2022年2月24日にロシア軍のウクライナへの軍事侵攻は、キーウ(キエフ)周辺からの撤退とドンバスなど東部への兵力集中の方針が示され、新たな展開を見せています。
ウクライナ軍は各国からの対戦車兵器などの供与もあり、各地で予想を上回る善戦を見せていますが、とりわけ補給部隊への攻撃による兵站の寸断など、巧みな戦術で持ちこたえていると言われています。SNSなどで確認される撃破兵器・車両を公開している『ORYX』によると、ロシア軍のトラック・車両・ジープの損失は728両に上り、前線での物資・燃料の枯渇に繋がっているものと見られます。
小火器でも大きな被害を受ける輸送車両ですが、ロシア軍では急造の防護を施した車両が多数確認されています。アメリカの軍事メディア『THE WAR ZONE』によると、「3月より丸太や金属片で装甲を施した車両が増えていたが、最近では非正規な改造の範囲が大幅に広がっている」と指摘しています。また、最近では装甲輸送車のトランスミッションカバーを外して取り付けたKAMAZ(ロシアの軍用トラック)の存在が確認されます。
Quite interestingly, the armor added to this destroyed Russian KamAZ truck is the engine hood of an MT-LB APC.
The Russians are cannibalizing their armored vehicles to up-armor their supply trucks! https://t.co/YCSWBHerJS pic.twitter.com/UYAuVzMhv1
— Kemal (@kemal_115) April 4, 2022
さらに、東部のハルキウ(ハリコフ)近郊では、全面のガラスやライトを金属板で覆ったトラックの報告もあり、『THE WAR ZONE』の記者トーマス・ニューディック氏は「『マッドマックス』スタイルの外観になっている」と指摘しています。
Another Uparmored Russian truck in Kharkiv Oblast. https://t.co/SFe30TtYHe pic.twitter.com/G6QkuTb6VD
— Rob Lee (@RALee85) April 6, 2022
小火器からの防護は丸太よりは大幅に向上するであろうことが予想されるだけでなく、窓枠やライト、トランスミッションを覆うように金属板が成型されていることから、「工房によって車両の実際の仕様に基づいてトラックの装甲を組み立てていることを示唆している」といいます。
ただ、侵攻初期から対戦車ミサイルのトップアタック(上部への攻撃)によって撃破が相次いだ戦車が急造の防護柵を取り付けたものの効果は限定的だったことから、「重火器からの攻撃からは効果的でない」「侵攻計画の本質的な欠如」とも指摘。このような対策が施されること自体が「ウクライナ軍の驚くべき抵抗を示している」と分析しています。
前線での窮状が垣間見えるロシア軍輸送トラックの『マッドマックス』化。今後も両軍の激戦により、さまざまな対策が講じられる可能性は高いのではないでしょうか。
参考:Russia’s Increasingly Bizarre “Artisanal” Armor Looks More Mad Max Than Major Power(THE WAR ZONE)
https://www.thedrive.com/the-war-zone/45108/russias-increasingly-bizarre-artisanal-armor-looks-more-mad-max-than-major-power?utm_source=pocket_mylist [リンク]
※画像はTwitterより
https://twitter.com/RALee85/status/1511625529081925633 [リンク]