンは「フギャ」と涙をペロリ。虹がやさしく一人と一匹を見守っています。

「自分も猫を飼っていてよくペット動画を観るので、脱走したり死んだりしたらどうするんだろうと考えてしまうんです」というぱげらったさん。このマンガについて「話を考えるというよりは、自然と妄想したものをそのまま出力したような作品ですね」と話します。

「いい話」「どうなるかと思った」「ハッピーエンドでよかった」という声のほか、「猫様は何でもお見通し」「かまってほしくてノーパソ閉じてたんじゃないかな」といった感想が寄せられていたことについて、ぱげらったさんは「DISっぽい内容になっていますが、視聴者的にはいろんな可愛い動物動画が見れるのでありがたいですよね」といいます。

ぱげらったさんは短編作品をKindle無料マンガなどで公開中。不思議な動物が登場する話も多く、読後感が独特なので要チェックです。

※画像はTwitterより
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乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営。ネット、メディア、カルチャー情報を中心に各媒体にいろいろ書いています。好物はホットケーキとプリンと女性ファッション誌。

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