クラウドに基幹システムを構築すること。みんなの銀行のシステムづくりの裏側(1/3)

デジタルバンク「みんなの銀行」では3月にオンラインイベント「#お金のこと話してみよう みんなの銀行の日」を開催しました。本記事ではみんなの銀行、ゼロバンク・デザインファクトリーの若手エンジニアによるトークセッションの模様を一部抜粋・再構成し、全3回にわたってお届けします。
※この記事はオウンドメディア『みんなの銀行 公式note』からの転載です。

登場する人物
■ みんなの銀行 システムデザイングループ ​鶴田 拓郎
■ みんなの銀行​ デジタルサービスマネジメントグループ 前川 貴映
■ ゼロバンク・デザインファクトリー Engineering Division(DevOps) 山口 郁未 ※
※2022/4/1付けの人事異動によりSWETからDevOpsに変更となりました。

なぜみんなの銀行に参画したのか?

山口 早速ですが、前川さんは元々からザ・銀行員ですよね。みんなの銀行プロジェクトに参画した経緯を教えてください。

前川 元々、グループ銀行の営業店でお客さまや企業のサポートをしていたのですが、お客さまが煩雑な銀行手続きやタブレット操作にお困りになられている姿を間近で見ながら、「もっと良いサービスを提供したい」という思いを抱えていました。みんなの銀行では、そういう思いをすぐにシステムにも反映できる体制があるので、その点に魅力を感じて入行しました。

みんなの銀行のサービスコンセプト
■みんなの『声』が​カタチになる
お客さまの行動変容に即した新しい金融サービスを提供する

■みんなの『いちばん』を届ける
それぞれのお客さまへの深い理解に基づく総合金融コンシェルジュを目指す

■みんなの『暮らし』に溶け込む
暮らしと隣接した様々な消費・購買と金融機能がシームレスに結び付いたサービス体験を提供する

そういう山口さんはどうしてみんなの銀行に参画されたのですか? 金融系されてました?

山口 いいえ、医療系のシステム開発に7年ほど携わっていました。金融系のシステム開発は初めてです。転職活動中にみんなの銀行を知り、直感的に「銀行らしくない! 面白そうだ!」と思いまして興味を持ちました。銀行もシステムもゼロベースで作るプロジェクトのなので、自分も一緒になって銀行の組織・文化を作っていけますし、「最先端の技術も使える!」と思って参画を決めました。

鶴田 銀行で働くのに「銀行らしくない」という点に興味を持たれたのですね(笑)。

山口 はい(笑)。みんなの銀行は全てのサービスがアプリ上で完結できますし、お客さまの声もどんどんカタチにしていくことができます。そういうところがチャレンジングで面白いと感じています! あと、銀行員に対してはスーツをきちっと着ているイメージを持っていたのですが、みんなの銀行ではみんなカジュアルな服装で、スタートアップの雰囲気があります。オフィスの内装もスタイリッシュで格好良いですよね。

鶴田 スタートアップではありますが、一方、みんなの銀行は銀行免許を持つ「銀行」であるので、安全・安心なサービス提供は大前提。セキュリティや障害への徹底した対策が求められますよね。

山口 そういう鶴田さんはどうしてみんなの銀行に?

鶴田 以前はベンチャー会社を立ち上げ、運営していました。世の中に変革を起こすようなサービスを作るのが大好きで、銀行機能をゼロから再定義するみんなの銀行の考え方ってホントに面白いなぁと思って参画することにました。

前川 本当に多種多様な人材が集まっていますよね。

みんなの銀行って何が違うの?――システム(クラウド)

前川 事前にTwitterで「エンジニアに聞きたいこと」を募集したところ、たくさんのご質問をいただきました。

・従来の銀行のシステムと、みんなの銀行のシステムは何が違うの?
・システムの中身を少し教えてください
・クラウドのセキュリティってどうなの?

鶴田 それでは、従来の銀行のシステムと、みんなの銀行のシステムの違いからお話ししていきましょう。前川さんは元々ザ・銀行員ですが、従来の銀行システムの運用ってどうでしたか?

前川 銀行内には大きなサーバーが何台もあって(オンプレミス)、その運用が大変だったという思い出がありますね。プログラム言語は古い言語で学習は難しく、なんと書店にも教科書が売っていないほど。現在はシステムの容量も増えたので改善されていますが、昔は容量や負荷を計算してプログラムを書く必要があったため、ネストが深くなっていました。(処理が理解しにくい)システムの稼働年数も長く、様々な機能同士が複雑につながっているので、「修正したところが他に影響を与えないかな……」ってドキドキしながら運用していました。

鶴田 一方でみんなの銀行では、クラウド上に基幹システムを構築しています。 最近はクラウド化を進めている銀行も増えて来ていますが、一部分のサービスのみクラウドで運用していることが多く、サービスを完全にクラウド上に構築している銀行はかなり珍しいですね。

前川 クラウド上に基幹システムを構築するメリットは何でしょうか?

山口 私たちが目指す新しい銀行のカタチを実現するためには、「コスト削減」「スピード感」の課題があります。これらを解決するためにクラウドが有効です。

・コスト削減
・スピード感

例えば、新規サービスを追加するとなった時に、物理的なサーバー(オンプレミス)の場合は、新たに物理的にサーバーを用意する必要がありますが、クラウドの場合は、ブラウザの画面で入力してポチっとするだけで領域を広げることができます。

どれくらいのマシンパワーが必要かを検討する時も、物理的なサーバー(オンプレミス)の場合は、サービス開始までに入念に検討する必要があるのですが、クラウドの場合は、一度ざっくりと作り始めた後、途中でパワー不足に直面しても、同じようにブラウザの画面操作で拡張することができます。そういったところで、初期にかかる費用や時間を抑えられるメリットが大きいと思います。

クラウドサービスのセキュリティ強度

前川 クラウドのセキュリティ面についてはどうでしょうか?

鶴田 そこについてはクラウドサービスの進化が目覚ましいですね。銀行、証券、信託等の金融機関のシステムは、金融庁の監督指針や「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準」といった複数存在する基準の全てを満たさなければ採用できないのですが、クラウドにおいても同様で、金融業界の厳しい要求にも耐えうるセキュリティ強度が整っています。ですので、お客さまにも安心してみんなの銀行をご利用いただきたいと思います。

山口 先ほど前川さんが、稼働年数の長いシステムについてお話されていましたが、様々な機能が複雑につながっているゆえに、その影響範囲も膨大になってきます。次にみんなの銀行とのシステムの違いについて、お話ししていきましょう。

<「マイクロサービスとモノリス。みんなの銀行のシステムづくりの裏側(2/3)」に続く>

トークセッションを全部観たい人はこちらの動画をご覧ください。

アプリだけの銀行は不安?みんなの銀行のシステムづくりの裏側(YouTube)
https://youtu.be/G8Ir3GemNtU

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