新人コピーライターが遭遇したのは有名タレントのソックリさん!? 撮影現場に欠かせない「スタンドイン」のお仕事とは

映画やテレビドラマ、CMの現場ではさまざまなお仕事がありますが、大手広告会社でコピーライターとして働いた経験を持つうえはらけいたさん(@ueharakeita)が撮影現場の「スタンドイン」についてマンガで紹介。Twitterでは「知らなかった」「見えないけど重要な仕事」といった反応が寄せられていました。

タレントを起用したCMの撮影現場。「I沢さん…、大変なことになってますよ…」という新人コピーライターの「ぼく」の視線の先には、月9主演女優のK野ひとみではなく、K野ひとみのソックリさん。「どうしましょう…騙されてるんですかね…。ていうか皆何で気づかないんだ…。僕から言った方がいいですかね…??」とブツブツ言いますが……。

「アホすぎる…。アンタここまでアホだったとは…」と呆れたクリエイティブディレクターのI沢さん。「いーい、あれはねー、“スタンドイン”っていう、一つの立派な仕事なの」といい、「撮影っていうのは実際に撮るまでに、何度もリハがあるわけ。証明を調整したり、最適なアングルで撮ったり、それ全部にタレント本人が立ち会ってたら大変でしょ。だから本人に顔や体格が似ている役者さんに、代役をお願いするわけ。それがスタンドイン」と教えます。

「なるほど…勉強になります。でも…」と「ぼく」。「辛くないんですかね、タレントさんの代役として呼ばれて。しかも映像には全く残らないなんて…」と言うと、I沢さんが呆れを通り越した目をしています。

「あのね、撮影現場に一つとして無駄な仕事はないの」と諭すI沢さん。「どれが欠けても映像が成立しないという点で、そこに貴賤はないの。映像に映ってる物だけが映像と思ってるうちは、まだまだね」とダメ出しされて、「たしかに…」となった「ぼく」。K野ひとみが入れ替わるスタンドインさんの横顔を見て、「どこか誇らしげな表情をしていた。”辛くないのかな”と思った自分を少し恥じた」と思います。「そうか…、二人一組で“K野ひとみ”は出来てるんですね」と言いますが、I沢さんに「タレントさんには”さん”付けしてな」と怒られてしまうのでした。

「僕は新卒で5年間ほど広告代理店でコピーライターをしていたのですが、コピーライターは基本的にCMの撮影に可能であれば立ち会うことになっており、スタンドインの存在についても撮影に立ち会った際に初めて認識しました。今回の漫画は多少脚色していますが、僕がこの仕事のことを知った時の感情をわりとそのまま描くことを心がけました」というウエハラさん。コピーライター時代の経験を描いた『ゾワワの神様』を広告・マスコミを目指す学生向けの就活サービス『マスナビ』で連載していますが、「僕はコピーライターとしてなにか実績はほとんど残せませんでしたが、当時見聞きした周囲の面白い先輩たちの言葉などを伝えることなら出来ると思い、そういったコンセプトの漫画を描くことにしました」と語ります。

「このシリーズは、いつもは様々な職種の方から“私の仕事にも通じる所があります”というコメントが多いのですが、今回は、スタインドイン経験者の方や舞台関係者の方などが多く反応してくださり、”私も昔やったことがあります”“この仕事にスポットを当ててくれてありがとうございました”といったコメントが多くて感激しました」というウエハラさん。「少しニッチな題材だったので読まれるかどうか不安だったのですが、 描いてよかったなと思いました」といいます。

「現状はまだ主人公がいろいろな人の言葉に触れて感激する、といったエピソードばかりですが、今後はもっと主人公自身が主体的に成長するエピソードも描いていきたいです。主に若手の会社員の方などが、読んで励まされるような内容の漫画を描きたい、というのが僕の創作のモチベーションです」と話す『ゾワワの神様』。意外と知られていない広告業界やメディアの裏側を知りたいという人はチェックをしてみてはいかがでしょうか。

『ゾワワの神様』第14話「スタンドインさん」(マスナビ)
https://www.massnavi.com/report/1187.html [リンク]

うえはらけいたさんのTwitter
https://twitter.com/ueharakeita [リンク]

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営。ネット、メディア、カルチャー情報を中心に各媒体にいろいろ書いています。好物はホットケーキとプリンと女性ファッション誌。

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