どうも、特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。
一般市民と自治体の安全をガッチリと守る各都道府県の県警。その組織と業務内容についてはあまり知られてはいません。県警組織はなんと12の部署に分かれているというのです。では、直接市民の安全を一手に引き受ける都道府県警というのはどのような組織になっているか?
そこで今回は、宮城県警の元警察官であるT氏(61歳)にお話をお聞きし、警察内部のことについて解説してみたいと思います。
明治期に「東京警視庁」が発足
丸野(以下、丸)「警察組織というのはそんなに役割が分かれているんですね?」
T氏「明治時代に日本初の近代的な警察組織として《東京警視庁》が発足しました。内務省警保局の所轄機関としてできたわけです。敗戦後、1947年には旧警察法が施行され、日本政府からの強い要望によって警視庁の名前が残されることになりました。GHQもさすがに何も言えなかったんでしょうね」
丸「なるほど」
T氏「普通、《庁》というのは国の行政機関です。しかし、戦後に国家機関だったのが地方機関に移行しても、この名前が使われているというのは非常に稀なんですね」
警視庁最高責任者は《警視総監》
丸「警視庁というのは、東京都知事の配下に、東京都の公安委員会、警視庁と警視総監、あとは所轄の警察署という風に聞いているのですが……」
T氏「そうですね、公安委員会は5人の責任者が務め、警察署は12の部署があります。警視総監はキャリアの警察官にとっては、最高位。出世を目指す者にとっては神的な存在ですね。警視総監の下には警視総監を補佐する役目を担う副総監がいます。この立場になっても、やはり出世コースになりますね。警視総監に気に入られれば、自動的に引き上げられてもらえるというケースもあります」
丸「そんな風に運営されているんですね」
T氏「警察庁は各部署を《局》という風にしていますが、県警は《部》という名称を使っています。非常にややこしいんですがね」
各部署の名称とは?
《12の部署》
警務部
福利厚生、人事のことを担当する部署。
交通部
免許証の発行業務、また交通取り締まりなどを行う白バイ警察官の花形部署。
総務部
施設管理、広報、会計、秘書業務名を一手に取り仕切る部署。
地域部
地域防犯に特化して、いわゆるお巡りさんが勤めている交番などを所轄する部署。
警備部
主に機動隊やSAT、SPなどの特殊任務を担う部署。
刑事部
傷害、誘拐、殺人事件などの凶悪事件を担当する、警察学校の生徒や交番勤務の警官が憧れる部署。
組織犯罪対策部
通称・ソタイ。過去4課だった暴力団対策課がこの課になった。暴力団だけでなく、薬物犯罪や銃器犯罪、国際的な犯罪にも着手する。
生活安全部
近年増加するサイバー犯罪や少年犯罪、風営法の許認可権まで持ち合わせる防犯活動に着手。
犯罪抑止対策本部
犯罪抑制目的で2008年から新設された部署。運営と企画、さらにすべての調整を行っている。
人身安全事案総合対策本部
ストーカー、配偶者による暴力、高齢者や児童、障害者への虐待事案、誘拐や殺人などの犯罪につながるおそれがある行方不明の事案、性犯罪事案の捜査や所轄警察署への支援を行っている。
公安部
スパイ対策(防諜)や革マル派や中核派などの国内の過激派、国内外のテロリストなどの捜査や摘発を行う部署。
警察学校
警視庁採用のノンキャリアベテラン警視長が学校長を務める警察官、警察行政職員志望者の教育や訓練を行う場所。日本にある警察学校は学校教育法上としての学校ではなく、警察組織内の教養施設。警察官・一般職員への研修事務が主な内容だ。入学した学生も警察職員とみなされ、地方公務員法に基づいた給料が支給されている。
これらの部署が存在するということです。
丸「各都道府県でこちらには変化があるのでしょうか?」
T氏「しかし、これも都道府県によって組織編成に多少の違いがあるんですが、かといって指揮命令系統や業務内容には大差はありません」
遠い存在のようで身近な警察組織。様々な苦労をしても一般市民の安全と安心を守ってくれています。先日、祇園祭の人込みで泣いている女の子をあやしていたところに遭遇しました。20代半ばの制服警官の彼は、人ごみを整理しながらも女の子の姿に気がついたわけです。
そんな姿を目にすると、警察官の方々には頭が上がりません。いつもありがとうございます。警察官のみなさんに敬礼!
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