デジイチ1台リュックに詰めて、世界中の街をたった1人で撮り歩く流浪のショートムービー作家、永川優樹さん。“egawauemon”の名でYouTubeにアップされた映像は多くのファンを集め、1日およそ3万viewをコンスタントに獲得している。
作品スタイルは、街をゆっくりと歩きながら撮影するといういたってシンプルなもの。『Steadicam Merlin』という特殊な機材によって手ブレが抑えられていて、これがまるで街の中を浮遊しているような独特の味わいを生み出している。
永川さんの『CRUISEシリーズ』は2009年にスタート。はじめの1年ほどは東京・京都・屋久島など国内をまわっていたが、2010年には「ちょっと世界一周してくる」とTwitterで宣言。1年で5大陸10カ国17都市を撮ってまわった。
バナー広告などによる告知は行わず、TwitterやFacebookなどで口コミ的にファンを増やしてきた。コメント欄には「イタリアにいるんだったら ○○に行ったらどう?」「次はオレの国にこいよ」といったコメントが多く寄せられる。テレビの紀行モノと大きく異なるのはこの点だ。旅先のホテルからアップされる、撮ったばかりの映像。それを見たファンとの、コメント欄やソーシャルメディアを通じた交流。“永川優樹”の旅は、こうしてファンたちと“共有された記憶”として残されてきた。
視聴数が増えたことでYouTubeからの収益もアップし、2010年の途中からは「旅の映像で得た収入で旅をする」状態になっていたという。通算600万viewを記録してきたシリーズは、今や「大人ひとりが生活するのに十分な」収入をもたらしてくれるそうだ。
映像は著作権収入が得にくい世界だっただけに、このようなケースは他の映像作家にとっても明るい材料といえるだろう。
この度、一連の「CRUISEシリーズ」を抜粋したブルーレイ版が発売された。 YouTubeでも視聴できる内容だが、より高画質で楽しめるというのはうれしい。大画面に映して、ひとときのカウチ旅行を楽しんでみてはいかがだろうか。
「WORLD – CRUISE Blu-ray」(6,800円)http://world-cruise2010.com/
永川優樹さんのYouTubeチャンネル http://www.youtube.com/user/egawauemon
永川さんが持ち歩く機材一式。実にコンパクト。
カメラ(CANON EOS 5D MarkⅡ:25万円前後)/ レンズ(EF24mm F2.8:4万円前後)/ マーリン(Steadicam Merlin: 10万円前後)/ マイク(ECM-MSD1: 1万円前後)他にCFカード、バッテリー、バッテリーチャージャーなど。総価格45万円前後、総重量約3kg。